ロリコン!!!?
小学生の特徴に見覚えが…
あっこれダメだ
となった方はすぐに読むのをおやめ下さい。
「すみません!スマホを貸していただけませんか?」
僕は迷子かなとか思って、こんな浜辺で一人ぽつんと大きなリュックを背負ってキョロキョロしていたツインテール小学生にスマホを手渡す。
小学生は神妙な面持ちでそれを受け取った。
そして、両手を後ろに隠したかと思うと、背筋を整える。
あるはずのないグローブが体の影から見えた。
あるはずのない帽子を直した後、覚悟を決めた顔をする。
ごくり。
額に汗が流れ落ちる。
ついに、左足をあげピッチャーのポーズをとり、斜め四十五度フルパワーで投げた。
なげた!?
「てーーーーーーーーい☆」
僕のスマホは綺麗な放物線を描きながら海に向かって放り出された。
ぽちゃんと音を立てたあと沈んでゆく僕のスマホ…
今頃海底に、こんにちはしているだろう。
ごきげんようかもしれない。
いや、冷静に分析している場合ではない。
「おい何すんだ小学生!!」
「確かにお昼に生姜焼きを食べましたが、初対面の方に言われる道理はありません!」
今どき小学生を生姜臭ぇと間違えるやつなんているなんて!なかなかやるな!
「僕が一時間に一度スマホを確認しないと死んじゃう人だったらどうするつもりだ!」
「あなたのような、出会ってすぐの小学生を怒鳴りつけるようなゴミには友達なんて居ないと思いますけど!」
「ひどい!!!」
しれっと初対面の方からゴミにランクダウンした。
「ですが、本当に一時間に一度スマホを確認しないと死んじゃう病気だったら困りますので、一時間だけ一緒にいて差し上げましょう!」
小学生はスカートのポケットからスマホを取りだし一時間のタイマーをかける。
なんか時間制のキャバクラみたいになった。キャバクラ行ったことないけど。
「アラーム音は全滅してしまった時のBGMでいいですよね」
「異議あり!アラーム音変更の権利を主張をします!」
「却下します!!」
小学生に心配されたし、準病気扱いされたし、口喧嘩勝てない。
ていうかスマホ持ってた。
なぜ僕のスマホは投げられたんだ…
その後、他愛もない話をして一時間ぴったりのアラームがなった後、小学生がしんみりと切り出した。
「私、通学路でいつもあなたを見ていて、ずっとあなたとお話してみたかったんです」
「こんなに大きな海が目の前あるのにずっとスマホばかり見ているから、どんなに陰湿なのだろうと思っていましたが…」
「陰気の間違いでは…」
「陰キャの間違いでしたね」
「…」
「思っていたより面白い方で話していて楽しかったです」
寂しそうな顔をして小学生は俯いた。
「そんな今生の別れみたいなことを言うなよ」
僕はかける言葉も思いつかずありきたりなことを言う。
「実は私、引越しするんです」
「だからもうあなたとは会えません」
「どうして僕なん…」
「一時間ありがとうございました」
僕の質問すら聞かずにそれだけ言って立ち去る。
その後ろ姿を見送っていると、途中で振り返った。
深呼吸をして、大きく息を吸ってなにか叫んだ。
ちょうど強風が吹き、何を言ったか分からなかったけれど、満足そうにして走って行った笑顔が眩しかった。