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バレンタイン

私はアーバスに狙われている。だから私はここで別れて一人で逃げる。お前らは当分完全地帯に籠もってろ。お前らとのダンジョン探索も悪くなかった。その旨を伝えてさっさと出ていこうとしたのだが


「このアホ姉弟に世話になるのはプライドが傷つく 俺達今祖国戻るとちょっと……面倒な事になるからお前について行く」と黒魔術師と傭兵が言った。


 僧侶も何故か来ると言い出した。私は奴を引き寄せるから巻き添えを喰うぞと何度説明しても聞かない。行くよの一点張りだ。



 赤魔術師と戦士の池沼姉弟も行くよと言い出した。


 なんでだよ意味が分からねえ。私と一緒に来るメリットは皆無、対してデメリットは特大。こんな旅にまともな人間が……こいつらはまともじゃないがそれ考慮しても来るわけが無い、私にとって都合が良すぎる。何か企んでいないと納得出来ないレベルだ。


 僧侶曰く小夜子ちゃんは昔の知り合いに似ている。その知り合いは死んでしまった。僕が見捨てたせいで。だから今回は見捨てたく無いとの事


 戦士曰く僕らは魔王を倒すのが目標だろ。あんなクソチンピラ相手につまずいていちいち脱落者出してちゃ魔王なんて倒せるかよ。それに……

 そう言ってからこっちにきっしょい流し目送って来やがった。


 赤魔術師は何も言わなかった。


 こいつら本当に……本当に本当に……



 馬鹿だ。救いようが無い。


「クソが。悪党が自分より弱い奴に何をするか分かってねえだろ甘ちゃん共が。アーバスに負けても一二時間甚振られてから殺されるとかそういうクッソぬるい想定してるんだろうな。アイツラは平気で、年単位で、お前ら頭お話畑じゃ到底思いつかねえ悪意に塗れた最悪な事をするんだよ!」


私は叫んだ。ヒートアップした感情は止まらない。


「お前らでも、多少の付き合いはあるから、そこら辺の塵芥みたいなヒトカスよりは大切に思ってやってんだよ! 私が珍しく、善意を出して、お前らを巻き込まない様にしてんのが分かんねえのか! 馬鹿共! 黒魔術師も傭兵もいつも馬鹿姉弟馬鹿にしてるが同じくらい馬鹿だ! 僧侶と馬鹿姉弟は馬鹿の世界チャンピオンかよ! クソッタレ! 私の気まぐれで出した思いやりを無下にしやがって! どこまで頭が悪いんだてめえら! ここで軽い気持ちで善意を出したら、地獄なんて比較にならない程酷い目に遭うのが分かってねえのかよ! アーバスは確実に来る! 大陸を渡ろうが、絶対! 分体にすらボロ雑巾にされたてめえらが来てもアーバスの加虐性の! 犠牲になるだけだ! 来るんじゃねえ! 絶対に!」


 ハアハアと息を切らす私に

 戦士と赤魔術師が黙って赤い糸を6本出した。

「6個ある。【アリアドネの糸】だ」

 帝器級マジックアイテム、アリアドネの糸。

 効果は発動すると、1000キロ以内のあらかじめ設定した地点に即座に転移する。


 転移という、私の大して良くない頭でもヤバい使い方がいくらでも思いつく能力系統。当然皆様方ならよりエグい使い方を思いつくだろう。それこそ国家転覆も可能にするほどエグい使い方を。


 使い切りのマジックアイテムではあるが、それでも各国が、各冒険者が喉から手が出るほど欲しがっている貴重な貴重な貴重な貴重な貴重な貴重な貴重な品だ。


 これの有効な使い方は無数にあるが、もっともオーソドックスなのは危険地帯からの脱出に使う事だろう。本来ならどうあがいても命が失われる状況になっても、これさえ使えば即座に安全地帯に避難出来る。


 ダンジョンの中で思わぬ強敵に遭遇しようが、矢折れ精魂尽き詰みとも呼べる状況に追い込まれようが、これを使った次の瞬間には外敵のいない温かい拠点に戻れるのは、死んだら名誉も財産も全て失う冒険者からして見れば文字通り夢の様な効果だろう。


