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見習い魔女の受難  作者: あろん*
小さな魔女の誕生
5/12

もふもふ

ブックマークと評価がついて舞い上がってしまったので本日2話目を投稿。

やっと説明役を出せました。

 

 針を突き刺した瞬間、眩しいくらいの光が神託紙から溢れ出し私はとっさに目を覆い庇う。


「なにこれ、なんなのよ!もう、ほんとにわけがわからない!文字は読めないわ光り出すわ、私がいったい何をしたのよ!」

 ヒステリーだなんて言わないでほしい。追い込まれて、追いつめられて、追い打ちをかけられてここまでされたら誰だってこうなると思う。

 私は叫ばずにはいられなかった、きっと母には聴こえているけれど部屋に入るわけにもいかずに、おろおろしているだろう。わかっていても叫ぶのが止められなかった、だってすでに数分間も閃光が止まないのだ、指の隙間から入って来る光だけで目が眩みそうな程の光が、だ。


「やれやれー、乱暴に突き刺すから力の制御に手間取っちゃったよ。小さな主はずいぶん乱暴なんだねー?いたずらかな?師匠はどこ?君にたっぷりきっちりきつーいお仕置きをしてもらって僕を戻してもらわなくっちゃ。」


 声がする?閃光がよわまって目を開けられるようになってすぐ捲し立てるように私に何かが話しかけて来る。周りを見渡してもだれもいない。


「えっ?ええ?」


 人間気が本当に動転すると言葉が出なくなるらしい。


「無視かー、全く失礼ないたずらっ子だなー。はぁーなんで僕はこんなおチビちゃんに呼ばれたんだ。ねぇ君、もうお仕置きしてほしいだなんて言わないからさっさと君の師匠の所につれて行ってよ。」


「わ、私はおチビちゃんじゃないわ!もう成人だってしてるみたいだしちゃんとした大人です!師匠って何のことよ!?大体あんな光を出しておいて、自分の姿も現わさないで人の事おちびちゃんだなんて失礼よ!出て来なさい!」


「何言ってるんだい、光は君が勢いよく魔力を流したからだし、それに出て来なさいって、僕はずっと君の頭の上に乗ってるじゃないか姿が確認したいのなら適当に下ろして確認しなよ。師匠は師匠さ、そうかいたずらじゃなくて君がしっかりした大人だって言うなら、見た目はあれだけど君は相当優秀でもう巣立ってるんだね。なら安心だ。僕はフィル、君の使い魔として呼ばれたのさ。君の名前は?」


「頭の上?巣立ち?使い魔?えーっと私はカティア、ティアって呼んで?」


 自己紹介をされたので反射的に自分も名乗り他の意味がわからない事をオウム返し返答し、意味のわかった頭上にいると言う言葉を確認すべく、ゆっくりそこに手を伸ばすともふもふとした何かがそこにはいた。

 もふもふをつかんで眼前に下ろすと狐とネズミを足して2で割ったような小型の生き物が腋の下に手を入れられて抱かれ尻尾をゆらゆら揺らしていた。



「えっと、ごめんなさいフィル。私よく状況がわからないしフィルが何をいっているのか全くわからないわ。私は今ここでギフトを授かっていて、失敗したら終わりなのに、それなのに読めない言葉が出てきて・・・やけっぱちで刺したら凄い光と一緒にフィルが出てきたの。」


 私の把握している状況とフィルの想定している状況が明らかに食い違っている、まずはそこを擦り合わせない事には話がはじまらない。それにしてもちょっと口が悪いこのもふもふを抱きしめたい感情に駆られる、現状の整理が落ち着いたら思う存分もふらせてもらえるよう交渉してみよう。


「えっ!えーえーっと。えぇーーっとぉー。つまり、ティアは今、自分が何の職についたかわかっていないって事?」


「ええ、そうよ。」


「ガァァァーーーーン!」


「ご、ごめんなさい・・・。でもどうする事も出来なかったのは本当。」



 表情の変化はほとんどないのにショックを受けた事がありありとわかるフィルの様子につい謝ってしまう。


「ちょっと机に下ろして。」


「え、ええ。」


「つまりティア、君はこの文字が読めないにもかかわらず誰にも相談せずに!適当に針を刺したって言うのかい!?」


 机におりて残った神託紙を前足でポンポン叩くフィルのいちいち動きが可愛いが言っている事がおかしい、相談できたらどれほど良かったことかそれを考え無いわけがないじゃないか。


