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CAT・FOOD!(凍結中?)  作者: 煌めきの宝石
2/3

プロローグ(後半)

ーーーーーーー


「若菜お嬢様、何故ここに?」


女性がそう聞くと、若菜は小さく呼吸してからまた冷徹な表情を見せつけた。


「・・・『玄関より上の階から双眼鏡で見たら、新入生が一人足りない』と、先生から聞いたので確認しに来たんです。」


「は、はぁ?」


「そしたら、突然おばさんの怒鳴り声が聞こえたものですから、本当にビックリしましたよ。」


「そ、それは・・・この子達があまりにもうるさかったのでっ!」


「お黙りなさい!同じ在校生だったらクビにしていましたよ!」


若菜は女性の言い訳を遮って先ほどの一喝に負けないくらいの大声で女性を叱りつけた。


「・・・・。」


女性を含めて関西弁の男子が率いていた他の高校生は完全におびえている


この時、進の目には小学生は表情を明るめに戻してから奥の小学校に向かっているのが見えた。


ーーーーーーー


・・・冷え切ったこの場面で、良く前に出て来たなと言える人物が


「おい姉ちゃん、何を堂々現れて何を堂々発言しとるんや?」


それはやはり、高校生リーダーだった。


「貴方、名前は?」


自分の名前を聞かれて、リーダーに腰にそれぞれ手を当てながら答えた。


甲機心(こうきしん) (かおる)と言うんや。」


「ぷっ!」


若菜は口と鼻で笑った。


「な、何がおかしいんや!?」


「ごめんなさい、あまりにもくだらなかったから。」


「!・・・お前も言うかぁっ!?」


薫と言う青年は、右手に拳をつくって若菜に殴りかかってきた。


「危ない!」


歩はそう呼び掛けるが、若菜の耳には届かず。


ーーーーーーー


若菜は鋭かった両目を更に鋭くして、前に出た腕を手の甲で受け流す


『!』


今度は自分の右膝を曲げてからその履いた靴の底を薫の左膝に当てた。


「ぎゃあ!」


そのせいか薫の体重は前に掛かる。

若菜はそれを狙っていたかのように、左手を捻ってから薫の右手首を掴んでそのまま後ろに投げ飛ばした。


「!」


とつぜん人が飛んできた事に驚きながら歩は条件反射で右に躱して、一方飛んできた薫は校門の真ん中で仰向けに倒れ込んでしまった。


ーーーーーーー


「・・・・。」



他の人達が不思議そうな顔で見守る中、薫は口からブクブクと泡を吹きながら両手両足の指先では痙攣を起こしている


どうやら頭を打ったショックで再起不能に陥ってしまった様子。


ーーーーーーー


姿勢を正した後で、若菜が他の男子達を目で威嚇すると、その男子達はまた自転車に乗って逃げて行った。


そして何時の間やら女性もいなくなっている?

いや、よく見ると若菜の足元で白目をむきながら意気消沈していたではないか



恐らくは若菜が登場する事を思いがけなかったせいで、こうなったのだろう。


「・・・・」


若菜は女性を少し見下ろした後、後ろを振り返って歩に言った。


「そこの貴方。」


「僕の事?」


「そうよ、貴方も後ろの人みたいになりたくなかったら、ちゃんと学校に通う事ね。」


そう言い終えてから鼻で息を吐くと、歩とすれ違いながら若菜は去って行く。


「?」


周りが彼女に注目するなか、そよ風で自分の髪を靡かせながら校門に入っていく彼女を追うように後ろを見ながら、歩は首を傾げる。


「(あの人は誰だろう?)」


歩は若菜の匂いに反応すると、強い吐き気襲われる


「うっ・・・!」


しかし左手で口を封じ堪えて、右手に持っているバックの持ち手を握り締めてから校門の中に入ってゆっくりと坂を昇った。


「・・・!」


それを見た人たちは驚いた表情をした後、若菜に叱られたくないと言う思いが強くなってその場を去る。


ーーー

ーーーーーーー



そして歩が校門に入って行った頃に、さっき若菜に怯えて逃げたはずであろう、薫の取り巻きのうちの神谷(かみや)啓介(けいすけ)が戻って来た。


ーーーーーーー



二人は校門の前でのびている薫を呼び起こす。


「「兄貴・・・兄貴!」」


その呼び掛けで薫は我に帰ると、上半身を起こす。


「・・・おまんら、なんでここに?」


薫にそう聞かれて、神谷が訳を話した。


「若菜に睨まれた後、やっぱり兄貴が心配で戻って来たんです。」


「・・・自転車は?」


その質問には神谷の後ろでしゃがむ啓介が答える


「兄貴のなら後ろで転がってるけど、俺たちのは裏の歩道で止めて置いた。今、竹道(たけみち)が見張っとる。」


「そっか・・・そんなら。」


薫は痙攣が収まった体を起き上げて気合を入れる。


「先生に怒られる前に、早く学校に行こうで!」


「兄貴、さっき呼び鈴が鳴ってたので怒られるは怒られるかと?」


神谷が言った事を薫は否定する。


「そいなら怒られてもちゃんと行くしかないで・・・・今日から通う()()()()()()()()()()()()()!」


「「・・・はい!」」


二人は大きく返事をした後にさっきもめた十字路の横を左に通って、薫は自分の自転車を起こしてからそれに乗って跡を追った。


「お~い、兄貴を置いていくな~・・・・!」


そして今では電柱の下で気絶しているおばあさんが登場した通路の奥に消えて行く・・・



ーーーーーーー



この後、校門の両端にあった『入学式』と書かれた立てかけの看板は、先生達の()によって体育倉庫に撤去、そして今までその影になっていたた学校の名前が描かれた彫刻がいま浮き出したように姿を現す・・・





ーーーーーーー

・・・名は『()()()()()()()()()()()()』と。

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