19.親バカめ
ポチの言っていたお礼ってこれかよ。
絶対面倒なことになるだろう。
「儂はこの国の王であるパトリック・アストレアだ。神託に出てくるほどの人物だ。神の加護があるのだろう。王国としてカミスを重要な役職に就いてもらいたい。できればセリーナと結婚し王国を支えてもらいたいがどうだ?」
「お父さん‼︎」
セリーナ王女が慌てている。
いきなり村人と結婚とか言われれば、誰だって慌てるさ。
「まずは敬語が苦手ですが宜しいですか?」
「構わないよ。神の加護がある者だ」
「加護があるかは分からんがありがたい。では結婚については断る。セリーナの意思ではないからな。娘の結婚相手くらい本人に決めさせてやれよ」
うーん。無駄に格好付けたかも。実はちょっともったいないかもと思う。美人だし。
「親としてはそうしてやりたいが、国王としては娘より国民を選ぶ」
「良い国王なんだろうな。支えるとは大袈裟だが困ったことがあれば出来る限り協力してやる」
はい。次はそこをなんとかって言ってよ。
「では代わりに何か望みはないか?」
親バカめ。やはり娘が可愛いか。
「では二つ。一つはなんでもいいから身分証が欲しい。王都や街の出入りができればいいから役職などいらん。二つ目はブラックドラゴンを買取って欲しい」
もうお金で解決。大人の対応ね。
「分かった。身分証は適当なものを直ぐに作らそう。ブラックドラゴンは買取るが、なにせ前例が無いからな。おそらくこの国の一年間の予算より多いかもしれん」
「村から出たことがなかったからお金の価値がさっぱり分からんがそんなにはいらん。それに二体いるから一体は国庫の足しにでもしてくれ」
「ありがたいが、これではどちらがお礼をしているか
分からないではないか。では毎年白金貨100枚としよう」
「よく分からんがそれでいいよ」
何とか纏まったようだ。価値については王都でも見て調べよ。ロスト王女。幸せにね。
「では屋敷を用意しよう」
「こっちで探すからいいよ。暫くは王都にいるが他の国も見てみたい。何処にいるか連絡はするし絶対に裏切らないから安心しな」
「そう言ってもらうと、とても心強いよ。今日くらいは城で休むが良い。お金を用意しとこう」
「ああ、ドラゴンの置場も教えてくれ」
それから城の中庭に案内されドラゴンを二体出した。ブラックドラゴンにも空間魔法にも驚いていたが、直ぐに部屋まで案内してもらった。
明日は王都を見て廻ろう。
リアルメイドとのトークタイムも程々にふかふかのベッドで寝た。




