◆削除済みブログ さよちゃん
【ブログタイトル】
シングルマザー●●●●の育児奮闘日記
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これは2022年に投稿された記事の中から特に印象深かったものを魚拓として保存していたものであり、文体や表現は当時のままを再現しています。
途中から気味の悪い流れになるため閲覧は自己責任でお願いします。
――2022年4月19日(火)――
タイトル:名古屋市での新生活、ひとまず落ち着いたかな?
名古屋市への転勤が決まってからバタバタだったけど、ようやく新しいアパートでの生活も落ち着いてきた。
いおりの保育園の送迎にも慣れてきたし、職場の立地が思いのほか良いから助かってる。
新しい部署での仕事の忙しさから、正直、ママ友を作る余裕はまだできてないな〜
挨拶くらいはするけど、立ち話をする暇もないくらい業務が切羽詰まってるんだよね。
いおりには申し訳ないけど、しばらくは仕事に集中させてもらうしかない。
でも、いおりは楽しそうに登園しているからひとまずは安心。
前の保育園と比べてもすんなり馴染めたみたい。
環境の変化に弱い子じゃなくて本当に助かった。
この時期は特に風邪だけは引かないように注意しないとね。
ワンオペ育児で子どもが熱を出すと仕事にも影響しちゃうし、なによりいおりが辛いのが一番嫌だ。
免疫力アップのために野菜多めの献立を作らないと。
明日も頑張れ、わたし!
――2022年5月18日(水)――
タイトル:いおりの新しいお友達、さよちゃん
いおりが保育園から帰ってきて開口一番「今日はさよちゃんと遊んだ!」と教えてくれた。
なにして遊んだのか聞くと“あやとり”だと。
さよちゃんは赤い毛糸で橋とか星とか、いろいろな形を作り出せると自慢げに話す。
今どきあやとりなんて古風な遊びをする子がいるんだなぁと驚きつつも、微笑ましく思った。
スマホのゲームじゃなくて、こういうアナログな遊びをしてくれるのは正直嬉しい。
それから数日、いおりはさよちゃんと保育園でよく遊ぶようになった。
いおりが毎日楽しそうなのはいいことだ。
ただ、ある日の夕方の送迎時、さよちゃんがどんな子なのか気になって、いおりのクラスの保育士さんに尋ねてみたんだ。
「いおりがいつも遊んでるさよちゃんって、どの子ですか?」って。
そしたら、先生が首を傾げて「さよちゃん? 誰ですかそれ?」って呟いた。
「そんな名前の子はいないはずですが……」って。
意味が分からず一瞬、眉をひそめてしまったよ。
いおりが私に嘘をついていたのかな?
だけどあんなに嬉しそうに教えてくれたから嘘をついているようにもみえない。
もしかしたら、俗にいうイマジナリーフレンドってやつなのかも。
寂しさを紛らわすために空想上のお友達を作り出す園児もいるって保育士さんから説明を受けたし。
私が仕事で忙しくてあまり構ってやれなかったからかな?
そう考えると、なんだか胸が締め付けられる思いだ。
――2022年5月30日(月)――
タイトル:いおりのイマジナリーフレンドが不気味な件
いおりのイマジナリーフレンドが気になって、改めてさよちゃんがどんな子なのか聞いてみた。
「さよちゃんはどんな姿をしてるの?」
「さよちゃんの姿?
