3.すげ〜
親父と別れていつもの森に来た。
この森にも魔物はいるが、勝てない相手ではない。
まぁ、勝てなそうなら逃げるだけだし。
とりあえず周りより少しだけ太い木を見つけて黒い鞘から剣を抜き、鞘は適当に置いた。
「こんな普通の剣で切れるのか?」
剣を横薙ぎに構えて力一杯振り抜いた。
「えぃ」
一応掛け声を出してみた。
「あるぇ⁉︎」
感触がまったく無かった。
木が剣をすり抜けたようだった。
「切れない剣かよ。使えねぇ〜。やっぱり魔法だな」
最後もう一度だけ試して帰ろうとさっきと同じように横薙ぎに構えた。
剣を握る手に力を入れた瞬間・・・
木に一本の線が入ってゆっくりとズレて行く。
なんだ〜?何が起こっているか理解出来ないでいると・・・
バランスを崩した木がでかい音を立ててカミスと反対側に倒れた。
「切れてたのかよ」
今度はやや斜め上段に構え、さっき倒れた木の残った残った部分を狙い剣を振り抜いた。
すぅ、っと先ほどと同じで感触はまったく無かったが、今度は直ぐに切れた木が滑り落ちた。
「すげ〜」
まじですか。これ何でも切れんじゃねぇ。
今度はカミスと同じくらいの大きさの岩を見つけ2回目と同じように斜め上段に構える。
うーん。剣が折れたら怒られるかな?
思い止どまりそぉっと剣を岩の上に刃先から置くと何の抵抗も無くまるで空気を切るような、もしくは岩がそこに無いような感じで剣が岩に吸い込まれる。
「すげ〜」
この剣、最強じゃねぇ?
なんて思ってると岩を全て切りさらに地面に剣が吸い込まれる。
うん。俺最強。この剣を誰か知らんがくれた人、とりあえずありがとう・・・・って、俺のこと捨てやがったな。
危うく物に釣られて極悪人に騙されるとこだった。