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第12話 エド様に呼ばれて

 街道を渡っていたエド様は、皆のもとを離れ1人馬を操って、私が登っている木の近くまでやって来た。

 私は、スルスルと木から下りる。


「今お帰りですの? エド様。新しい御領地はいかがでした?」

 未だ馬上にいるエド様に話しかける。

 あら? 勝手に屋敷を抜け出したと怒っているのかしら? また、お顔が怖くなっているわ。

「ごめんなさい。お昼から何も予定が無かったもので、つい昨日通ってきた……」

「いや……。怒ってるわけじゃない」

 そう言って、エド様は私に向かって手を差し伸べた。私は、その手を掴む。

 すると、どうした魔法か……次の瞬間、私も馬上の人に……というか、エド様の腕の中にいた。

「……すごいわ」

 私は、呆然として言った。……けど、次の瞬間には、もう面白くなってしまって興奮してエド様に言った。


「すごいわ。今のは、何? 何ですの? エド様は、魔法も使われるのですか?

すてきだわ。一瞬で馬の上に……」

 そこまで、言ってハッと気付く。

 私、エド様の腕の中にいるわ。お顔がこんなに近く。いやだ、意識したら私のお顔なんだか熱くなってる。

「……はしゃぐのは良いが。暴れないでくれよ」

「はい」

 そのまま、また皆の元に戻り、私は、エド様と二人で馬に乗った状態で屋敷に着いたのであった。




「マリーお嬢様。黙っていなくなるなんて、なんてことです。屋敷の侍女達がどれだけ探したことか、もうここはウィンゲート領では無いのですよ」

 ドアを開けた瞬間リンド夫人が、私にお説教を始めた。

 エド様も私をジッと見ている。執事さんも……。騎士の方々は、近くにある勤務地に戻っていった後なのでいない。


「黙っていなくなるのは、確かに良くないな」

 エド様がボソッと言う。確かに、良くないと私も思う。

 実家のお屋敷の使用人たちは、私がいてもいなくても、気にしなかったので、ついそのつもりで出て来てしまった。

「だが、慣れない屋敷なのに、放っておいた俺も悪いな」

 エド様。もしかしたら、私を庇って下さってる?


「リンド殿。今日は俺の所為というところで、許してやってくれないか。みんなも、すまなかった」

 エド様は、私を探しただろう使用人たちに謝ってくれた。

「あ……あのっ。ごめんなさい。探して下さってありがとう」

 エドの謝罪で解散しかけた使用人の皆さんに私も一生懸命謝った。

 なんだか、みんな半笑いで持ち場に戻っていった。


 そうして使用人が侍女頭のイライザと執事のジュードだけになったエントランスホールで、エド様が言う。

「さて、マリー。ちょっと、部屋に来なさい。イライザ、お茶の用意をして持って来てくれ」

「かしこまりました。旦那様」

 イライザは、お茶の用意をするために下がっていった。

 ジュードは、一緒に付いてくる。

 え……と。やっぱり、お説教コースかしら。

 そう思いながら、私はエド様の後ろを、ちょこちょこと付いていったのであった。

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