表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
センターライン  作者: 佐久間みほ
始まり(1年春)
9/20

スタートライン-8

初めての場所で、選手の名前も何もかも分からない。

何人かAチームの人たちは去年の選手権に出てた人だから分かったけど、それ以外はほぼ同じ顔に見えてしまう。

Bチームには3人、坊主頭が居た。

1年で既にBチームにいるということは、それなりに結果を出して推薦で入った人たちなのだろう。

その中に同じクラスの春山くんもいたのには驚いた。

同じ1年、負けないように頑張らないと。

もう一度気合を入れなおして、仕事に没頭した。


次はビブスが必要な練習。

AチームとBチームのゲーム形式の練習だ。


「宮城さんはスコアつけたことある?」

「はい、中学の時につけてました」

「じゃぁ、このゲーム、付けてみてくれる?」

「わ、わかりました」

「といっても背番号ないから選手わからないか…」

「下から1番でつけて行って大丈夫ですか?」

「お、とりあえずそれでやってみて。」


下から1番、というのはゴールキーパーが1番ということ。

Aチームは4-3-2-1のフォーメーションをとるみたいだから、2番は右サイドバック、センターバックが3と4、左サイドバックが5…

そんな風に持ってきたメモ帳に形を描いて、番号を振っていると、上から影がかかった。


「へー、宮城はサッカー知ってるんだな?」

「島田さん、彼女中学の時マネージャーやってたんですって。」

「なるほどどうりで。」

「なかなかですよね」

「そうだな。あとは選手の名前と顔を一致させることだな」


そういって、頭をガシガシ撫でられた。


「が、頑張ります…」

「ちなみにBは3-4-3だ。まぁビブスの番号でつければいい」

「はい!」

「よし、じゃひとまず10分ハーフで始めるか。いいな、形にとらわれすぎるな。あとはラインコントロール忘れないように!はじめ!」


中学でやっていたといっても、さすが全国一を取ってるチームだ。

早い。何より流れも動きも全然違う。

追いついて行くだけで本当に大変だ。

当たり前だけれど、たった10分ハーフの練習でも全員が本気だ。

何よりゴール数がどちらも多い。

記録を残していくことが本当に大変で、メモ帳は波線や矢印でぐちゃぐちゃになってた。


「どう?」


丁度5分間の休憩中を見て、必死でスコアを埋めていた私に原田先輩が声をかけてきた。


「あ、すみません…ドリンク」

「あーいいのいいの、大丈夫よ、それよりスコアどう?かけた?」

「一応…。ただやっぱりスピードが全然ちがくて…」

「どれどれ…。あら、全然かけてるじゃない。」


原田先輩の声を聞いて、島田コーチもボードを覗き込む。


「おお、思ってた以上だ。あのゲームでよくかけたな」


ニヤリと笑った島田コーチを見て、私も合点が行った。

わざと得点が多く入るようにしていたのだ。

勿論、島田コーチの怒声はところどころ聞こえていたけど、その内容はほとんど頭に残っていない。

やられた…と眉毛をハの字にしたところで、島田コーチも原田先輩も笑い出した。


「後半はちゃんとかけるようになるから大丈夫だ。流石にあれを後半も続けたら、あいつらAチームじゃないだろ?」

「…はい。」

「ま、いい勉強になったわな?」

「島田コーチ、5分経ちましたよ」


原田先輩の助け舟(?)により、後半はさすがに前半のような怒涛のゴールラッシュは皆無だった。

【用語】

ポジション

・ゴールキーパー(GK)…ゴールを守る選手。唯一ペナルティエリア内で手でボールを扱うことができる。

・ディフェンダー(DF)…主に後方で守備を行う選手

 サイドバック(SB)…DFの中で主に左右を守る選手(右SB、左SB)

 センターバック(CB)…DFの中で主に中央を守る選手

・ミッドフィルダ-(MF)…主に中盤で守備と攻撃とをつなぐ選手

・フォワード(FW)…主に前線で攻撃を行う選手


フォーメーション

GKを除いたフィールドプレーヤー10人をDFから順に置いた数字。

・4-3-2-1… DFが4人、MFが3人、(もしくは4人)、FWが3人(もしくは2人)

・3-4-3 … DFが3人、MFが4人、FWが3人

ただし、DF以外のMF、FWの人数に関してはチームの戦略によって配置が異なる。

(攻撃的の場合はFWが多く、MF登録であってもFWの役割をする等)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