1.
目を開けると何時もの白い天井、起きても何もする事がない、暇だ。
ここは、病室と聞かれれば病室、密室と言われれば隔離された部屋であると答えれるけど、僕は結局は実験体。
毎朝、薬の飲まされて、映像を高倍速で見せられる。
でも何故か今日はまだ誰もこない。
暇だ。
僕は外から来た人に外はどんな場所か、どんな体験をしたのか毎回聞く。同じ内容でも何度でも聞く。
僕に外を知る方法はそれしかないから。
毎日、何を聞けるのか期待をしている。
あぁ、まだかな、僕の楽しい時間。
まだ一緒に遊ぼうよ…。
コンコン、ガチャッ。
「失礼します、此れから私と共に来てもらいます」
…あれ、いつもと違う?
「何故着替える必要があったのでしょうか?」
「今は答えられません、此方へ」
僕の一度も出る事のなかった扉の外へ出るよう促される。
僕はその|命令(指示)に従いつつ、質問をする。
「何処へ連れ出されるのですか?」
「私はその質問に答えられる権限はありません」
「どうして貴方は僕を外へ?」
「組織の決定による行動です」
「組織に縛られているのですか?」
「いいえ」
「そうですか、楽しいですか?」
「わかりません」
そこから無言で僕は扉を幾つも潜り抜ける。
「実験体0A、此れから目的地へ向かいます」
『りょ…か…』
何か小さな音が聞こえた気がするが、聞き取れなかった。
建物の出口に置かれていた黒い車に乗せられた、ふと思いついた事を聞いてみる。
「貴方の名前はなんですか?」
「…その質問に答えられません、CXで結構です」
「CX、何かのニックネームやゴードネームですよね、意味を教えてください」
「答えられません」
「わかりました。外は本当に部屋に来ていた人の言っていた通りの場所ですね、緑があって青い空があって建物がある。でも段々緑が減って嫌な予感がします」
「そうですか、君は楽しい?」
「はい、楽しいですよ」
「そう…」
無言のまま時間が過ぎていき、2時間経った頃に車が止まった。
「到着しました、指示を待ちます」
『り…う……』
『し…く…、そ…へ』
「車を降りてください」
指示に従って降りる。
「付いて来てください」
大体数分歩いたところで少しだけ大きめの建物に辿り着いた。
「手を出してください」
言われた通り手を差し出す。
鍵を渡された。
「これは鍵ですか?」
「はい、今日からこの寮で暮らしていただきます」
「寮。ですか、学校と言う物ですか?」
「そうです。明日から貴方は学校へ行っていただきます。又、寮に機材は準備させていただいたのでこれまで行っていたゲームもできます」
「ゲームですか…これまで行っていた?前から僕を知っていたのですか?」
「…貴方は今日から羽咲 白兎です」
「羽咲 白兎ですか初めて名前をもらいました」
「…そう、荷物は先に中へ入れておきました。靴を脱いで仕舞い此方へ」
寮の中へ入って通路を進んで行く。
「貴方の部屋はここです、部屋を出る際は鍵を必ず閉めてください。明日の予定は朝起きたらこの先を曲がった先にある通路を通って学校へ向かい、そのまま職員室へ向かってください。トイレは突き当たりにあります。風呂は反対に今来た通路にありますが、入る時間帯には気を付けて下さい」
「はい、わかりました」
「では失礼します」
扉を開けて部屋へ入る。
中は前居た部屋より少しだけ広いけど、大きめの機材が置いてあるから狭く感じるや、電気代大丈夫なのかな?
今できることを終わらせてからゲームをしましょうか。