「だって第三者がいると効果が出ないってそう言われて・・・。」


「何を言っているんだい?そんなわけがー・・・ってこの紙かなりいじってあるね。こんなことするのは人族しかいない。なるほどーそういうことかー。」


 顎に手を当てるようなしぐさでなにかぶつぶつ言っているフィルが一人何かに納得するようにうんうん頷いている。


「よし、何となく状況はわかったよティア、説明していくからわからない事とか食い違いがあったらその都度質問してね。まずは最重要な職についてだね、ティアが訳も分からず選んだここには魔女って書いてある。ティア、君の職になる。聞いたことあるかな?」


「おとぎ話でお姫様を苦しめたり、悪い薬を作って王子様を殺してしまうっていうあの魔女?」


「それは人族の世界のイメージかい、そうだね間違ってはいないね。魔女は悪者だ、だからティア、君が魔女だって事は誰にも言ってはいけないよ、バレたら火あぶりにされてしまうからね。」


 文字が読めなかったとはいえなんていう職についてしまったのだろうか、火あぶりは極刑の中でも上位に数えられるほどの刑だ。


「ひ、火あぶりなんて絶対嫌!なんで絶望の未来を避けようとしているのに悪い方に悪い方に進んでいくの!?」


「おおっと、ごめんごめん怖がらせちゃったかな。大丈夫さうまく隠せばバレたりしないさ、何て言ったって君は魔女何だからね。そうだなー、何か別の職に就いたって事にしようこの9個の中からだと、そうだね調薬師なんてどうだい?」


 そもそもその9個が全く分からないのだが、フィルは軽い調子でその中の一つであるという生産職を勧めてきた。


「生産職はダメ、徒弟になれるようなコネが無いもの。ねぇ、その9個の中からなら選んでいいの?」


「コネ?そんなものはいらないと思うけどなぁー。そうだねこの9個の中から選んではいけないのは狩人と弓士それと魔導師だ。」


「魔導師!?あ、なるほど『魔』導『師』と『魔』女ね・・・。」


 魔導師といえば冒険者の花形ともいえる固定砲台高火力職で自分にその適性があったというのにそれを謎の文字のせいで選べなかった事に落胆する。


「大体その文字はなんなの?見たことも無いしいったいどこの文字なのよ。」


 八つ当たり気味に聞いてしまったが、これからの自分が火あぶりを避けるために職偽装を強いられるはめになったのだ当然だと思う。


「この文字かい?これは森人の文字だね。」


 エルフ文字だと言われてカティアは絶句する、一部の学者や研究者ですら完全には読めないと言われている大昔の言語ではないか。


「なんでよぉ・・・何でそんな文字ででるのよぉ・・・・・。」


「なんでだろうねぇ、でもほら起きてしまった事を悔やんでも仕方ないさ?ね、話を戻すよ。残りは革工師、骨工師、細工師、呪術師それと調薬師だ。この中からならどれでも偽装は可能だけれどどれが良いかはティアが決めたらいい。」


 このもふもふは落ち込む隙も与えてくれないらしい、軽く話を流されてしまう。


「他の3個はわかるとして、呪術師っていうのはどんな職なの?名前から言って凄く不穏な空気があるんだけれど。」


「呪術師かい?うーん、そうだね。魔法使いにも色々とタイプがあってね。呪術は長期的に継続して効果を与える事に特化した魔法使いってところかな。最初は呪いの触媒集めなんかからスタートするから偽装も安心さ。」


 呪術はダメだ長期的や継続的などその時を生きる冒険者には悠長すぎる。細工師は貴金属を多用する資産が無いととても立ち行かない。骨や革は下手に出来てしまう分、新しいスキルを取得していないと疑われそうである。つまり―――。


「なんのコネも無いけれど、調薬師でお願いします・・・。それはそうと、どうして魔導師とかはダメなの?」


「だからコネなんていらないってー、まぁいいや調薬師だね、コネの件や戦闘職がダメな理由も後で説明しよう。まずは偽装の紋章を付けちゃおう。ティア手をこっちに出して。」


 あっさりととんでもない事を言い出すフィル、魔女の使い魔だと自分の事を言っていたような気がするけれどこんな事が出来て知識もたっぷりありそうな彼の事も色々聞きたい。

 そんな事を考えながらカティアは素直に手をフィルの前に出し、彼のもふもふの手で手首をくすぐられるのを堪能するのであった。







誤字脱字が多くお見苦しいかと思います。突っ込んで頂ければただちにすぐさま修正したく思います。

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