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第27話 子ども達の訓練場

「本日はようこそお越しくださいました。マクファーレン辺境伯夫人。辺境警備騎士団所属の騎士ボブでございます」

 私が先日、自分の部屋で、ケイシーと話していた事を考えていると、目の前でボブが礼を執って挨拶をしていた。

 訓練場で子ども達が木剣や盾を片付けているのが見える。

 ああ、もう訓練が終わったのね。


「子ども達をよく指導してくださっていますのね。感謝していますわ」

「いえ。王都の指導員の様にはいきません」

「それでも。あなたが子ども達の指導を引き受けてくれるだけでも、領地の子ども達の選択肢が増えましたもの」 

 そう、ボブが剣の指導をしているのは、何も孤児院の子達だけじゃない。

 領地で衛兵や騎士を志望する子ども達全員の指導をしている。子ども達の将来の選択肢が増える事は、本当に良いことだもの。

「ありがたいお言葉にございます」

 ボブというと、私の言葉に、さらにかしこまって礼を執ってしまっていた。


 …………なんか、堅苦しいわね。騎士ってこんなものだっけ?

 ああ、そうだ。訊く事があったんだっけ……。

 本当なら本人にいろいろ尋ねるのは、淑女としては、はしたない行為なのだけど仕方が無いわよね。


 私はコホンと小さく咳払いをして、業務に交えて訊いてみる。

「ボブ様は、わたくしの夫エドマンドと戦場を駆け巡った際、足を負傷したと伺ったのですが」

 ボブの表情は変わらない。今回のではなく前回の対グルタニカ王国戦。もう、5年くらい前の事だものね。

 私は子ども過ぎて、あまり覚えてないけど。

「はい。油断して、足に矢を射かけられてしまいました。ですが、日常的な動きは問題無いと医師からも言われております」

「ごめんなさいね。あなたがここで満足な働きが出来ないのでは? と、そういう事を言っているのではないのよ。騎士団の事は、わたくしが口を出す事では無いのですもの」


 それでは、なぜ? という顔をしているわ。この方、分かりやすいのね。

「それに本当に、平気そうに見えますわ。わたくし、あなたの足の話を訊くまでは気付きませんでしたもの」

「騎士団長から、お聞きになったのですね」

 ボブはにこやかな顔に戻った。

「いいえ。わたくしは、孤児院管理者のサマンサから聞いたのですわ」

 ボブに合わせて私もにこやかに言ったのだけど、何だか少し顔色が悪い。

「そう……ですか」

 それでもボブは、にこやかにそう私に返していた。

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