友達(金づる)ゲット
私達は今迷宮に潜っている。前回は対人中心だったので分からなかったが…
こいつら普通に強い。
前衛で剣を振るうのは、人どころか、蚊を殺すのも躊躇う癖して、魔物は平気で殺す金髪偽善者ジーク
あまりにもチープな表現過ぎて使いたくないのだが、こいつは面のみに限れば白馬の王子と言うべき異常に優れた容姿をしている。顔の造形だけだと美少女と見紛う優男だが、怜悧で冷酷そうで知的さを漂わせた碧眼が男であるという事をはっきりと認識させてくる。
さらにこいつは人間相手でなければクソ強い。
もっと言えば本人の戦闘能力はチンカスレベルだが武具が強い。
単純に大概の魔法金属なら豆腐の様に切り裂ける切れ味と、鈍器として使っても鋼鉄程度の鉱物なら容易く砕ける硬度、それに加え【悪魔系統特攻】【吸収無効化】のルーンが刻まれた疑似聖剣ハースニール
ハースニール級の硬度と耐久を持ち【持続回復リジェネ】【不死耐性】【火炎耐性】【悪魔耐性】の四つのルーンが刻まれた、売れば3代は遊んで暮らせるコッズアーマー
【持続回復】【龍種耐性】【石化無効】を持つコッズシールド
【持続回復】【魔術結界】【冷気耐性】が刻まれたコッズヘルム
【持続回復】【獣系耐性】【毒無効】
これらの付与が刻まれたコッズガントレット
おまけに剣は火炎系統の、鎧は祝福系統の、盾は治癒系統の、兜は冷気系統の、小手は核熱系統の魔術をノーコストで使えるようになる効果が付与されている。おまけのレベルじゃないだろう。
本人の能力は装備抜きなら剣も魔術も馬鹿共の中で最底辺だが装備込みなら物理魔術共に最強と言っても言い
レベル5くらいはあるだろう。
レベル 簡易的な戦闘能力の指標だ。南の都では戦闘能力をEからSまでの六段階で評価されているらしいがこちらの方が細かく戦力を判別出来る為私はこっちの形式の方が好きだ。
基本的に人類の限界がレベル15、それに対し魔王らは当然の如く30を超す。
ちなみに私のレベルは1だ。戦闘技術や精神面を考慮しない、身体能力と魔力とスキルのみで判断される単純な計り方だが強者は基本的に一定水準の技術を持っている上、身体能力や魔力程圧倒的な差がつかないのが技術なので、基本的にこれで大体の戦闘能力は測定出来る。
よく馬鹿が、技術なければパワーは意味ないだの、パワータイプは噛ませだの、見せ筋だの、クソみてぇな事言っているが戦闘能力に一番関わるのはフィジカルの強さだ。技術のある蟻が象に勝てるのか?隕石を、回避()や受け流し()と言った戦闘技術でなんとか出来るのか?って話だ。
何で格闘興行がレベルや体重で分けられてると思う?
フィジカル程技術が勝敗に影響を及ぼさないからだ。流石に戦闘技術皆無の人間は弱いと思うがそうでなければ大差ない。
もっとも【憤怒の魔王】という、適切なタイミング、適切な角度、適切な威力で刃を入れれば非力な存在でも万物を殺せるし、隕石が降ってこようとも、最適行動をとればダメージを完全に受け流せると実演して証明した化け物がいるがあんなのは例外中の例外だ。
そしてこいつは配慮もデリカシーも無く、卑しい身分の皆は僕が守ってあげるからねだの、相変わらず小汚い乞食みたいな服だね小夜子ちゃんとかほざくカスだが便利な仲間《駒》ではある
傭兵アリアの戦闘能力も安定して優秀だ。
敵を後衛に行かせないようブロックし一瞬の隙をついて手足を破壊しスリングでの投石までこなす。
前衛として90点の戦闘能力を安定して出してくれる。
チズギュド僧侶チェインも回復術方面は回復量が少なすぎて戦闘中使うのはキツいが、力は戦士に匹敵する程度にはあるようで、戦士に足を潰された相手を仕留める、後衛の肉癖となるなど技術が無いなりに頭を使って動く。
