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第57話 エド様のご実家

 婚姻前の夫の実家へのご挨拶は、本人だけでなく家族も一緒に行くものだ。

 だから、間違っていない。

 私の父、アーロン・ウィンゲートと兄のエイベル・ウィンゲートが馬車に乗り込むのは。


 だけど、私の横に乗り込んできたのはミラベル・ハーボルト……いや、期間中だけどね。

 家族ごっこの、お母様だけどね。

 ……うちの護衛だけで良いの? って感じで、お父様を見たのだけど、何だか疲れてる。

 エイベルお兄様ったら、窓の外を楽しそうに見て…………現実逃避してるわ。


「あの……お母様。良いのですか? いろいろ」

 いろいろって、何言ってるんだろう、私は。

「良いのよ。自分の身は自分で守れるし、今日はマリーの護衛も兼ねているから」

 王妃様……いや、お母様はにこやかに私にそう言ってくれた。



 そうしているうちに、エド様のお屋敷に着いてしまった。

 エド様とご家族の方、使用人たちがお出迎えに並んでいる。

 まぁ、王妃様がいなくてもうちの方が格上だから仕方がないのだけれども、あまり堅苦しいのは苦手なのだけれども……って、仕方ないのか。


 まずは、お父様とエイベルお兄様が馬車から降りて、お父様がお母様が降りるのを手伝っている。私が降りる時は、いつの間にかそばに来ていたエド様が手伝ってくれた。

 なんだか、エド様を見るのも久しぶりで嬉しくなってしまう。


 前を見たらお父様がエド様のご家族に挨拶をしているところだった。

 お父様の横には、お母様も並んでいるのに皆普通にしている。知っていたの?


「王妃様の幻影魔法だな。マリーの本当の母親に見えるようにしている」

 エド様が、ご家族の元に行く前にこっそり教えてくれた。


 そういえば、王妃様は魔法を使えるのだったわ。

「さぁ、マリーご挨拶をしなさい」

 そばに行くとお父様からそう言われた。玄関先での簡単なご挨拶。

「この度、エドマンド様に()すことになりました、マリー・ウィンゲートです。よろしくお願いいたします」

 私は、ふんわりとドレスの裾を持ち上げて挨拶をした。

「これは、なんとも可愛らしい。ささ、皆様方このようなところで立ち話も何ですから、どうぞ中へ」

 マクファーレン家のご当主は、そう言って私達をお屋敷の中へ招き入れてくれた。






 お屋敷のお部屋の中で、正式にそれぞれの家族の挨拶をして、ちょっとしたお茶会と言った感じで歓談に入った。

 マクファーレン家の皆様は、お父様が公爵家当主だというので少し緊張されているようだけど。

 歓談は同じ部屋ながらに、自然と男女に分かれてされていた。

 男性陣がタバコを吸う方々なら、その間だけは完全に部屋も分けてしまうのだけれども。


「まぁ、亡くなった奥様の代わりにキャロライン様が、こちらのお屋敷の女主人をされてるの? お若くしていらっしゃるのに、大変ですわね」

 お母様が、エド様の叔母様とそんな話をされていた。

 なんだかセリフに色々な事を含ませているようだけど……。


 確かに、エド様のお父様の妹で本妻の子どもだと言い張るには、お若く見える。

 マクファーレン家は、エド様のお兄様方はともかく、妹たちまでもう早くから婚姻を結んで家を出て行っている。

 そんなお家で、宮仕えをしているわけでも無く、独身でいるというのもおかしな話だわ。


「ええ。でも、エドマンドと成婚なされたら、マリー様が女主人となられるのですから、わたくしの役目も終わりますわ」

 へ? 私が?

 私が戸惑っていると、お母様が言って下さる。

「マリーは、無理でしょう? キャロライン様」

 にっこり笑ってはいるけれど、雰囲気が怖い。


 もしかしたら王妃様は、随分と前からマクファーレン家に行く口実を探していたのかもしれない。私には、そんな風にしか思えなかった。

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