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第36話 謁見前の控えの間

 ここは王族に謁見をするための、控えの間。

 私たちの様な上位貴族は個室を与えられるのだけれど、ビリーみたいに元平民とかだと……何というのだろう、一部屋を複数人で使う事もあるのだとか。

 今日の謁見は、ビリーだけみたいで他の方はいらっしゃらないようだけど。

 いえ、使用人は大勢控えているわ。


 ああ。令嬢たちのデビュタントは違うの。

 あれは流れ作業的に謁見をして行くので、一部屋へ入れられちゃうの。

 …………心の中とはいえ、不敬だわ、私。


 だけどねぇ。今思うと夜会会場自体が、控えの間みたいなものだと思うの。

 だって、デビュタントの謁見の控えの間って10分も滞在していればいい方なのだもの。



「ビリー。ちゃんと手順は覚えた?」

 ああ。ドキドキするわ。私が謁見するわけでもないのに……。

「はい。何度も練習させられましたので」

 ビリーは、正装をして貴族のような……って、貴族になるのだっけ。

 王宮内の控えの間は使用人が多いので、ビリーの態度もかしこまった感じになっているので余計そう思うのかしら。

「そう。そうよね。落ち着いて頑張ってね」

「はい」

 私の言葉に、それでもビリーはにっこり笑って答えてくれた。

 こうやって見るととても元ストリートキッズとは思えない。


「ビリーより、マリーの方がうろたえているように見えるが? あっ、いや、何でもない」

 つい口に出てしまったというようにエドが言うけど……。だって、仕方が無いじゃない。

 私は入れないし、謁見の後、ビリーはそのまま数人の護衛と共に帰路に就くのだから。

「エドが付いているから、大丈夫だとは思いますわ」

 私は出来る限り落ち着いた態度で、エドにそう言った。なぜだか、エド越しに笑いをこらえているようなビリーが見えるけど。


 エドは貴族と言うより、指揮官の礼服を着ている。

 夜会の場でも無いので、そんなものかも知れない。王都での結婚式の時の服装も同じだったし。


 その内にお迎えが来たので、エドとビリーは控えの間を出て行ってしまった。

 私も自分のお部屋に戻らなきゃ。

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