食事と言った迷宮探索の細々とした事を率先してやってくれるのもこいつだ。なんというか全体的に細かいことに良く気づき、気配りが得意なのがこいつだ。私の過去の知り合いにこんな感じに良く気づく人がいたがその人は周りを愛し周りから愛されていた。
金髪偽善者と違ってまあこいつは善人ではあるのだろう。
もっとも善人が報われるとは限らないのが世の中だが
また前回は馬鹿の一つ覚えみたいに【氷結系統】魔術を撃つだけだった黒魔術師フラメルが大幅に強化されてるのも嬉しい。
【氷結系統】しか使えなかった前回の迷宮探索から成長し、【氷結系統】【異常系統】の二系統が使えるようになった為だ
黒魔術師が新たに覚えたのは“あの”睡眠魔術。
前回も言ったが習得の容易さに反して効果があまりにも凶悪なため迷宮外でもかなりの知名度を持つ魔法だ。
効果は睡眠効果のある霧を発生させる。
効果範囲が広く抵抗は困難。
同程度のレベルの相手でも9割方戦闘不能にできる。
戦力外だったこいつが複数戦強敵戦での切り札となったのは大きいだろう
あと私この前こいつを嫌味な奴と言ったろ、前言撤回だ、金髪偽善者の嫌味には勝てねえ。
問題はこいつだ。赤魔術師リグレット。今朝何故か茶碗とお盆を持って街中を徘徊し、不審者扱いされ留置所にぶち込まれた馬鹿だ。
意外なことにこいつはかなり優秀な魔術師だった。迷宮潜りたてで全七位階の魔術のうち既に第四位階までの魔術を使える天才だ。金と装備だよりのどっかのカスと違って本体が優秀なタイプだ。【治癒】【異常】【障壁】【星光】【審判】の5属性に適正がある上物理もそれなりにいける。
それは良いのだがこいつは頭があれだ。なんかこいつの体からウサギ小屋みたいな匂いがしていたので風呂何日前に入ったのか聞いたら「五日前!!」とドヤ顔Vサインしながら返してきた。
こいつ消毒液かけたら跡形もなく消えそうだな。
私が盗賊らしくピッキングツールで宝箱開けてる時に「小夜子ちゃんなにそれなにそれ楽しそう!私もやりたい!貸して!」
と抜かしながらつきまとってきてマジでウザかった。
ばるんばるん揺らしやがって、燃やすぞ。
「このピッキングツール健常者用だから無理ッス」
と言っても
「じゃあなおさら貸してよ!」と返ってくる始末
あまりのしつこさに根負けして渡したが当然解錠に失敗して宝箱に仕掛けられた爆弾を起爆させ、高級防具に身を包んだ金髪偽善者以外を爆散させた。当然私もくたばったので【死に戻り】が発動、この馬鹿が宝箱を触る前に戻って事なきを得た。
がこいつは落とし穴とかに落ちてもう二度と私の目に映らないで欲しい。
一応こいつの鑑定と言うアイテムの識別能力は有用だ。
私は戦闘はあまり好きでは無い。異界兵器【拳銃】と短剣も一応使えるがあまり安定しないので使いたくないのだ。一応技術込みならレベル3くらいの戦闘能力もあるが
なので担当は主に宝箱の鍵開けとマッピング
迷宮の魔物の群れは宝箱や迷宮の扉近くに巣を作ることが多い。
理由は単純にそれらの近くに人間が集まるから。
人間を殺すのを食欲性欲睡眠欲以上の生理的欲求として持つ魔物にとってほっといても人間を集めてくれる宝箱は有益な餌だ。
そして宝箱自体も迷宮の悪意に染まり罠を持つ。
それらの罠に対抗するため感覚と手先の器用さに長けた盗賊をパーティに入れるのは常識となっている。
自分で言うのも何だが私には盗賊の才能がある
実際10連続で罠を解除しそこそこ有用そうなアイテムも見つける事ができた。
また、マッピングも重要だ。
歩いただけで地図を書いてくれるような便利なマジックアイテムも魔法も持たない私たちはいちいち方眼紙に手書きで地図を書き込まないと行けない。
嫌いなやつを褒めるのは嫌だが金髪偽善者の【祝福系統魔術】もマッピングには有益であった
ともかく私たちの快進撃は止まらない!迷宮踏破も、【色欲の魔王】討伐も意外と簡単に達成できるだろう!
