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ヒスノイズ 02


 みなさん、お久しぶりです。

 筆者の柳瀬です。

 前回の書き込みから少し時間が経ってしまいましたが、私は今もこうして亜香里の行方を探すために動き回っています。

 まず最初にこれだけは伝えたいです。

 本当にありがとうございます。

 皆さんから寄せられた情報はどれも馬鹿にできないほど内容が濃くて、私ひとりではたどり着けないところまで踏み込むことができました。


 中には冷やかしや悪質なデマも混ざっていましたが、それでも声を寄せてくださった皆さんひとりひとりに感謝しています。

 なぜなら、その中に亜香里の行方に繋がりそうな手掛かりが見つかったから。

 残念ながら亜香里の行方はまだ分かっていません。

 警察の捜査も相変わらず難航しているようです。

 それでも以前よりは遥かに核心に近づいている気がします。

 特に決定的だったのが、ある方が教えてくださった古い掲示板の書き込みでした。

 2003年、某オカルト掲示板に投稿された『ノイズ』と呼ばれる怪談スレッド。


 内容はこうです。

 深夜、テレビの砂嵐の画面に声をかけると女の子の怨霊に取り憑かれてしまう。

 どこからともなく聞こえてくる“サーーーッ”というヒスノイズと女の子の声に悩まされるようになり、霊媒師のお祓いを受けるも効果なし。

 最終的に山のトンネルに巣食う神様に怨霊を引き剥がして貰って事なきを得たという全貌です。


 スレッドを読んでいる最中、私は随所で鳥肌が立ちました。

 内容があまりにも亜香里の状況と酷似していたので。

 覚えてますか?

 亜香里はよくスマホに録音したノイズ音源から女の子の声が聞こえると怯えていました。

 誰もいないはずの部屋の隅や教室の天井をじっと見つめていたり、女の子が呼んでると騒ぎ出したり。

 亜香里のインタビュー記事を読んでも、スマホを通して砂嵐の画面に声を掛けた形跡があります。

 2003年の『ノイズ』のスレ主と同じように。


 興味が湧いて私も同じことを試してみました。

 スマホでYouTubeアプリを開き『スノーノイズ』と検索して、表示された砂嵐の画面に向かって思い切って声をかけてみたんです。


「……聞こえてる?」

「……あなたは誰?」


 でも、何も起きませんでした。


「――お前は誰だ!」

「――お前は誰だ!」

「――お前は誰だ!」

 

『ノイズ』のスレ主と同じように繰り返しても“ザーーーッ”という耳障りな砂嵐が続くだけ。

 ふとした意識の変化で認知機能が低下している感覚はありましたが、女の子の声が返ってくることはありませんでした。

 私は疲れてスマホを投げてしまいました。

 やはり何か別の条件があるのかもしれません。

 曜日なのか時間帯なのか。

 それとも亜香里にあって私にはない何かがあるのか。

 あの『ノイズ』のスレ主はトンネルをくぐったことで助かったと投稿しています。

 つまり、亜香里も同じようにそのトンネルへ向かったはず。


 じゃあどうして亜香里は戻ってこないのか。

 もしかしたらトンネルを間違えてしまったのかもしれない。

 あるいは、そこまでたどり着けなかったのか。

 考えれば考えるほど分からなくなってしまう。

 ただひとつ確かなのは亜香里もトンネルを探している可能性が高いこと。

 怨霊から解放されるために手当たり次第にトンネルをくぐっているのかもしれません。

 

 あの『ノイズ』に出てきたトンネルはどこにあるのか。

 スレッド内では奥三河の近隣を匂わせていましたが、特定を避けるためのフェイクかもしれないし、地名もなければ写真もない。

 あまりにも漠然としていて手がかりになりませんでした。

 だから私は別の方向から探ることにしたんです。

 そのひとつが某オカルト月刊誌の特別対談記事に登場していた霊媒師のMさん。

 記事を読んだときから私はどこか引っかかっていました。

 対談でMさんが語っていた看護師をお祓いした事例。

 その中に出てきた怪異が亜香里に取り憑いた女の子の怨霊と繋がってる気がしたので。


 お祓いを受けたとされる看護師さんが小説サイトに投稿したエッセイでは、骸童は皮膚の縮れた顔に黒い眼窩が浮かんでいると書かれていました。

 顔の特徴が『ノイズ』に出てきた女の子の怨霊に酷似しています。

 もしかしたら、骸童の近縁のような何かが亜香里に取り憑いたのかもしれません。


 だから私はMさんに連絡をとることに決めました。

 幸い三重県なら愛知県からも近く、電車で行っても日帰りで帰れます。

 オカルト雑誌の編集部にMさんの連絡先を問い合わせてみるつもりです。

 そうすれば、何か分かるかもしれません。

 Mさんはオカルト界隈でも有名な霊媒師みたいなので、きっと有力な手掛かりが掴めるはず。

 それにしても、こうして文章にまとめてみると改めて恐ろしくなってきます。

 私はオカルト関係の専門家でもないのに、とんでもない事件の渦中に自ら飛び込んでいくみたいで。

 でも、ここで立ち止まるわけにはいきません。

 このまま亜香里を見捨てたくないから。


 だから、これを読んでいる皆さん。

 もしも似たような体験をされたことがあるなら何でもいい。

 テレビの砂嵐に女の子の声が混じってた。

 古いテープを再生したら録音していない声が入り込んでいた。

 見知らぬトンネルを通ったら不快な耳鳴りが止まらなくなった。

 どんな些細なことでも構いません。

 その断片が亜香里の行方を掴む手掛かりになるかもしれないので。

 私はそう信じています。

 だから引き続き情報提供をお願いします。

 なんとなくですが、あとちょっとで亜香里の居場所を突き止められそうな気がするんです。

 どうか皆さんの力を貸してください。


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