17.
さぁ、町の中を歩こう。
周りを見渡す限り、集合住宅かな。
色々な人がいる、作った物を売る人、買った物を売る人、会話をする人、椅子に座って寝る人。
ん、マーカーの示す場所は…あった…って一軒家?
うん、一軒家だ、二階建てで広そう。
扉を叩こうとしたら何か出た。
?…『此処はあなたの家です』
ふむ、扉を叩いたり、ドアノブに手を触れると住んでる人を確認できる…便利ですね。
よし、中に入ろう。
…多分、結構普通。
そろそろ食事の時間、メニュー…出た。
ログアウトっと。
ログイン。
帰ってきた。
特に特色のないご飯を食べたけど、こっちの世界でもご飯は食べれるのかな。
それはいいとして、外がうるさい。
扉をあけて外へ出る。
そして丁度目の前で、言い合いをしてました。
「お前な!」
喧嘩が始まったのかな、メニューにpvpなんて選択肢があったよね…突然使う気にはならないし、周りの人から話を聞いてみようか。
「すみません、此処で何が?」
「あ、あぁ、単なる言い合いだよ、『NPCだって生きてるからNPCなんかじゃねぇ』って人と『NPCはNPCらしくしてればいいんだ』って言ってる人達の」
「どっちがどっち」
「黒い方が生きてる方で、黄色い方がNPCらしく言ってる人」
「NPCはNonPlayerCharacterの略だよね」
「そうだね」
「らしくも何も無いんじゃ?ゲームそれぞれだし」
「…多分、特定の行動をするだけの人物的扱いのことだろうよ」
「そう…すこし遊んできましょう」
「あ、ちょっと!」
止めようとしてくるが半歩ずれて捕まえようとする手を避ける。
「人の家の前でうるさいですね」
「は?お前に関係ないだろ」
「いえ、NPCはNPCだけど、生きてると思うよ?」
「うっせぇな!」
「ちょっとそこの黒い人どいて、黄色い人にpvp申請送れないから」
「お、おう…って、え?」
黒い人は退いた後で、pvpと聞いて戸惑う。
そのうちにメニューからpvpを選択、モードは通常の体力が半々になるまで。
「ルールは簡単、何方かの体力が半分になるまでで、制限無し。これでいい?」
「わかった」
黒い人が諦めて引き下がった。
メニューを再度操作し、申請を送る。相手の名前は…ユサル。
カウントダウンが開始され、ユサルと言う人との距離が開く。
鞘に収まった刀を取り出し、左手に持つ。
5…4…3…2…1…僕が走り始めた、それと同時にカウントが0になり戦闘が開始される。
ユサルと言う人も剣を持ち走り始める。
剣が届く距離になった所で剣を振り下ろしてきた。だけど狙いが甘い。
右にずれてそのまま懐に入る。
刀を抜き放ち、相手を切り刻んで行き、戦闘が終了。
「終わり、自分の価値観を人に押し付けない事。これにだけは注意」
「…わかった」
ユサルと言うプレイヤーは凹みながらも、返事をする。
「あと、他人への迷惑を考えて…じゃあ」
「あ、ぁぁ…」
今更実感した、この焼き付けられた記憶って結構凄い。
けど、今回は相手プレイヤーが大雑把な行動過ぎただけだった。
時間は沢山余っているので、町の中心に行って見ましょうか。
暫く道を歩くと、広場の様な場所が見えてきた。
壁の側で布と商品を置いているのは、露店かな、この人達はプレイヤーではないみたい。
物流の面で行ってもやっぱプレイヤー以外も出入りする様だ。
耳を立てて聴いていると、pvpの事は既に噂になってるみたいですね。これはフードの付いたクロークが欲しいですね。
まぁ。これから夜になるから外で狩りでも始めようか。




