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センターライン  作者: 佐久間みほ
始まり(1年春)
7/20

スタートライン-6

入学式の翌日は、部活動紹介。

マンモス校だからこそ、部活動も多い。

1学年500人強の生徒が入ってもまだ余裕がある大きな体育館の舞台上で、持ち時間一杯にそれぞれが部員募集の声を上げていた。


私立丸川高校はサッカーを筆頭に、野球、テニス、柔道、剣道、卓球、バスケ、バレー、体操、バドミントンとかなりの数が全国レベルだ。

部員数はそれぞれ100を超えている。

だからこそ、花形の部活に入るのは勿論、マネージャーも入部するのは至難の業だったりする。

それぞれが真剣にやっている、それを影で支えることができないミーハー根性の持ち主は徹底的に除外されるのだ。

いかに全国一を取り続けるために3年間を捧げられるか、それだけ。


長く続いた部活動紹介の時間を終えれば、後はホームルームを終え、各々希望の部活に入部依頼届けを提出しに行く。

サッカー部の顧問である体育科主任の鬼頭きとう先生を訪ねることにした。

名前からして怖そうだが、見た目も怖い。

竹刀片手に厳つい体で校門に立っているのを見ると、それだけで背筋が伸びるものだ。

野球部の総監督である体育科副主任の木山きやま先生と並ばれると、山がそびえ立っているようにも思える。


体育教官室のドアをノックし、「1年10組宮城香枝です。鬼頭先生に入部依頼届けを提出しに来ました」と、神谷先輩が教えてくれたことを忠実に守って、緊張しながらもハッキリとした声で告げる。


「入れ」


くぐもった声でも、その低い声は聞き慣れない。

恐れても仕方ない、とドアを開け、鬼頭先生の元へ向かった。


「なんだ、入部依頼か?」

「はい、宜しくお願いします。」

「準備は?」

「持ってきています」

「じゃ、今日から1週間な」

「はい、宜しくお願いします。」


頭を下げ、集合場所を再確認し、部屋を出た。

ちゃんと、言えただろうか。

中学の時の先生も厳しい人だったから、それなりに鍛えられてきてはいるけど。


今日から1週間。

マネージャーですらテスト期間を設けられる。

邪魔をせずに、いかに効率よく動けるか。

それを先生を含め、先輩マネージャーと部員達に判定を下されるのだ。

廊下を走らない程度に早歩きし、クラスに戻る。

荷物をまとめていると、間宮祐希まみやゆうきこと祐ちゃんが声をかけてきた。

彼女と話をしたのは部活動紹介の時。

出席番号が前後していたので、挨拶はしていたけれど、ちゃんと話したのはついさっきだ。

野球部のマネージャーを志望している彼女も入部依頼届けを提出してきたらしい。


「どうだった?」

「緊張したよー。今日から1週間だって」

「今日から?!」

「祐ちゃんは?」

「私明日からでいいって言われた。今日は部活トレーニングだけだからって」

「そうなんだ、良かったじゃん」

「良かったのかな?でも宮ちゃん頑張ってね!」

「ありがと!じゃ、行ってくるね!」

「うん!また明日聞かせてね!」


数人の名前も覚えてないクラスメイトに手を振って別れを告げ、ロッカーへ向かう。

部活棟とは別に、各クラス男女別にロッカーが設置されており、そこで着替えを手早く行う。

持って行くものはポケットに入る小さなメモとペン。

たぶん、メモをする時間すら与えてもらえないと思うけど。

時計を確認して、ロッカールームを出る。


向かうは第2グラウンド。

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