◆某週間誌 YouTuber怪死事件の裏側
週刊現代●●●● 2024年8月第3週号
独占インタビュー記事
【視聴者が語る某大学生YouTuber怪死事件の裏側】
〜あの日、彼は何を問いかけ何に怯えたのか〜
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2024年6月、インターネット動画配信の世界を震撼させる事件が起きた。
当時の人気YouTuberだった下島拓也さん(享年22歳)が動画のライブ配信中に自らの腹部を刃物で刺し、命を絶ったのだ。
配信アーカイブは近日中に削除されたものの、その衝撃的な一部始終を目撃してしまった視聴者たちは今も深いトラウマに苛まれている。
今回、本誌編集部は下島さんの動画配信をリアルタイムで視聴していた匿名希望Aさん(20代・女子大生)の独占インタビューに成功した。
下島さんの自殺は本人の意思によるものだったのか、それとも巷で噂になりつつある都市伝説が呼び込んだ呪いだったのか。
Aさんの語る配信の裏側と下島さんの裏の顔とは――
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怪死事件が連日報道されてからおよそ二ヶ月。
当時の視聴者だったAさんの顔には未だに事件の恐怖が貼り付いているように見えた。
「あの日の配信動画は『都市伝説検証シリーズ』でした。
彼の配信動画の中でも特に人気のシリーズです。
検証対象は2000年代初期にネット掲示板で話題になった怪談スレッド『ノイズ』でした」
無類のオカルト好きでもあるAさんは下島さんの都市伝説検証シリーズを毎週欠かさず見ていたという。
配信中に下島さんが検証していたネット怪談『ノイズ』とはブラウン管の砂嵐に向かって特定の言葉を投げかけると、何らかの超常現象が起こるというアナログテレビ時代の都市伝説だ。
スノーノイズの向こう側は死後の世界と繋がっており、ノイズを通して死者と会話できると当時のオカルト掲示板を中心に賑わっていた。
「下島さんは意気揚々とこれから『ノイズ』を検証すると宣言しました。
スマートテレビのYouTubeアプリから『スノーノイズ』と検索し、画面に砂嵐の映像を映し出したんです。
それから配信部屋に設置されていたカメラに向かって『なにか起きるまで諦めずに言い続ける』と宣言してから、画面に向かって『お前は誰だ!』と繰り返しはじめました」
その配信はしばらく平穏に進んでいたという。
Aさんもこの時点では特に異常を感じていなかったそうだ。
下島さんはこれまでも恐怖演出を伴う検証をしており、少しの狂気は動画の演出として受け取られていた。
だが、数十分経っても超常現象の類いは起きず、視聴者たちも半ば退屈した様子で「何も起きないじゃん」「ただスノーノイズ垂れ流してるだけ」といったコメントが流れはじめたその直後だった。
「下島さんが『お前は誰だ』と繰り返してから三十分ほど経った頃でした。
最初は誰も気づかなかったんです。
けど、途中から配信音声に混じって変なノイズが乗りはじめました。
なんていうかマイクに風を吹き付けてるみたいな“サーーーッ”って音。
でも、部屋は無風のはず。
コメント欄に『マイク壊れた?』とか『変な音してない?』って書き込みが増えたんですけど、下島さんはまったく気付いていない様子でした」
Aさんを含む数名のリスナーがコメント欄でノイズの存在を指摘したものの下島さんは一切反応しなかったという。
まるで彼のマイクや耳にはそのノイズが届いていなかったようだったと。
彼はただ、明滅する画面に向かって狂ったように同じ言葉を繰り返していた。
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
――お前は誰だ!
