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◆都市伝説番組 霊能者一族の闇


闇に消えた都市伝説●●●●

 〜日本社会を裏から牛耳る霊能者一族〜


以下は2010年に某テレビ番組で放映された都市伝説番組を文字起こししたもの(番組名と出演者は伏字)


――――――――――


司会者(芸人):

さぁ続いてのストーリーテラーはこちら!


ナレーション(VTR):

出演した都市伝説番組は数知れず。

テレビのオカルト番組には欠かせないこの界隈の顔とも言える存在。

眉唾物のネタばかり持ってくるが、ときには視聴者の度肝を抜く逸話を引っ提げてくることも。

果たして今回の都市伝説は単なるネタか、それとも現代社会のタブーに切り込む本物なのか!


司会者(芸人):

おなじみ、構成作家の□□でございます!

 

<照明が落とされオカルト的な装飾の施されたスタジオが画面に映る。司会者(芸人)、ゲスト(タレント)、そして語り手(構成作家)の三者がテーブルに向かい合っている構図>

 

司会者(芸人):

さぁ□□さん。

今回はどんな都市伝説を持ってきてくれたんですか?


語り手(構成作家):

〇〇さん。

今回は“とんでもないネタ”を持ってきましたよ。

過去イチ、ヤバいやつです。

 

司会者(芸人):

ほんまかいな?

いつもしょーもないガセネタしか持ってこんやん!

前回のは名古屋市にある心霊市営バスやったっけ?

夜に利用すると腹が痛くなって便意をもよおすやつ。


語り手(構成作家):

前回のあれは忘れてください(笑)

ネタ切れと体調不良が重なっただけなので。

今回はガチの都市伝説です。

日本の歴史の裏側をお見せします。

 

司会者(芸人):

歴史の裏側ねぇ。

まぁとりあえず聞かせてもらおうか。


語り手(構成作家):

はい、今回私がご紹介するのは『日本社会を裏から牛耳る最強の霊能者一族』です。

突然ですがみなさん、陰陽師ってご存知ですか?

 

<スタジオのモニターに安倍晴明の肖像画と五芒星が映し出される>

 

語り手(構成作家):

陰陽師は怨霊や怪異による災いを鎮めるために祭儀や祈祷を行っていた役人です

陰陽五行説に基づいて天文、太陰太陽暦の作成なども行っていました。

平安時代に最盛期を迎え、有名どころだと安倍晴明とかがいますね。

 

ゲスト(タレント):

映画とかも有名ですよね。

あとは十二神将の式神とか。

白黒の勾玉を組み合わせた太極図も有名ですし。

今回の都市伝説は陰陽師なんですか?

 

語り手(構成作家):

いえ、陰陽師がテーマではないです。

 

司会(芸人):

違うんかいな!

なんやったん今までのくだり!?

びっくりするわ!

 

語り手(構成作家):

いえ、まったく無関係じゃないんで(笑)

陰陽師もちょっとかすってますから。

それほど強力な力を持っていた陰陽師がどうして時代とともに廃れていったと思いますか?

現代じゃ霊媒師や除霊師は聞いても陰陽師なんてまったく聞かないですよね?


ゲスト(タレント):

それはたしか明治維新の近代化政策の影響ですよね?

西洋諸国と暦を合わせるために太陰太陽暦ではなく太陽暦を採用したことや、陰陽道が迷信とみなされて陰陽寮の廃止や天社禁止令が発布されたこととか。


語り手(構成作家):

◇◇さん、なんでそんなに詳しいんですか!?

これから説明しようとしたのに半分くらい言われちゃいましたよ!


ゲスト(タレント):

ええ!? そうだったんですか?

明治時代の歴史が好きだったのでつい……

なんかすいません。

 

司会(芸人):

もう◇◇さんが語り手やった方がええんちゃうか?

□□よりも詳しいやろきっと。

 

語り手(構成作家):

勝手に語り手変えないでくださいよ◯◯さん!

こっからが本題なんで問題ないです。

そう、表向きの歴史では陰陽道は迷信と囁かれ、近代化の波に消えたことになっています。

そんな不遇な扱いを受けた陰陽師ですが、実は表舞台から消えた理由が他にあったとしたら?

そもそも怪異や怨霊を祓っていた陰陽師がいなくなって、なにも影響が出ないなんて都合が良すぎるんですよ。

怪異や怨霊が本当に実在したなら、陰陽師の役目を引き継いだ何者かが台頭していた可能性が高い。

 

司会(芸人):

何者か?

なんやねんそれ?


語り手(構成作家):

それが今回、私がご紹介する都市伝説の肝です。

陰陽師の役目を引き継いで日本社会を魑魅魍魎から守ってきた裏の存在。

それが歴史の裏で暗躍した霊媒師一族だったんですよ。


ゲスト(タレント):

霊媒師ですか? イタコとかの?

