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第6話 お義兄様の領地 マクファーレン邸

 新婚旅行っていってもやっぱり二人っきりという訳にもいかないのよね。

 私達の他にお屋敷の警護の騎士たちから数名とケイシーとベッキーが私たちの世話役として付いていく事になったの。

 本当は、エド付きのイライザが来るべきなのだろうけど、侍女頭が長々とお屋敷を空けるわけにもいかず、ベッキーが付いてくることになったのだわ。


 さすがに今回ばかりは、エドも私と同じ馬車に乗っている。

 たわいのないおしゃべりをしているのだけど、ずっと肩を抱かれていて何だかフワフワした気分だわ。

 そ……そして、後ろの馬車には、ケイシーたちが乗っているの。


 私が頭の中でも、エドって言ってるのは、うっかり様付けしない為なのよ。

 なんだか、結婚してからのエドって…………。

 いえ、現実に戻るわ。


 お義兄様の領地は、比較的王都に近いところにある。

 エドが一度目に行った戦争の功績により伯爵位を賜った時に頂いた領地だ。

 結局、以前から治めていた今の領地と書類上の交換を行い。

 マクファーレン家、当主の領地として、嫡男であるレナルド・マクファーレン様が治めているのだわ。


 王都より近いけど、同じ道を通るので比較的他の領主が提供している宿場町は多い。

 うちの領地はリクドル王国との国境の近くなので、あまり旅行者が訪れる事も無いけど、それでも国境を超える商人たちの為に宿場町を設けているくらいだもの。

 本格的に領地を訪れるのと違って、気楽に入ることが出来るから便利なのよね。

 その領地の名産品なんかも置いてあるし、いつでも旅行者や商人たちでにぎわっている。

 観光には、もってこいだわ。


「ようこそ、いらっしゃいました。エドマンド様。マリー様」

 レナルド・マクファーレン様の領地のお屋敷に入ると、執事の方がお出迎えをしてくれた。

 来客用の応接室に案内される。


 程なく、ご当主のレナルド様とその奥方ベアトリス様がいらした。

「改めて、おめでとう。なに、気を遣う間柄でもない。こちらでは我が家と思ってくつろいでくれたまえ」

 そういって、レナルド様は私たちにソファーに座る様に促してくれた。

 まぁ、ケイシーたちはソファーの後ろに立っているのだけど。



「そうですか、王都では王宮住まいだったのですか」

 レナルド様はエドと話すだけでなく、私にも話を振ってくれる。

「はい。王妃様にお声かけ頂いて……その、わたくしの母が病で臥せっているものですから、代わりをと……」

 私を産んでから母はずっと領地に籠っているのだけど、体は元気だ。

 精神的にはどうなのだか分からないけど。

 表向きには病気療養中だという事になっている。


「マリーは、王妃様や王太子殿下のご婚約者様とも仲が良いからな。独身最後の思い出にと招待してくださったのだろう」

 そうエドが、締めくくってくれた。

 実際は、王妃様の生活エリアに私の部屋とケイシーの侍女専用個室がまだ使える状態であるのだけど。


「では王都のマクファーレン邸には入られていないのですよね」

 奥方のベアトリス様が私に訊いてきた。

「婚姻前のご挨拶には家族で伺いましたわ。ご立派な(たたず)まいで、お庭なども……」

 私は定番の誉め言葉を口にしようとしたのだけど

「ああ。いえ。本当なら、この時期わたくしがあちらに入っていないといけないのですが」

 それはそうだ。

 本来なら、王都にあるお屋敷で夜会やお茶会を主宰しなければならない大変な時期だもの。


 だけど、何と言っていいのか分からない。 

 王妃様がけん制するくらい、癖のあるお方が入っているようだけど。

「よろしいのでは、無いでしょうか? わたくしも社交は最低限で済ますつもりですし」

 この話題を切り上げるつもりで、夫人の立場なんてまだわかりません発言をした。

 上から目線の発言になってしまったけれど、身分は私の方が上だし……なにより、どういって良いのか、どの程度関わって良いのか分からないわ。


「まぁ、そうだな。女主人は二人もいるまい?」

 エドも、私の発言のフォローどころか、空気を読んでない発言をしている。

 何か意図があるのかしら。

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