コメント欄には「もうやめて!」「怖すぎる」「茶番だろ」といった言葉が並びはじめていた。
だが、Aさんはその瞬間、背筋を這い上がる嫌な悪寒を感じとったという。
「ノイズに混じって変な女性の声が聞こえてきたんです。
女の人の呻くような声。
“カエシテ……カエシテ……”って。
私の勘違いかもしれないですけど」
下島さんのライブ配信が異様な空気に包まれるなか、怪奇現象は静かに動き始めていた。
「変なノイズが乗りはじめて数分経ったころです。
それまで単調だった“サーーーッ”という音に混じって別のノイズが乗り始めました。
低く、断続的な“ジ、ジジ、ジジジ”という音。
まるでACアダプターがコイル鳴きしてるみたいな。
この新しいノイズが混じってから下島さんの様子は劇的におかしくなりました」
Aさんは当時の映像の記憶を辿るようにゆっくりと言葉を選んだ。
「彼は配信を続けていたにもかかわらず急に背後を向いたんです。
カメラのほうじゃなくて、真後ろ。
部屋の隅をじっとみつめて。
配信カメラには彼の背中と砂嵐の映像だけが映し出されていました。
それから数分、彼はずっと固まっていました。
動かないし言葉も発しない。
ただ、肩がかすかに震えているのが分かりました。
まるで背後に立っている悍ましい何かを目の当たりにしてしまったみたいに」
この数分間の沈黙は視聴者にとって計り知れない恐怖だったとAさんは語る。
そして、下島さんは突如としてゆっくりカメラの方を振り向いたという。
「彼の顔を見たとき私は息を飲みました。
それまでのふざけた表情は消え失せ、彼の顔には今まで見たことのない恐怖が張り付いていました。
何かに怯えているというより、この世で最も恐ろしいものを見てしまったという絶望的な表情でした。
次の瞬間、彼は机の下に手を伸ばしてカッターナイフを取り出すと何の躊躇いもなく自らの腹部を刺したんです。
あの時の彼の充血した目と引きつった笑顔のような表情が今でも忘れられません」
下島さんの不可解な自殺はネット上ですぐさま『ノイズ』の呪いとして拡散された。
オカルト信者たちはこぞって「彼は怨霊を呼び寄せてしまった」「問いかけに応答があった」「死者と交信しようとして霊障を受けた」と口々に語った。
だが、Aさんは彼らとは違った見解を示していた。
「都市伝説の『ノイズ』を自殺の原因にあげるオカルト信者も多いですが私は違うと思います。
私は彼に天罰が降ったんじゃないかと思っているので」
編集部が眉をひそめて「天罰?」と尋ねると、Aさんはふっと不敵な笑みを浮かべた。
その顔には先ほどまでの恐怖の色は微塵もなかった。
「下島さんは表向きは若くて才能ある大学生YouTuberとして人気を集めていました。
彼のルックスはまるで男性アイドルのようでしたから。
女性ファンが圧倒的に多かった。
けれど、彼の女癖の悪さに関しては古参ファンや界隈でも悪い噂が絶えませんでした」
Aさんの話は下島さんの華やかなイメージとはかけ離れた裏の顔を暴露するものだった。
「彼はその人気にあやかって女性ファンに次々手を出しはじめたんです。
俗に言うファン食いというやつです。
それも本気で付き合うわけでもなく遊び目的で何股もしていたと。
避妊もせずに女性を妊娠させてしまい、中絶を強要するトラブルを起こしていたとも噂されています。
彼の女性関係の乱れは目撃情報も含め、あまりにも有名な話だったので」
Aさんは自らの言葉に力を込めるよう続けた。
「彼が最期にみせたあの怯えた表情。
あれは彼によって心身を傷つけられ絶望させられた女性たちの生霊だったのかもしれません。
彼は最後にその生霊を配信という場に引き寄せてしまった。
だから、彼は砂嵐に問いかけた何者かではなく、自らが招いた過去の報いを受けてああなったんだと思っています」
不敵に微笑むAさんの顔には悲しみでも憐れみでもない不気味な静けさが漂っていた。
Aさんの話が事実だとすれば下島さんが亡くなった原因は目に見えない天罰だったのかもしれない。
そう考えると、あの日の衝撃的な配信映像の裏には深すぎる人間の業が隠されていたことになる。
呪いか、心の闇か、それともただの偶然なのか。
事件の真相はいまだ解明されないままだ。