さよちゃんはいつも赤い服を着てる女の子だよ」
「顔は? 可愛いお顔してる?」
「ううん、顔は見えないよ。
だって、いつもフクロウのお面をつけてるから」
それを聞いて背筋がゾッとした。
子どもが好みそうな熊さんとか猫さんのキャラクターじゃなくてフクロウ。
それに顔が隠されているという設定がイマジナリーフレンドにしてはやけにリアルだ。
しかも、さよちゃんはほとんど無口でいつもいおりが一方的に喋りかけているらしい。
何歳なのかも分からないと。
これがごっこ遊びの範疇なのか、それともいおりの精神状態が作り出した複雑な何かを表しているのか。
正直、ちょっと怖い。
でも、ここで私がさよちゃんの存在を否定してしまうと、いおりの精神面に悪影響を及ぼしそう。
本人が飽きるまでそっとしておこうと決めた。
どうか、ただの空想の産物でありますように。
――2022年6月15日(水)――
タイトル:さよちゃんを家に連れてくるらしい
いおりがさよちゃんと一緒に家で遊びたいと言い出した。
一緒にお絵描きして遊びたいと。
いつにも増して真剣な顔でお願いしてくる。
イマジナリーフレンドを家に招待するなんて子供にしては設定が凝ってるなぁ。
まるで本当に来客があるみたいだ。
けど、いおりの意思を尊重して二つ返事で了承しておいた。
「いいよ。
さよちゃんにいつでも遊びにおいでって伝えておいて」
たとえ空想上の友達だとしても家の中で大人しく遊んでくれるならこっちも助かる。
近日中に終わらせないといけない仕事が山積みで、どうしても構ってあげられないんだよね。
そういえば最近、いおりと一緒に思いっきり遊んでやれてなかったな。
いつもパソコンと睨めっこしながら「ちょっと待っててね」って我慢させてばかり。
今のプロジェクトがひと段落したら週末にでも遊園地に連れて行こう。
いおりの寂しさが変なお友達を作り出す要因になってるなら、それは全部私のせいだから。
――2022年6月18日(土)――
タイトル:来た……のかな?
土曜日だけど私は一日中自宅で在宅勤務。
いおりは私の側で静かに遊んでて、少し経った午後2時頃、アパートのチャイムが突然鳴った。
『ピンポーン』
「あっ、さよちゃんだ!」
いおりが玄関に向かうのを制止して、ドアスコープから外を覗いたけど誰もいない。
玄関を開けて左右をキョロキョロしたけど宅配便の配達間違いかなって思ってドアを閉めた。
すると、いおりが「さよちゃん、こっちだよ」と言ってリビングでお絵描きの準備をはじめたんだ。
やっぱり、さよちゃんはいおりのイマジナリーフレンドだったみたい。
きっと、私があまり構ってやれないから想像上の友達を連れてくる『ごっこ遊び』をすることで、寂しさを紛らわせてるんだと思う。
クレヨンと画用紙を広げて、なにやら熱心に描いてるいおりを尻目に私は申し訳なく思いながらパソコンを開いて仕事に集中した。
締め切りが近い。
いおり、ごめんね。
――2022年6月23日(木)――
タイトル:昼間に変な音がする
最近、部屋の中で変な音がする。
なんていうか、カセットテープのヒス音をイヤホンで聞かされてるような音。
高周波なのに耳の奥で妙に響く感じ。
どこから聞こえてくるのかも分からない。
冷蔵庫のモーター音?
それともパソコンの冷却ファン?
しかも、不思議なことにいおりがリビングで遊んでいる間だけ聞こえて、いおりが寝静まるとピタリと消える。
日中の仕事のストレスからくる幻聴?
それとも電機的なノイズ源がどこかにあるんだろうか?
どちらにせよ、この音を聞いていると頭が重くなって気分が悪くなる。
あまり長引くようなら耳鼻科にかかってみよう。
耳鳴りの可能性もあるし。
――2022年6月28日(火)――
タイトル:ついカッとなって怒鳴ってしまった
最悪だ……今日はとんでもないことがあった。
いおりがリビングの壁紙に真っ赤な絵の具を使ってベタベタと手形をつけた。
しかも手形だけじゃなくて変な模様も壁一面に。
イタズラにしては度が過ぎてる。
新しく借りたばかりの賃貸アパートだから弁償しなくちゃいけない。
私が声を荒げるといおりは怯えた顔で「さよちゃんがやったの……」って誤魔化すもんだから、ついカッとなって怒鳴ってしまった。
「嘘つかないで!
空想の友達のせいにするのはやめて!
いい加減にしなさい!」
怒鳴られたいおりはその場にうずくまって大泣きしてた。
言いすぎたかなと思って、今、猛烈に反省してる。
動揺していたからすぐに抱きしめてやれなかったし。
私が仕事で構ってやれないのが根本的な原因なのに責任を押し付けてしまうなんて。
いおりは今もふてくされたようにベッドで背中を向けて眠ってる。
明日、ちゃんと謝ろう。
――2022年6月29日(水)――
タイトル:耳鳴りと独り言
昨日の壁紙事件を引きずってるからか今日はやけに耳鳴りがひどい。
キーンという高音が頭の中を這いずり回ってるみたい。
仕事が順調じゃないのもあるんだと思う。
それとも、いおりへの怒鳴り声が頭の中に響いてるんだろうか。
いおりはまだ拗ねてて私と口をきいてくれない。
ずっとリビングで独り言を呟いている。
「……うんうん、わかったよ……」とか。
「……いや、でも、それはダメだよ……」とか。
まるで誰かと本当に話してるみたいだ。
もしかして、イマジナリーフレンドに私の悪口でも言ってるのかな?
