35.やべぇ
最近では店に来るのは冒険者ばかりだ。彼らの魔物退治も必要だろう。銅貨一枚で欠損も治した。
冒険ギルドからは専属契約の依頼が来ているが、店に並ばなければ診てやらない。
他国からもヘッドハンティングが来るようになった。
そんな中、隣の帝国から使者が来た。
「我が帝国に来てもらおう。断れば貴様の家族や国が無くなるぞ」
「今直ぐ帰らなければ帝国が無くなるぞ」
目には目をだ。
「面白い。帝国を脅すつもりか?」
「残念だが脅しではない。警告だ。二度は言わん」
「警告だと。貴様の愚かさを後悔するればいい」
面倒だ。カトレアが組合の長になってから、もう直ぐ一年が経つ。
いろいろ準備があるのだ。結婚式の。アイリスの両親に挨拶しなければいけないし、なりより結婚といえば二次会のビンゴだろう。
国王に相談しに城に来た。
「帝国が攻めて来るかもしれん。先に潰してもいいか?」
「なんと。それは本当か?」
「ただの脅しかもしれんが、攻める口実が出来たのも事実だ」
「なんとかならないか?」
「俺が帝国に連れて行かれば解決するぞ」
「それは避けたい」
「それより帝国は欲しいか?」
「欲しいとは?」
「あちらから来るんだ。滅ぼされても文句は言えんだろう」
「否、帝国などの大国なんて支配出来ん」
「そうか?別の案を考えておくよ。とりあえず警戒しておくことだ」
一カ月後、帝国からの進行が確認された。
国境の砦前には帝国軍が今にも攻めて来そうだ。
その数、凡そ5万。
砦に転移すると指揮官に会いに行った。
「国王の命で来た。これからあいつらを倒して来る。ここで大人しく見ていてくれると助かる」
「カミス様、国王より聞いております」
帝国軍は進行を始めていた。
「将軍、門の前に一人立っています」
「気にするな。押し潰せ」
多少の犠牲は仕方ないか。
カミスは右手を前に突き出すと、帝国軍の半分が消し飛んだ。その先の山も消えていた。
やべぇ。いつの間にか威力が倍増している。
「王国の使者だ。すまん。やり過ぎた」
すると帝国軍の将軍が前に出て来た。
「降伏する。儂の首と引き換えに兵士達は助けて欲しい」
「分かった。武器はここに置いて全員帰れ。将軍は俺と一緒に皇帝に会いに行く」
「承知しました」
帝国軍は武器と鎧を捨て帰って行った。
「では行くか」




