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第22話 階下での騒ぎ

 私たちは、何事かと階下に駆け下りる。

 騒ぎの元は、一階の例の青年を保護していた使用人の仮眠室だ。

 私たちがその部屋に付いた頃には、使用人服を着た騎士団の人たちに青年が取り押さえられているところだった。

 油断するとまだ暴れそうな勢いなので、押さえつけ床に頭を押しつけているような状態だ。


「何があった?」

「この者が、逃げようとしたので制止したら、この有様です。団長の指示通り、使用人と交代していて正解でした」

 エド様は、厳しい顔をして青年を見ている。元々、怖いお顔なのだけど、照れ隠しのような真顔では無く、本当に厳しい怖い顔になっていた。

「少しは回復したようだな。名は何と言う?」

 エド様の問いかけにも、全く答えようとしない。頭を押さえ付けられているのに、そっぽを向いたのが分かった。


「私は、ここと隣接する港町の領主のエドマンド・マクファーレンだ。屋敷内、領地内での、司法権と刑を執行する権限を国家から持たされている。今からの、そなたの言動によっては処罰の対象にしなければならないかもしれない。その事をよく考えて答えろ」

 怖い。エド様の後ろにいる、私でさえもそう思ってしまった。

 青年は、身じろぎできずにいる。


「もう一度訊く。名は?」

「……ビリー……と呼ばれている」

「ビリー。誰に追われてこちらの領地に入ったか、言えるか?」

 エド様は片膝をつき、未だ押さえ付けられたままの青年の前に座り聞いている。


「同じだ……あんたに言った事がバレたら、俺は奴らに殺される。あんたじゃ、太刀打ち出来ない」

「あら。それじゃ、もう戻れないわね」

 私は、つい口を出してしまった。青年……ビリーは私の方を睨んだ。

「悪いことをしたわ。保護なんてしてしまって……」

 私は片手を頬にあて、本当に申し訳無いわっと言う感じ溜息を吐いた。

 ビリーも、ビリーを押さえ付けている騎士達も怪訝そうな顔をしている。


「だって、あなたがどんなに『秘密を漏らしてない』って言っても、信じて貰えないでしょう? わたくしが『奴ら』なら、疑わしいあなたを殺した方が手っ取り早いって、考えてしまうわ」

「まぁ、私でもそう考えるな」

 エド様も同意した。お前なぁ……って、顔はされたけど。


 ビリーの方は、顔面蒼白になって身体の力が抜けている。まだ、押さえ付けられているけれど、もう逃げようという気は無くなったようだった。

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