7.お休みなさい
さーてやるか。
とりあえずエルフの上の服を少しだけ破く。
うん。ドキドキする。
ちゃんと意味あるよ。
このまま蘇がえらせても傷が致命傷なら直ぐに死ぬし。
「傷はここだけか」
胸の傷に手をかざして治す。
はい。華麗に治りましたよ。傷跡も残らないですよ。お嫁に行けますよ。蘇ればね。
「さぁーて、やるか」
傷を治すのは多分いくらでも出来る。
しかし、蘇がえらせるのは一回だけ。
魔力を全開にする。
両手に魔力が集まる。
「くぅっ」
魔法が発動した。全身の力が抜けていく。意識がだんだん遠くなる。
3回目だけど慣れないなこれ。
ほれ。起きろよ早く。
「うっんっ」
失敗かなーと思ったらエルフの意識が戻って来た。こちらは意識がなくなる寸前だけど。
エルフは驚いたように目を開け、露わになっている胸を手で隠し直ぐさまその場から飛び起きた。
「見たけど触ってないよ」
やべぇ。冗談言ってる場合じゃないな。
視界がぼやけて来た。
「お前は誰だ?あっ、魔族は?」
もうお話しの相手は無理ですよ。
魔族が寝ているであろう方向をかろうじて指差した。
そっちを見ているかは知らんが。
「お・・れ・は、・・ね・る・。お・ま・・え・は・、か・・・え・・れ・・・・お休みなさい」
遠退く意識の中で思った。
なぜお休みなさいだけ普通?