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小鳥の囀りを子守唄に
僕は眠った。
眠って
眠って
時を待つことにした。
「私たちのお隣に
小さな種がやってきたわ」
「あれは何の種かしら?」
「私たちの駐車場を
脅かさないかしら」
「心配だわ」
僕が眠っていると
そんな会話が聞こえてきた。
芽が出た時に会えるかな。
友だちになれたら嬉しいな。
嫌われたらどうしよう。
期待と不安が交差して
春はまだまだなのに
出会う前から緊張している。
今度は眠っている僕の横を
小さな生き物達が通って行った。
「もうすぐ冬がやってくるぞ」
「それまでに食べ物を集めないと」
そんなつぶやきが聞こえてきた。
落ち葉が舞う季節になった。
ひらりと舞い降りてきた葉が
僕の上に落ちてきたおかげで
寒さを凌ぐことができた。
空から
雨が降ってくることもあった。
僕は眠りながら
流されないように
祈った。
ここで流されたら
あのコンクリートところへ
行ってしまう。
あっ葉が雨風で
飛ばされた。
僕は飛ばされないように
流されないように
小さな根で踏ん張った。
まだまだ弱いけど
根をはり
飛ばされないように
流されないように
頑張った。
生きるために
必要な水。
でも時には
恐ろしいものに変わることを知った。
ある時は
空から降る雪に
凍えそうになった。
春を待ちながら
僕は誰よりも
大きな大きなススキになる。
『風や雨に負けないススキになる』
そう誓った。
調べてみたらススキの発芽率が低いということを知り驚きました。