2.どうするって言われても
少し力を入れただけですんなりと剣が鞘から抜けて行く。
「うん。普通の剣だね」
あっさりと抜けた剣はどう見てもただの剣だ。
「やはり抜いてみせたか。お前と一緒置いてあった剣だ。何か意味があるのだろう」
と村長は言う。
いや、寧ろ抜けない方が面白いと思うが・・・。
言ったらまた、げんこつを食らうので言わない。
少しは成長した。
「それではこれからどうするかのー。元々お前の能力は異常だしのう」
異常と言われるのには理由がある。
まず、この村では稀な魔法が使えた。
何となく使えていたが、唯一魔法が使える村長の奥さんこと、うるさい婆さんから人前で使うのを禁止されていた。
なんでも無唱和で使うのは上級の魔法使いで大抵は王都しか居ないらしい。居ないというか連れて行かれるらしい。
なんでかは知らん。
その中でも回復魔法は凄いらしい。
まだ8歳ごろに魔物討伐に行って死傷者が数人出たときに、なのとなく出来そうな気がして負傷した村人を魔法で治した。
中には腕を欠損した人も治した。
後から聞いたら欠損した部位を元通りに治す魔法なんて無いらしい。
極めつけは死者を蘇らせた。
恐らく条件があり、死後間も無いこと。
もう一つはこの魔法を使うと1日気を失うこと。
それは成功してもしなくても気を失った。
これは2人いた死者のうち始めに魔法を使った人だけが蘇った。1日経って意識が戻りもう1人に魔法を使ったが気を失っただけで蘇らなかった。
婆さんは村人に1人目は元々死んでなどいなかったと言い、村人もそれで納得した。
俺は納得出来なかったが両親と村長夫婦に魔法に付いて村人にこれ以上何も言わないよう言われた。
納得しなかったのは救えなかった方の家族に謝りたかっただけだった。
他にもいろいろな魔法が使えるが俺しか知らないし、それが異常かどうかなんて知る方法は無かった。
「お前はどうしたい?」
親父も村長と同じように聞いて来た。
「どうしたいって言われても、今まで何も考えてねぇし、良く分からんとしか言えねぇよ」
「ほっほっ。それもそうだろう」
村長が笑いながら言うが別に面白いこと言ってねぇし。
「まだ、焦ること無いしのう。ゆっくり親子で話し合って決めのが良いのう」
なら、最初からそう言えよと村長に目で訴える。
どうせ伝わらんが。
「では村長のおっしゃるとおりに、話し合ってこれからカミスがどうするか決め、報告させていただきます。今日のところはこれで帰らせていただきます」
親父ナイス。
これで帰れると思い剣を鞘に戻して立ち上がった。
村長の家を出て、これからの生涯の中で一番後悔する行動を取った。
「なあ親父、この剣使ってみたいんだ。森に行ってもいいか?」
「ダメと言ってもどうせ行くだろう。あまり遅くなるなよ」
「分かった」
これが親父との最後の会話だった。
そして母親や村長、村人全員を救えなかった生涯後悔し続ける過ちだった。




