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第29話 寝室での……イチャイチャ?

「それで何が知りたくて、ボブを困らせてたんだ?」

 エドは、仕事としてではなく、プライベートな質問として訊いてきた。

 だって、仕事ならもっと早い時間に執務室で訊かれている。

 寝室のベッドの中だなんて、完全に……。


「先日、孤児院に訪問した時に、指導騎士のボブ様の話が出ましたの。サマンサに港側の孤児院の子も訓練に参加するので、よろしくという感じで言いましたのよ」

 エドの腕に収まっていると、油断したら寝てしまいそうになるのよね。眠い……。

「それで?」

 私の眠気を察したようにエドが先を促してくれた。

「そうしたら返事に間が空いたので、何か問題があるのかと思って訊いてみたら、いきなり感情的にボブ様が戦場でケガを負って武勲も立てられなくなったとか、何とか言われたので、恋人関係だったのかなぁって」

「ああ。なるほど、サマンサは爵位を持っているからボブが平民に降りてしまったら、相手になれんからな」

「サマンサさま自身が爵位を?」

 何で? 女性なのに……。


「孤児院を任された時に、準男爵位をな。女性や平民が、孤児院経営を任されるときは、どの領地でも王室から準男爵位を賜る事になっているんだ。限定的な権限しかないが、場合によっては王侯貴族の無茶ぶりも拒否できる」

 へぇ~。そうなんだ。賢者様は、色々考えて下さっているのだわ。

「ちなみに、ビリーも同じ扱いだぞ。家名が無いから、平民と間違われることも多いし。貴族と認めない輩もいるがな」

「そうなのですね。それで、ボブ様は戦場に出られなくなっても騎士爵に就いていらっしゃるのだわ」

「ん?」

 エドは、私の顔が見えるように少し体をずらす。

 私はにっこり笑って

「だから、サマンサとボブ様が、恋仲なのではないかというお話ですわ」

 そう言った。

「ああ。そんな話だったな」

 面倒くさそうに言って、私を腕の中へ抱き込んだ。ダメだわ。これは、寝かしつけるつもりだ。


「最初は、サマンサはエドの妾を狙っているんだと思ってましたの」

 エドが少し身じろぎして、私の顔を覗き込む。

「…………昔、10年位前にそんな縁談があったな。王室が認めなかったから、無かった事になったが」

 あったんだ。サマンサとの縁談。

「なんで、認められなかったのですか?」

「あの頃は、俺自身この領地を治めるのに忙しかったのと。後は、王妃の側近になって戦地に向かう事が決まっていたからなぁ。そもそも、我が国は下位貴族に政略婚を課していない」


 そっか……、一度目の出陣の前は何の功績も持たない騎士爵だものね。

 伯爵家の子息と言っても三男坊では、平民に下る事もあるくらいだから。


「そうですの」

「そうだ。お互いが好きだというのなら、王室も反対しようがないがな。まぁ、結局使用人としてついて来てしまったわけだが……」

「そうですの。それでは、やはりお妾の方を狙っていたのでは?」

「あのなぁ。マリー」

 エドが珍しく弱った顔をして、長い溜息を吐いている。


「別に構いませんのよ、わたくしは。貴族社会では、当たり前のことですし」

「周りの思惑はともかく、俺はサマンサの事は何とも思っていない。それから、その話が出たのは、今回の戦争の前の話だ」

 く……苦しい。エド、手加減忘れて抱きしめてない?

「エ……エド。苦しい……です」

 そういうと、少し腕の力を緩めてくれた……けど。


「そうか。マリーは俺の愛情を疑うんだな? なるほど、愛し方が足りないらしい」

 なんだか、少し悪い顔をしている? あれ? 怒ってる?

「よしよし、分かった。俺が悪かった」

 そう言いながら、私の寝間着を脱がしているような。

「エド? 私、眠いです。寝ましょう? ね?」

「まぁ、遠慮するな」

 そう言って、キスしながら、さらに脱がしていっているような……。


 いや、だから、遠慮なんかしてない。してないから。

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