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你好異世界  作者: 曽我二十六
帝都奪還編
2/12

2. 泰山下山

~前回のあらすじ~

泰山で行われた封禅の儀により異世界召喚されてしまった主人公。

幼馴染への告白直前に召喚されてしまったため、間違えてのじゃロリ皇帝に告白してしまう。

どういう状況かを理解したかと思えば、そこに当の幼馴染が。

 「ねぇ、どういう事よ?」

 「そこの女の子と結婚したの?」

 幼馴染・雪子は私を問い詰める。


 「政略結婚というか何というか」


 「わらわはお主の事好きじゃぞ」


 変な補足情報付け足さないで下さい。


 「つまり私とそこの女の子と、浮気しようって訳ね?」


 「だから、それは違うくて」

 説明しても分かってくれなさそう。


 「何か面倒そうじゃの、わらわが説明するから2人とも座っておれ」


 ここは皇帝陛下に説明してもらおう。


 「まず今いるここは泰山といってじゃな」


 「封禅の儀をしていると喚び出されちゃったと?」


 「なんと。そこの男と比べて物分かりが良いようじゃの」


 「えへへ」


 照れてる場合じゃないって。早く話を進めないと日が沈んでしまう。


 だいたい同じような話をして、彼女もこの状況を理解した。


 「2人とも、この世での名前を付けぬといかんの」

 「わらわの夫、お主には趙建という名を、その正室には趙雪花という名を与える」

 「つまり、婿入りという訳じゃ」


 「さて、今度こそ山を下りるかの」


 皇帝が封禅殿の扉を開けると、矢が飛んできた。


 「何奴っ!」


 「しまった、撃ち損じた! 宰相様に怒られるぞ!」

 「こうなったら燃やしてしまえ!」

 「皆の衆、火矢を放て!」


 「まずいの、このままでは皆焼け死ぬの」


 「逃げ道はあるんですか?」


 「先帝が遺した隠し通路があるのじゃよ」


 「助かった……」


 「宰相の野郎、シメるしかなくなったの。覚えておけよ」


 皇帝陛下を本気で怒らせるとヤバいというのは、2人とも感じた事らしい。



 隠し通路を抜けると、そこは洞窟の中。


 「あとどれくらい歩かなきゃいけないんですか?」


 「ざっと20刻」


 こんな事を言われても「刻」という単位は時代によっても違う。後で知ったけれども、5時間くらいだった。



 「もうすぐ洞窟の出口じゃの」

 「敵兵がいないといいのじゃが」


 「いませんね……」


 「歩き疲れたんだけどー」

 「ねぇ、皇帝陛下と結婚したんなら正室の私をどーにかして下さいな、旦那様~」


 「って訳でちょっと休憩しませんか?」


 「馬鹿か、わらわは今死んだ事になっておるのじゃぞ!」

 「宮廷では今頃、裏切り者の宰相が次の皇帝に即位しておるわ」


 「今の宰相は帝室一族なんですか?」


 「言ってなかったか。話せば長くなる話じゃが」


 今から5年前。

 まだ先帝の御代の事じゃった。

 宮殿で火の手が上がってな、わらわ以外、皆殺しに遭ったのじゃ。

 唯一生き残ったわらわが、皇帝として擁立された。

 そこで支えとしておったのが、今の宰相だったのじゃ。


 「そんな……」


 「だから、一刻も早く都へ辿り着かねばならんのじゃ」

 「そこでじゃ」


 「何ですか?」


 「夫なら馬の1頭や2頭、借りてくるのじゃ!」


 「他に出来る人いないんだから、お願いね」


 2人共、他人に押し付けて……。本当にこの2人は妻なのだろうか。


 「あの……馬に乗れないんだけど」


 「じゃあ馬車を借りてくるのじゃ」


 「はいはい、借りてきますよ、皇帝陛下」


 「『はい』は1回でいいのじゃ」



 「すみません、馬車ありますか?」


 「牛ならいるけど……」


 「ちょっと長い間、貸してくれませんか?」


 「対価は?」


 こういう時、伝記では出世払いが王道だ。


 「邑千戸で」


 邑千戸、つまり1000世帯分の税収である。


 「兄ちゃん、面白いねぇ。でもこれから耕すのに使うから、無理かなぁ」


 「ありがとうございます。他に貸して貰えそうな所はありますか?」


 「東の集落の人なら貸して貰えるかもしれないなぁ」



 こうして探して4時間。やっと見つかったのは3km南の集落の牛であった。



 一方この頃。


 「さて、雪花ちゃん。同じ夫を持つ者として、女子トークといこうか」


 「えっ?」


 「急で驚いたのじゃ?」


 「ま、まあ」


 「あやつ、ああ見えてずっとお主の事を好いておったようじゃの」


 「知ってます、どうせ最初に会った時からでしょ」


 「じゃあ、知ってたのに何故付き合わなかったのじゃ?」


 「それは……」


 「相手の事を想うあまり、何も出来なかった、と」


 「心を読まないで下さい!!!」


 (似たような事をあやつも突っ込んでおったな)


 「ならば、この戦いの後、お主から告白するのじゃ」


 「ええええええええええええええええええっ!?」

 「む、無理ですよ、私からだなんて……」


 「あやつはお主の事を好きなのじゃろ?」

 「ならば、失敗する訳があるまい」


 「恥ずか死します……」


 「しかし、告白せぬといつまでもあやつはお主の気持ちを知らぬまま、死んでしまうぞ?」

 「そうなれば、お主も悔いが残るのであろう?」


 「で、でも……」


 「『でも』じゃない、この戦いが終われば、わらわはあやつを新宰相にする」

 「その時に告白するのじゃ、これは勅命じゃ」


 「牛車を借りてきましたよー」


 「さて、帝都長安へ向かうのじゃ」


 「どのくらいの日数が掛かるんです?」


 「ざっと3ヶ月。その間の牛の食べ物も用意せねばならぬのじゃ」


 借りてくる時に長くても2週間と言ってしまった。

 それに、牛の食べ物って何?


 「牛は基本的に草を食んでおればよい」

 「たまに塩塊を舐めさせればよいだけの話じゃ」


 「その塩塊ってどうやって入手するんです?」


 「働く」


 「えっ?」


 「だって、それしかないじゃろ。カネもない、権威もない、権力もない、働く他あるまい」


 「……でも、誰が?」


 「お主ら2人が働くのじゃ。わらわは牛車の見張りをしておるわい」


 「あっ、一番ラクな役職を!」

 「……やっぱり交代制にしません?」


 「嫌じゃ」


 「交代制に賛成の人は手を高く上げて下さい」


 って、幼馴染なんだから普通味方だろ。手を挙げろよ……


 「えー、私、うめちゃんのお友達なのよ」


 彼氏よりお友達なんですね……

 って、ウメチャンって何よ、そんなに親しかったっけ!?


 「ってな訳でよろしくなのじゃ」


 「雪子、お前にはそこの皇帝の分まで働いてもらう事に……」


 その瞬間、口に何かが触れた。

 彼女の唇だ。


 (こんな手段で黙らせようたってそうは……)


 「これで、私の分まで働いてくれる?」


 もう精神が保たない。情報量が多すぎる。



 結局、帝都長安までの食費は全て、私が稼ぐ羽目になった。


 「我が夫よ、頑張るのじゃ」


 この皇帝に天罰の1つや2つ、下らないだろうか。

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