8.あれはなんだった?
真っ白な部屋のような空間に1人途方に暮れている。
確か前に蘇らせた時もこんな夢見たなぁ。
早く目が覚めないかな。
「おーい」
びっくりした。
夢の中で誰かに声を掛けられた。
振り返るが当然誰も居ない。
「変な夢だな」
「夢だけど僕は存在してるよ」
「変な夢だな」
「あのー」
しつこいな。その存在してるって意味が分からんが、とりあえず返事する。
「なんですか?」
「久しぶりだね」
「なんですか?」
「だから、君とカミスと話すのは久しぶりだねってこと」
考えても分からん。どうせ夢だし付き合うか。
「久しぶり〜。元気にしてた?会いたかったよー」
知らんが。
「絶対分かってないよね。僕のこと」
「そ、そんなことないよ。えーと田中さん?」
自分で言ってなんだが、田中ってなんだ?
村ではそんな名前ないよな。
「日本人の苗字って」
うん?日本人ってなんだ?
「後、2年くらいかな。ちゃんと思い出すよ。きっと」
なんのことだ?
「そろそろ起きる時間だよ。今日はカミスにとって大変な日になるけど、頑張ってね」
何が大変かが分からん。
「田中さんも頑張れよ」
「いや。田中ではないよ」
そろそろっていつだよ。早く目が覚めろよ。
「じゃあね。ポチ」
「僕の扱いは犬になったの?」
長いな。
そう思ってたらやっと目が覚めた。
「あれはなんだった?」
まあいいっか。
うん?後頭部に柔らかい何かを感じる。
それにこの周りに結界が張ってある。
寝たまま目線を上に上げる。
「おっぱ・・」
ゴチンとグーがどこからか飛んで来た。
「いったー」
どうやらエルフが膝枕をしてたようだ。
だって急に見えたから思わず声に出しただけなのに。
「目が覚めたか。まる1日寝てたぞ」
「おはようございます」
「もう直ぐ夜だぞ。それに上を見るな。起きろ」
「いや。動けない。いや。動かない」
「どけ」
こわっ。はいはい。起きますよ。
「その服破けてますよ。ビンボーなんですか?」
姫とか言ってたっけ。
「いちいち見るな。それにお前がやぶいたのだろ」
「半分は魔族ですよ。俺は仕方なくというか治療のためというか」
「寝る前にも聞いたが、お前が魔族を倒したのか?」
うーん。面倒だな。よし。惚けよう。
「いえ。違います」
「お前だろ。それに儂を生き返らせな」
やばい。バレてる?
ますます面倒だな。魔法は知られたらダメって言われてるし。
「早く帰らないと親父に怒られるので。では、さようなら〜」
剣を拾い逃げる。
「待て。まずはお礼をしたい。それに近くにドラゴンが二匹いるから危ないぞ」
お礼はいらんがドラゴンだと。何も感じないが。
「お礼はいらない。それよりドラゴンってなんですか?」
「直ぐ近くでドラゴンが暴れている。結界を張っているから向こうもこちらも感知出来ない」
近く?・・・村は?
「結界を消して。今直ぐ」
「わ、分かった」
エルフが結界を消した。
「やばい。村の方だ」
そう言うなり村まで急いだ。全力だ。
エルフは放っておいて大丈夫だろう。
田中の言ってた大変な日ってこれかよ。
ちゃんと言えよポチ。