◆新聞記事の切り抜き[2022年10月20日]
【名古屋市のアパートで40代の男性が孤独死】
――異様な光景に残された不可解な謎――
名古屋市内の木造アパートの一室で独身男性が死亡していたことが判明した。
亡くなったのは同市に住む鹿野 幸平さん45歳。
9月19日午前8時頃、異臭に気づいたアパートの管理人が部屋を訪れたことで鹿野さんの遺体が発覚。
警察は現場の状況から孤独死を疑いつつも、不可解な点が多いとして慎重に捜査を進めている。
――ムカデの死骸と謎の張り紙――
遺体が発見された当初、部屋の中が荒らされた形跡は特になかったものの、一歩足を踏み入れると異様な光景が広がっていたという。
リビングには数十匹に及ぶムカデの死骸が散乱しており、壁や家具の至る所に乱雑な字で『みられている』と書き殴られたA4紙が貼られていた。
その字は強い脅迫観念に駆られて書かされたように歪んでおり、さらに司法解剖の結果、鹿野さんの胃の中から大量のムカデが未消化のまま検出された。
直接の死因はこのムカデによる食中毒とされている。
捜査関係者によると鹿野さんの遺体に目立った外傷はなかったものの、右足首に特徴的な赤黒いアザが残されており死因との因果関係を調査している。
――近隣住民の語る鹿野さんの人物像――
鹿野さんは2年ほど前から生活保護を受給しており、近隣住民との交流はほとんどなく、いつも怯えたように俯きながら歩いていたという。
「挨拶をしても返事がなく目を合わせることを避けているような人でした」
「部屋からひとりごとをぶつぶつ呟く声が聞こえてくるので気味悪がられていました。
夜中に突然、何かに向かって怒鳴っているような声を聞こえたことがあります」
「今月に入ってから姿を見ないと思っていたら、こんなことになっていてびっくりしました」
(同アパートの住民)
近隣住民の証言からも鹿野さんが極度の精神的不安を抱えていた可能性は高い。
だが、なぜ自らの命を落とす異常行動に走ったのか。
警察の調べによると鹿野さんの部屋の冷蔵庫には十分な食料品が残されていたとのことだ。
にもかかわらず、なぜムカデを食べるに至ったのか。
以前から昆虫食の趣向があったのか、それとも極度の錯乱状態の中で繰り返された奇行だったのか。
動機の原因は依然として分かっていない。
――スマートフォンに残された音源――
さらに不可解な点として鹿野さんが所有していたスマートフォンから大量のヒスノイズを録音した音源が見つかっている。
ヒスノイズとは“サーー”や“シューー”といった高音域の持続的な雑音を指す。
主にカセットテープの再生時に磁性体の不均一性により発生することが多いが、鹿野さんがこのノイズを何に使っていたのか具体的な用途や目的は分かっていない。
音源を解析しても特に不審な点は見当たらなかった。
また、かかりつけ医によれば鹿野さんは一年前から深刻な解離性障害を患っていたそうだ。
解離性障害とは強いストレスやトラウマによって意識や記憶、感情などが一時的に切り離されてしまう精神障害を指す。
症状には記憶の欠落、現実感の喪失、別人格の形成などが挙げられ、心理療法や薬物療法といった長期的な治療が必要となる。
今回の事件においても解離性障害が死因に関与している可能性は捨てきれない。
鹿野さんが亡くなった背景には単なる孤独死や食中毒では片付けられない、不可解な事件性が潜んでいる可能性が高い。
警察は事件との因果関係を探るため鹿野さんの交友関係、過去の病歴、そしてムカデの入手経路などを含め、引き続き捜査を続ける方針だ。
この謎多き孤独死が世間に与える動揺は少なくない。
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2022年10月20日の●●新聞掲載記事の切り抜き。
死因がおぞましく当時は度々話題に上がっていた。
某オカルト月刊誌の2023年9月号に掲載されていた短編小説『ムカデ男』はこの事件をモチーフにして作られたのではないかと思われる。




