第13話 昏き絶望でかすかに光る
気が付くと、僕はそこに立っていた。
黒一色の空間を見たときはまだ寝ているのかと思ったが、下を見れば自分の身体を視認できるため目は開いているのだろう。
ならばここはどこなんだろう?どんな経緯でここにたどり着いたんだろう?
今に至るまでを必死に思い出そうとする。が、直前の記憶への接続が上手くできない。何度試しても、その度に靄がかったようなもどかしい感覚になる。
確か、バライスおじさんの頼みで、メイとレンの3人で山の麓まで鉱石を取りに行ったんだ。それの帰り道に……。
やはり無理だ。続きがあるはずなのに、思い出せない。
そうして僕が考えていると、唐突に後方から光が漏れ出す。
身体ごと顔を後ろに向けると、とても眩い光に目を閉じてしまった。しかしそんな抵抗も関係ないかのように輝き続ける光。わずかに目を開け、光源を見てみると……。
かすかに見えたのは人の影。ちょうど光が弱まったのか、その人影が鮮明に見えるようになる。そこにいるのは────。
『メイ!』
メイが、立っていた。いつもと変わらないその姿で、ただ目を瞑ったまま。
彼女ならなにか分かるかも知れない。そう思って駆け寄ろうとした。
しかし、その瞬間。いや、メイが目を開けた瞬間か。
今まで輝いていた光が、瞬く間に全てを飲み込む闇へと変わった。
突然動く気を無くした僕の身体は、ただ目を見開いた状態のまま固まってしまった。
僕が動かないのを確認したのか、単に時間が来てしまっただけなのか、メイはゆっくりと踵を返して闇の奥へと進む。
やがてメイの身体が光り始め、小さな光の粒へと変わっていく。
待ってくれ、と叫ぼうとした口はわずかに歪むことしかせず、追いかけようとした足はピクリとも動かない。
霧散したメイだったモノは、その世界に広がった。 全体を照らすには足りなさすぎるほどわずかな光に、唯一、腕だけを前に出すことが出来た。
ここで取り戻さないと、また大切なものをを失ってしまう。
また……?
あぁ、そうか。
僕はすでに一度、大切な物を失くしていた。
前はその腕に剣を握っていたか。
何も持たないその手に、光粒がたった1つ、迷い込んでくる。
ゆっくり握りながら、そっと願う。
この光だけでも、守られればいいな────。