それとも私が反省してるのを知ってて、わざと大きな声で独り言を呟いてるのだろうか。
そう思うと、なんだか悲しくなってきた。
――2022年7月4日(月)――
タイトル:このアパート、心霊物件?
最近、部屋の中で変な視線を感じるようになった。
誰かにずっと見られてるような気がしてならない。
特に寝室にある押し入れの隙間から。
閉めておいたはずの押し入れのふすまがいつの間にか2〜3センチ開いてることが、ここ数日で何度もあった。
いおりに聞いても「開けてない」と言うし、私の閉め忘れ?
でも、開く角度がいつも同じだから妙に不自然なんだよね。
それとも、ポルターガイスト的な心霊現象が起こってるのだろうか。
いやいや、まさかね。
引っ越してすぐはこんなことなかったのに。
あの昼間のヒスノイズといい、耳鳴りといい、そしてこの視線といい、このアパートに引っ越してから何かがおかしくなってる気もする。
仕事のストレスで私の精神状態がおかしくなってるだけならいいんだけど。
――2022年7月8日(金)――
タイトル:さよちゃんの夢? それとも幻覚?
久しぶりに嫌な夢をみた。
いおりのイマジナリーフレンドのさよちゃんが私の目の前に現れる夢。
夜中、喉が渇いて目を覚ますと閉めておいたはずの押し入れが数センチ開いてて、その隙間から私の方をじっとみつめる何かがいた。
白いメンフクロウのお面を被った小さな子ども。
すぐに、いおりの言ってたさよちゃんが脳裏をよぎったけど、お面に空いた穴から覗いているのは人間の瞳じゃなくて真っ暗な瞳孔だった。
明らかに人間じゃない。
金縛りにあったみたいに体が動かなくて声を出すことも目を閉じることもできない。
ただただ、その黒い瞳孔に射抜かれるよう見つめ返すことしかできなかった。
それから少しして、さよちゃんのメンフクロウのお面がカタン、と傾いて顔があらわになった。
なにか悍ましいものを見てしまった気がするけど、どうしてもその顔が思い出せない。
気付いたらさよちゃんは居なくなってて、ふすまは閉まったまま。
全身から噴き出す汗が止まらなかった。
あれはなんだったのだろうか。
夢? それとも幻覚?
今も押し入れの隙間から誰かに見られている感覚が背中に焼き付いてる。
――2022年7月9日(土)――
タイトル:ほんとにイマジナリーフレンドなの?
今日は朝から、いおりとさよちゃんがかくれんぼをして遊んでた。
「もーいーかーい?」
「まーだだよー」
「もーいーかーい?」
「もーいーよー」
もちろん、いおりが全部口に出してるから、どちらかといえば“ひとりかくれんぼ“に近い。
「さよちゃんみっけ! 次はさよちゃんが鬼だよ!」
そんなことを言いながら午前中ずっとやってた。
だけど、途中からいおりが変なお面を手に持ってることに気付いたんだ。
白いメンフクロウのお面。
それも昨晩、私が夢で見たやつと同じお面だった。
「どうしたのそれ?」っていおりに尋ねたら「さよちゃんに貰った」って嬉しそうに言うし。
どういう意味?
さよちゃんって本当にいおりのイマジナリーフレンドなの?
――2022年7月10日(日)――
タイトル:さよちゃん
いおりがさっき寝言を呟いてた。
“もうすぐ、ママもさよちゃんのこと好きになるよ”って。
どういう意味だろうか。
耳鳴りで頭が痛い……
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この日を境に更新がピタリと止まっている。
ブログも数ヶ月後に非公開となり、ほどなくして削除された。
ブログ主と娘のいおりさんがどうなったのか、安否も含めてその後の状況は分かっていない。