そう思った直後に私たちは全員死んだ。
理由は私が宝箱の爆弾処理に失敗したから。
死に戻りで蘇生できたとはいえなんで一度ミスっただけで全滅する罠が一層にあるんだよ、頭おかしいだろ
次の日目が覚めたら順応が起きていた
迷宮都市の特異現象迷宮順応には2つの効果がある。
1つ目は筋力、生命力、知能等の生物としての基礎性能が迷宮の生物を殺せば殺すほど強化される効果。
2つ目はそれぞれの職業に対応した能力の強化。
戦士ならさらに身体能力が更に上がり魔法使いなら新たな魔法を覚え盗賊なら今まさに私に起こっているように感覚が強化される。
今までの視界は目が腐っていたと思える程に視覚は強化、聴覚は隣の宿の受付での会話が聞こえ、触覚に至っては触ってないものでも一センチ以内まで手を近づければ触ったかの様な感覚が得られるようになっている。またこの範囲内に入っているものの構造を理解し分析できるようになっている
最後の触覚拡張には領域と名をつけた。
これを成長させれば宝箱や敵の内部構造を解析できるような気もしている。
そうなればやりたい放題だ。内部構造把握できてる宝箱など恐るるに足らず、敵の内部構造も把握できれば急所攻撃や敵の筋肉の動きを読んで先読み回避など攻防に渡って活躍できるだろう。
取らぬ狸の皮算用かもしれないが、それでもできるという確信がある。
これはすげえ。
迷宮順応を求めて大挙してクソ共が押し寄せる訳だ
実際このエリュシオンが最強クラスの軍事国家である理由もここでレベルアップをした兵士を使っているかららしい。
またもともと私がいた国でも強化された犯罪者はそこそこはびこっていた。
しかしそれでも絶大な効果に見合うほど多く、迷宮順応した人間は存在しない。
順応して外に出ようという目的を持っているやつであろうと迷宮に魅入られ大体は死ぬからだ。
そこそこ強くなって地上に戻り優雅な生活を送るという目的が貴重なマジックアイテムとさらなる迷宮順応という目的にすり替わってしまい、迷宮通いを辞められないものに迷宮は牙を向く。
どんなに強化されようとも迷宮に潜る限り死からは逃れられない。
勇者を除けば人類最強と呼ばれたレベル30の、超越者【賢者】が迷宮のたった二層で消息をたった様に
そして次の日私は迷宮の最悪の悪意を身を持って味わことになる。
■■■■
がその日の私はそんな事などつゆしらず飲んだくれていた。美味い飯と酒、それだけあれば一定の幸福水準は保たれるのだ。逆に言えばそれが確保出来ないと自殺の二文字が脳内をちらつくのだが。
そしてそこにとある馬鹿が訪れた。
しみったれた酒場には似つかわしくない高そうな服と……オーディエンスの皆様方には悪いがマジで私の服への興味はろくに無いのでこんなチープな言い方しか出来ない、申し訳無い。ともかく高そうな服と高そうな剣を持って金髪の王子めいた美青年が現れた。
ゲェ、こいつ例のジークとか言うカスじゃねえか。こいつマジクソみたいな暴言まき散らすだけでなく配慮もデリカシーもないから嫌い。
クソカスはキョロキョロとあたりを見回すと私の方を向きにっこり笑ってこちらに向かって来た。
それを私は机の下に手を入れ両手の中指を突き立てながらとっとと帰れと念を送る。
「ちょっと良いかい」
良くねえよ、帰れゴミ。
そう言って蝿を払うかのようにしっしと手を振った。
私は他人の事なんてどうだって良い
特に益をもたらさない他人なんてどうでも良い。
「やっっっすい食材使ってる割に美味しそうだねそれ、というか奢ろうか?」
益をもたらす他人なら多少は譲歩してやるが。
■■■■
こいつがここにきたのは聞いてもねえ自分語りをするためだったらしい。
そして今宇宙の誰も興味無いクソみてえな自分語りが佳境に入っていた。
「なんせ僕は血筋が良い、顔が良い、ついでに金もある、まさに英雄になるにふさわしい逸材だ、君もそう思うだろ?」
壁としゃべってろゴミ、そう思いながら「そっすね」と返答を返した。
