1.誕生日プレゼント
今日は13歳の誕生日。
とはいえ両親に拾われてから丁度15年なので本当の誕生日ではないだろう。
その両親は実の子供のように育ててもらった。
そんな親父から大事な話があると一緒に村長の家に向かっている。
小さな村なので村長の家と言っても他の家より少し大きいだけ。
「カミスそこに座れ」
今年で60歳になるハゲた爺さんこと村長に言われ床に座る。
俺はカミス。
村では悪ガキで悪友達と問題ばかり起こしている。
そんな俺を呼び出した村長はどうせ説教だろう。
いたずらが多過ぎて寧ろ思い浮かばない。
「何かしたっけ」
言った途端に親父からげんこつを食らった。
「いってぇ〜」
「言葉に気をつけろ。そして大人しく聞いていろ」
頭を摩りながら親父を睨むと、ハゲた爺さんからの話が始まった。
「気にせんで良い。カスミが成人になったときに話すと、お前の両親と決めていたのだ。お前を拾ったときの話をするぞ」
「10文字以内でね」
また親父からげんこつを食らった。
増えたたんこぶを摩っているとハゲた爺さんは何事も無かったように話始めた。
無視かよ。
「13年前の今日、お前はこの村の入り口に綺麗な布に包まれ手紙と剣が一緒に置かれていた。始めに気が付いたのはお前の親父だ。その手紙にはお前の名前と成人したら剣を渡してほしいと書いてあった。これがその剣だ」
ハゲた・・・面倒だからもう村長でいいや。
村長は後ろ置いてあった一見して普通に見える黒い鞘に入ってる一振りの剣を手に取った。
「なんだ〜もっとこう〜、宝石とか付いた剣じゃないのかよ。貧乏な親父の剣の方が、まだ見た目が良いよ」
「こら」っと言いながらまたげんこつを食らった。
「ほっほっほ。これは誰が抜こうとしても、抜けなんだ。手に取ってみろ」
と言って村長が剣を前に出した。
普通に見えるその剣を両手で受け取った。
「軽っ」
手に取ってみて、まるで子供が遊びで使う剣に真似た木の枝のようだった。
これがこれから先ずっと扱う俺のチートな武器と知るのはほんの直ぐ後だった。
「ほう。その剣が軽いか。わしには寧ろ重いがのう。お前には抜けるかもしれんの」
そう言われ左手で鞘を掴み、右手で持ち手を掴み少しだけ力を入れた。