表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

◆某オカルト月刊誌 2025年11月号掲載 女子大生インタビュー記事


◆取材対象:S・Aさん(名古屋市内の大学生・22歳)


あれは大学の試験前夜の出来事です。

日付が変わって、たぶん二時近かったと思います。

締め切りが迫るレポートと翌日の試験勉強。

焦燥感だけが募る一方で教科書の内容はまったく頭に入ってこない。

私は半ば諦め気味に教科書を広げたまま冷たい机の上に突っ伏していました。

もう眠いし退屈だし、頭ぼーっとしながら現実逃避するようにスマホでYouTubeを眺めてたんです。

そしたら突然画面が音もなく切り替わって、最初は広告かと思いました。

だけど妙なんですよ。

 

普通の広告なら音楽が流れたり派手な商品名が映ったりするじゃないですか?

それがなんか“ザーーーッ”って砂嵐の画面だけ。

テレビのケーブルを抜いたときに映る白と黒の微細な粒子がざらざらと動くやつ。

めちゃくちゃホラーっぽくて最初はYouTubeのシステム障害かと思いました。

だけど、その画面をじーっと動かず眺めてたら、その砂嵐に混じってか細い女の子の声が聞こえてきたんです。


“カーゴメ、カゴメ……”って。


もう、鳥肌が立ちましたよ。

だって夜中の二時に突然こんな童謡が流れてきたら怖くないですか?

でも、そこで思い出しちゃったんです。

ネットで前に読んだ怖い話。

砂嵐の画面は死後の世界と繋がってて、スノーノイズを通して霊と会話できるってやつ。

 

で、私バカなんですけどちょっとワクワクしちゃって。

こう見えても根っからのオカルト好きでしたから。

怖さよりも好奇心の方が勝っちゃって、つい砂嵐の画面に向かって「聞こえてる?」って尋ねちゃったんです。

そしたらノイズに混じって“……キコエタ”って冷たい返事があって。

自分で聞いときながら固まっちゃいましたよ。

まさか、本当に返事が返ってくるなんて考えてもいなかったので。

だけど同時にテンションも上がっちゃって。

だって本当に幽霊と会話できたんですよ?

私にとっては夢みたいな状況でしたし。


ただ、その女の子は何事もなかったように“カゴメカゴメ”を歌い続けていました。

だから私も色々尋ねてみたんです。

どうしたの? とか。

あなたはだあれ? とか。

それから特に返事がなくて、最後の一節の“ウシロノ ショウメン ダアレ……”に差し掛かった時です。

首がこう――グッて後ろに引っぱられたんです。

本気で誰かに後頭部を掴まれたみたいに。

バキッて骨が軋む嫌な音がして視界がぐるんと反転して、息ができなくなって。

痛みはないのに首をへし折られた感覚がありました。

呼吸の仕方が分からなくなって喉が詰まるような窒息感に襲われたんです。


そしたら、ちょうど机の後ろにあった姿見に自分の背中越しの顔と知らない女の子の姿が映っていました。

赤い和服を着たおかっぱの女の子で顔はシワシワ、目は真っ黒。

白目が一切なくて、もう明らかに人間じゃない。

本気で「殺される!」って思ったんです。

だけど、次の瞬間には元の状態に戻っていました。

私は机に肘をついたままスマホを眺めてて、砂嵐の広告もいつの間にか終わってて普通に動画が流れてて……

 

あれはたぶん、あの女の子が死んだ瞬間を私に追体験させたんだと思います。

私になにかを伝えたかったんですよきっと!

友達には「夜更かしして寝落ちしただけじゃん」って笑われますけど。

全部ほんとの話なのに――――待って!

ほら、ノイズが聞こえる!

“ジジジ”って私を呼ぶ女の子の声が!

聞こえないんですか!?

信じてください!!


――――


[編集部コメント]

取材中、Aさんは妙に落ち着きがなく部屋の隅や天井をしきりに気にしていました。

質問には饒舌に答える一方、瞳孔は常に見開いたまま視線は私たちではなく背後の何かを常に追っていました。

途中、「呼ばれてる……」と急に声を落としたかと思えば誰もいない空間に微笑みかけ、すぐに怯えた表情に戻る。

その切り替わりがあまりに不自然で取材していた私たちも言葉を失いました。

翌週、改めて話を伺おうと連絡を取りましたが電話に出てもらえず、大学側によると彼女は現在行方不明になっているとのこと。

警察が失踪届を受理しているものの、手がかりは依然として掴めていないようです。

この証言が彼女の最後の痕跡なのかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