表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
你好異世界  作者: 曽我二十六
帝都奪還編
1/12

1. 泰山封禅

 違う学校に進学した幼馴染と、偶然出会った。

 私の、初恋の人。

 今日を逃せば、二度と会えないかもしれない。

 さあ、今度こそ。告白するんだ。


 「あの……付き会っ……」


 「ねぇ、足下のそれ、何?」


 地面には星型の光が。

 こんな事に邪魔されてきたから、告白できなかったんだ。

 今度こそ。


 「貴女のことが……」


 その瞬間、視界が真っ白になった。




 「……好きです」


 「は?」


 目の前に居るのは彼女……ではない。

 告白相手を間違えた? そんな訳はない。


 「わらわの旦那様♡」


 旦那様? 周りには誰もいない。


 「私?」


 「そうじゃ」


 目の前にいるのは彼女ではなくて、少女。


 「わらわはその申し出、受け入れるぞよ」


 待って、状況整理が追い付かない。


 「ここは……どこ?」


 建物に囲まれた、中庭のような場所。さっきまでは道路にいたのに。


 「ここは泰山じゃよ」


 泰山。中国山東省泰安市の名山、封禅の儀式が執り行われる事で知られる。


 「その封禅なる儀式をしたら、お主が現れたのじゃよ」


 推論が正しければ、ここは中国。それも歴史上の。


 「つかぬ事でありますが、国姓をお教え頂けませんか?」


 封禅の儀。これは功績と徳を兼ね備えた皇帝のみが行う資格のある儀式。

 となると、目の前にいるのは皇帝である。


 「国姓? 趙であるが」


 趙姓の王朝で封禅を行った君主。これは1人しかいない。

 北宋の真宗趙恒。

 女性化しているのはさておき、北宋ならば都は東京開封府。


 「都は、開封府でありますか?」


 「察しが良いと思っていたが、そうでもないようじゃな」


 違うだと……。違う訳がない。趙姓の統一王朝は北宋のみ。そんな訳が。

 いや、秦か? 秦は嬴姓趙氏であるが。


 「混乱するのも仕方ないかの」

 「わらわは華帝国の第5代皇帝・趙梅丹であるぞ☆」


 語尾の☆に年季を感じる。

 というか、帝国なんていう語は日本由来だし、そもそも「華」なんて王朝、聞いた事がない。


 「詳しくご説明頂けますか」


 「やっと話を聞く気になったかの」


 「私に話を聞く気がなかったと?」


 「独り言をさっきから言っておったではないか」


 どうやら、全て漏れ聞こえていたらしい。




 「この世界は平たくいうと、異世界なのじゃ」


 「は?」


 「やっぱり。こうなると思ったのじゃ」


 そんな落胆を見せられても困るんですけど。


 「華の帝室は今、わらわしかおらぬのじゃよ」

 「そこに、妙ちきりんな道士が現れた」

 「その者が言うには、封禅の儀をすれば然るべき夫が見つかると」


 「まさか、だから喚び出されたんですか?」


 「その通りなのじゃ!☆」


 「ちょっと帰してくれますか」


 「は? またとない結婚相手じゃろ、世界に名だたる大帝国の皇帝じゃぞ」


 「私には想い人がいますんで。じゃ、さっさと帰してもろて」


 「絶対に嫌なのじゃーーーー!!!」


 「嫌じゃねーだろこのクソ皇帝、こっちは告白する直前に喚び出されたっていうのに!」


 「せめて、側室でもいいから……」


 「皇帝が側室とか言ってんじゃねーよ、てかお前と結婚する気はさらさらないっ!!!」


 「それほどまでに、その想い人が好きなのか?」


 涙を浮かべて言ってきても無駄だぞ。泣き落としなんて遭うものか。


 「実は……帰し方が分からぬのじゃ」


 「ふざけた事言ってんじゃねーよ、一国の皇帝だろ、どうにかしろ!!!」


 「皇帝にも無理な事はあるのじゃ……ごめんなのじゃ……」


 これ、傍から見れば、まだ年端もいかぬ少女を苛めているように見えないか?

 誰もいないのが幸いではあるが。


 「という訳で、わらわと結婚せぬか?」


 どういう訳だよ。どこからそう飛躍するんだよ。


 「そもそもはわらわの夫として喚び出したのじゃよ」

 「それに、皇帝の力を使えば、元に戻る方法も見つかるかもしれん」


 そう言われると、理屈の上では納得してしまう。

 でも、私には想い人がいる。


 「想い人の事が忘れられんのか」


 「そりゃそうですよ、12年間も好きだったんですから」


 「それは……すまぬ事をしたな」


 「ならば、幾らでもわらわが似た者を探してやろう」


 「違うんです!!!!!」


 「何が違うのじゃ?」


 「あの人じゃなきゃ、駄目なんです」

 「もう貴女の夫になってもいい、だからどうか、そんな事は……」


 「遠く異郷の地でも、彼女を絶対に忘れたくはないと申すか」


 「左様にございます」


 「ならばその願い、皇帝として必ず叶えてやろう」


 皇帝は威張って言うが、やっと皇帝らしい事を、と私は思った。


 「やっととは何じゃ! やっととは」


 「心をお読みに?」


 「読まずとも分かるわ、そのくらい!!!」


 「どーもどーも、不敬ですみませんねぇ」


 「それ、外でやったらブチ殺すからの」


 皇帝とは君臨する存在。外聞が悪ければ話にならない。

 ここが閉鎖空間だから許される冗談なのだと、ひしひしと感じる。


 「さて、山を下りるかの」


 その時、中庭に星型の文様が現れた。


 帰れるかもしれない。

 駆け出して星文様を踏むと、そこには彼女が現れた。


 「きゃっ」


 「えっ」


 ……どうして?


 目の前に、さっき言った想い人がいる。


 「もしや、それがさっき言っておった想い人かの?」


 「来ちゃった☆」


 あの…皇帝陛下と同じ語尾を使わないで下さいな。


 「わらわを差し置いた正室の顔、見てみたいものよ、どれどれ」


 「ちょっと、正室って何よ、あの女の子と結婚したの?」


 勝手に結婚した事になってる事じゃなくて、突っ込むのそっちなんですかね……。

 えっと……。

面白いと思ったら……

星5評価(☆☆☆☆☆)とブックマークをお願い致します!!!

感想頂けるとめちゃくちゃ喜びます!!!

レビュー? 見た事ないですけど欲しいですね!!!

↓↓↓  ↓↓↓  ↓↓↓  ↓↓↓  ↓↓↓

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