でも、大昔の霊媒師って自分の身体に霊を宿して代弁するだけの霊能者ですよね?

本業は除霊じゃなかったはず。

 

語り手(構成作家):

おっしゃる通り。

本来の霊媒師は霊と人間を仲介するだけの霊能者にすぎません。

ただ、今回紹介する霊媒師一族は異質の存在なんです。

いったん陰陽師に話を戻しますが、そもそも陰陽師の特異な力って、なんだと思いますか◇◇さん?

 

ゲスト(タレント):

やっぱり式神を扱える、つまり神様を使役できる力ですかね?


語り手(構成作家):

そうです!

人型の白紙を通して神様を使役することで陰陽師は何百年と活躍してきた。

ただ、その力を未来永劫引き継ぐのは難しかったんですよ。

なぜなら神様は穢れを嫌うので。

代を重ねるごとに家系の持つ生活の穢れや、祭儀で負った霊的な穢れが積み重なり、陰陽師たちは徐々に式神を扱えなくなった。

そして神様に見放された陰陽道が迷信だと囁かれはじめたのが江戸時代末期から明治時代初期にかけて。

このままでは人類が魑魅魍魎に対抗できる術を失ってしまう。

途方に暮れる陰陽師を尻目にこれまで日の目をみなかった霊媒師の一族がある怪異に目をつけたんです。

それが一昨年のスペシャル番組で私が紹介した胎児の怪異、骸童(むくろどう)だったんですよ!

 

司会(芸人):

骸童ってあれか?

古くから日本に伝わる胎児の怪異で産声を聞くと化け物を身籠もってしまうってやつ。


語り手(構成作家):

そうです、〇〇さん!

まさか覚えていてくださったとは!

骸童は胎児の怪異とはいえ存在自体は神様に近い。

どちらかといえば邪神ですけど。

そして霊媒師は元々、降霊術に長けた霊能者。

その身になにかを宿すにはもってこいの資質を持ち合わせていた。

だから霊媒師は骸童に目をつけたんです。

陰陽師の家系が十二神将に見放される中、魑魅魍魎を祓える強大な一族をつくりだすために。

狙い通り霊媒師は呪術的な手段を用いて骸童を身籠もり、除霊することなくこの世に産み落とした。

それが人の姿をした化け物、九十九家初代当主の九十九小夜子だったんです!

 

司会(芸人):

九十九小夜子?

誰やねんそれ。

そんなやつ聞いたことあらへんぞ?


語り手(構成作家):

そりゃ大っぴらにはできないですよ。

人間からすれば得体の知れない存在ですし。

それこそ人道的じゃない手段でこの世に産み落とされてるわけですから。

それに九十九家の除霊手段は崇高な陰陽師の祈祷とは程遠いものだった。

陰陽師のように式神の力を借りた祈祷で除霊するのではなく、骸童の持つ呪力そのものを用いた呪殺が九十九家のお家芸だったんです。


ゲスト(タレント):

呪力による呪殺ですか?

なんだかホラー映画みたいですね。


語り手(構成作家):

以降、九十九家当主は骸童をその身に孕むことで現代まで強大な呪力と血筋を繋いできた。

陰陽師という拠り所を失った明治政府も、世の中に蔓延る魑魅魍魎に対抗するために九十九家の所業を黙認し続けるしかなかった。

日本社会を裏から操っていたのは一部の政治家でも資本家でもなく、さらにその上を行く悍ましい力を持った霊媒師の一族だったんです。

彼らが霊的なバランスを保つという名目で裏からこの日本社会を牛耳っていたんですよ!

 

司会(芸人):

おいおい、おまえはまたスケールのデカいことを。

胡散臭いなんてレベルじゃないぞ、さすがに。

絶対ありえへんって。

 

語り手(構成作家):

胡散臭くないですって(笑)

奥三河の限界集落に文献も残ってましたから。

“怪異対処班・ツクモ”――これはある古い政府資料に記されていた表に出せない秘匿資料。

正式な機関ではない何者かが裏で祓いを請け負っていた揺るぎない証拠です。

彼らは明治時代以降の日本の裏社会を築きあげ、今なお我々の日常のすぐ側で化け物を産み続けている。

信じるも信じないも、あなた次第です!


<スタジオ照明が暗転し、不穏なBGMが流れる>


――――――


この収録を最後に構成作家の□□はテレビ番組から姿を消した。

所属事務所も取材を拒否。

一部スタッフの間では上層部からなんらかの圧力が働いたと噂されている。

番組編集部は急遽、再放送を取りやめVTRの原本も破棄。

以降、九十九家の名前がテレビで取り上げられることはなかった。




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