「それよりこんなしょぼい酒場よりもっと僕にふさわしい酒場で話さないかい?」
こっちのほうが居心地が良い、高い酒場は性に合わないと伝えた
「まあ居心地が良いのは分かるよ、ここは君と同じく薄汚いからね、薄汚い店!!薄汚い客!!薄汚い酒!!」
……こいつ本当性格悪いな。
その瞬間、馬鹿はポンと店主に右肩を、客のゴリラに左肩を叩かれた。理解できず呆けたかのような表情をしたその直後金髪偽善者は何か叫びながら引きずられていった。
そして店の外からドスンバキッとか明らかに骨とかが曲がっちゃいけない方向に曲がる音とかしたがどうでも良い。
そして金髪のクソがボコられるのをBGMに10品程追加で注文して優雅に夕食を楽しむ。どうせあの金髪の金だ、構うことは無い。4品平らげた頃金髪が帰って来た
パンツ以外の服を全て剥ぎ取られ、顔面が三倍に膨れ上がるまで殴られ、足とかが明らかにやべぇ方向にねじ曲がっていた。ざまぁ。そして嫌いなカスの無様な姿見ながら食うメシが美味いのなんの。こいつの無様な姿見ながら食べるならヘドロでも高級フレンチに早変わりだ。
そう思って飯を次々に口に放り込んでいるとカスが鼻水垂らして涙目になってなんか言い始めた。面白すぎる。
「なんでこんなにイケメンで(以下略)な僕が嫌われるんだよ……」
昨日から思っていたんだけどお前なんでそんな周りに暴言まき散らすんだよとそれとなく聞いてみたら
「本音を打ち明け、打ち解ければどんな人とも仲良くなれるってママが教えてくれたんだ!だから包み隠さず本心を伝えてるのになんで嫌われるんだよ」
本音で話すってそういう意味じゃねえんだよ、というかアレで仲良くなれると思ってんのか、こいつサイコパスかよ
「友達欲しいよ」ついには盛大に泣き出した。
ああ、こいつ性格悪いんじゃなくて馬鹿何だな、それもホームラン級の。
そして、金持ち、馬鹿、孤独を抱えている、の三拍子揃ってる恰好のカモだと言うことも分かった。。
思わずカモがネギしょってやってきたぜェグヘヘヘヘヘ・・・と声が漏れ出したが、これから私がやる事は決まってる、この馬鹿を懐柔して財布兼奴隷にするのだ。
そして私はクソ馬鹿の肩に手をおいて優しく話しかけた。
うんうん分かる、友達作るの難しいよな、辛いこともたくさんあったろう、私ならその苦しみを分かってやれる、私も孤独で辛かったからとか適当な事言って最後はトドメとばかりに慈母の微笑みを携え、右手を握手の形にして差し出し、
「私がお前の最初の友達になってやる」と言ってやった。
それを聞いた直後、金髪馬鹿はキョトンとしていたがその言葉が脳に染み付くにつれ大輪の花が咲いたかのような笑顔を浮かべていき、「え?!良いの!?やったよママ!友達出来た!」とか言い始めて狂喜乱舞と言わんばかりに喜びを全身で表し始めた。
そして私は皆の衆。こっちの兄さんが奢ってくれるそうだ。暴言吐いたお詫びだとさ。といい腰の財布を擦って酒場中に中身の金貨をばら撒いた。
私が言えたものじゃないがここの客層は三大欲求と名誉名声、目先の金にしか興味のないカス共だ。
「おお!ありがとう!お前さんを勘違いしていたよ!」「さっきはうんこ食わせて悪かったな!」「あと胃の中の物全部吐くまで膝蹴りして悪かったな!」「全裸にしてち◯こに熱湯かけて茹でウインナーとか言って皆で笑って悪かったよ!スマン!」「偉大なるジーク様に乾杯!」
と酒場から歓声が上がった。
その後速攻で酔い潰され、友達……友達……うへへと気味の悪い笑顔を浮かべている馬鹿を転がしてゴミ箱へ放りこんだ。邪魔だ。
そして目の前の料理にかぶりついた。
ステーキ、旨そうだしロマンがあるが実際に食べて見ると味薄くて大して美味くもない、がっかり料理ナンバーワンとも言えるクソだ。だが他人の金で食うと、もはや天上の美味と言っても良いだろう。
美味い美味い
評価ありがとうございます!連載初期に評価を入れていただくことは読み専の方が思う100倍は励みになります!本当にありがとうございました!