5.あの〜。帰っていいですか?
やばい。
直ぐにでも逃げたいが、動いたら殺されるかも。
「ほう。人間にしてはなかなかだな」
何がなかなかか知らないがあえてスルー。
一見して人に見えるが背中にはコウモリのような羽と頭には角、そして真っ赤な目。
魔族ってやつか。ますますやばい。
「ただの村人Aですよ。何も見てないです。はい。では、ご機嫌よう」
そぉっと魔族の方を見たまま、後ろにゆっくりと退がる。
「待て村人A」
「はい。村人A待ちます」
引き止めるなよ。
子供は帰る時間ですよ〜。
お前せいで親父に怒られるだろ。
言えないけどさ。
「目的は既に達成した」
魔族の視線が倒れている村人Bに向いた。
「そのようですね。お仕事ご苦労様です。で、何かようでごいますですはい。でしょうか?」
やばい、敬語が分からん。
怒らないでね。
「お前に興味がある」
何でまとめて喋らないのかな。時間掛かるだろう。
「どんなですでございますか?」
これ何語だろう?
「殺すには惜しい」
やっぱりそうなるよね。
「ただの村人Aですよ。 殺す価値もないでありません」
「いずれ我らの脅威となろう」
なんでそうなるかな?
「いえいえ。なりませんです」
「いや。なるな」
なんでそうなるかな?面倒くさい。
「帰っていいですか?」
言ってやった。
「そこのエルフの姫もまた我らの脅威」
あるぇ⁉︎
姫とかエルフか・・・うん。聞こえない。
逃げよ。