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魔族対赤い悪魔 

魔族対赤い悪魔 Ⅳ にあたる部分です。

 ほんの少し前までマンジューク銀山へと向かう渓谷の入口兼攻略の拠点としてアリターナ軍兵士で溢れかえっていたベンティーユ砦。


 赤地に大きく描かれた金色の球体。

 自らが支配するすべての大地に降り注ぐ恵みの光を示すものとされる、そこから放射状に伸びる同色の直線。


 七色を使用した横縞の旗とともにその砦の最も高い場所に誇らしげに掲げられたその地の支配者に返り咲いた国の旗を三人のアリターナ人が仰ぎ見ていた。


 アントニオ・チェルトーザ。

 それから、アルバーノ・アルタムラとジョイヤ・モンタガート。


 アリターナ王国が誇る交渉人集団「赤い悪魔」の幹部たちである。


 だが、「赤い悪魔」の創始者で組織のトップであるチェルトーザとともに交渉先に出向く者としてふたりが発表されたとき、「赤い悪魔」内では、無言のざわつきが発生していた。

 なにしろ、アルタムラは次席交渉官という肩書を持つこの組織のナンバーツーの人物で、もうひとりのモンタガートは肩書こそ外務担当という平凡なものであるものの、その職務の中身は各国の王宮に深く入り込んだ組織を使った情報収集という重要な役割を担っている事実上裏方のトップでアルタムラと同格の存在。

 つまり、組織のトップ三人が揃って出かけるということなったのだから。


 いうまでもないのだが、それは、万が一、交渉中に害されるようなことになれば、三人を一挙に失うことになる。

 しかも、今回の交渉相手は魔族。

 その可能性は十分にある。

 そうなれば、組織がガタガタになることは避けられず、下手をすれば崩壊ということだってあり得る。


 多くの者が疑問を抱く。


 陛下より内命を受けたチェルトーザはともかく、アルタムラ、モンタガートのどちらかは王都に残るべきではないのかと。


 チェルトーザもそのような意見が出てくることは最初からわかっていた。

 もちろん、彼らが口にするようにそれが組織運営上問題であることも。

 だが、それを承知でふたりの同行を決めた。


 それだけこれが重要な交渉だということを示すものだといえるが、それとともに、それは自らの組織に対してのチェルトーザの自信の表れともいえる。


 当然問題点には気づいてはいたものの、自分たちが当事者であるため、チェルトーザに言い出すことが出来なかったふたりの代わりにその役を買って出た執事ファウスティーノ・オルバサーノの直接的な表現による忠言に対して述べたものとされるチェルトーザの言葉が残されている。


「すでに組織は出来上がっている。心配ない。だが、もし我々三人を失った程度で崩壊するようであれば、そのような惰弱な組織は不要だ。すぐにでも消えればいいのだ」

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