 もっとも、これを売却すれば人生上がりと言っても良いほどの大金が手に入るので実際に冒険者によって使われる事はほぼ無い。


 オールデッドが賢者から逃げた逃走方法もこれだ。

 10本のアリアドネの糸を使った連続転移で瞬く間に別大陸まで逃げ去った。


「君の索敵能力が凄まじいのは、何度も何度も体感した」

戦士が言う

「いざとなったら君が奴の襲撃を探知して、僕達はそれで逃げていく、それで身の安全は確保される。君が僕達を巻き込まれないようにしているのは分かったよ、ありがとう。でも、僕達だって馬鹿じゃない、ちゃんと安全は確保して、その上で君の力になりたいとおもっているんだ、そして、今回はちゃんと奴への対策も立てている」


「僕らは君に巻き込まれないように、自分の命を最優先にする。だから君も、僕達を頼って欲しい」


 ……分かったよ。感情的になって悪かった。直ぐ準備をして、できる限りの護衛を用意してくれ、あそこへ行く。


 そう言うと奴等は各自どこかへ行った。


 その結果私一人が残され暇なのでアリアドネの糸を見る


 気の所為だろうか、一本だけ色がくすんでいるような……まあどうでも良いか。


 そして私達はバレンタインに向かう事となった


 奴はこれ以上成長の余地が無い

 一般的な人間の上限まで成長しちまってるからだ

 しかし私達弱者には順応による成長の余地がある。

 そのアドバンテージ? を活かし、少しでも奴との差を埋め、そう簡単に手が出せない存在になるのだ。

 困難な道のりになるというのは火を見るより明らかだ。それでも、これがもっともマシなやり方だ。


 ■■■


 これが私達がバレンタインに来た経緯だ。


 そしてバレンタイン地下迷宮第二層、ここの感想を言うなら。なんというか……あまり対処に困る奴はいない。


 極小の蜂形モンスター【リトルクイン】が1番恐ろしい。透明化能力と猛毒を持った恐ろしく凶暴な蜂だ。

 鎧の隙間から入り込み毒針を打つのが得意技だ。

 今戦士が潜り込まれた。


 弱った戦士の鎧の隙間に傭兵によって刀が差し込まれた。一見裏切りだがそうではない。【村雨】の新たな所有者となった女傭兵が村雨から大量にポーションを噴射し戦士を回復させた。


 さらにそこへ、蜂へまとわりつかれてる戦士に赤魔術師と黒魔術師の【睡眠魔術】が叩き込まれる。戦士もろとも蜂は眠りバタバタと落ちていった。


 フレンドリーファイアをあまり気にしなくて良いのも睡眠魔術の強みだ。というかつくづく狂ってんなこの魔術。


 ■■

 さらに下に潜って行った。今まで私達はそれに襲撃をされていたが今回は違う、私達が襲うのだ


 そしてついに会った。ネームドに。


【ネームド】個体名キング・バイパー。


 多数の魔術、もしくは魔法により極限まで上がった迷宮の床、壁の防御力は、それこそアーバスの本体すら上回る耐久力を持つ。それこそどんな大魔術を使っても完全なる破壊は不可能に近い。


 しかしこいつの毒は迷宮の壁も床も爛れさせる。さらに敏捷性も凄まじい。超高速で動き回り、一撃必殺の毒を叩き込んでくる暗殺者(アサシン)それがこいつだ。格的にはギガタウロス、ヘルマンドラゴラと同格だ。


 しかし私達のパーティーはギガタウロスともヘルマンドラゴラともフルメンバーでやってない。


 さらにギガタウロスの異常な身体能力に慣れた私や戦士は言わずもがな。ネームドとの戦いを経験した傭兵黒魔術師もいる。


 よってびっくりするほど優勢の戦いになった。


 ネームド戦を経験していない奴等の片割れ、僧侶が使えるのは【治癒系統】【解呪系統】【聖光系統】の魔術だ。傷を癒す治癒、状態異常を癒す解呪、光弾を放つ聖光の3系統が使えるだけあって悪くない。欲を言えば、【障壁】や【審判】が使えるとありがたかったがこれは贅沢過ぎる要求と言うべきだろう。過不足なく回復役として動いている。


 赤魔術師も【睡眠魔術】の睡眠効果、【審判魔術】の即死効果を【異常痛撃】でダメージに変えて攻撃役として活躍している。


 キング・バイパーの奥の手である猛毒を帯びた牙の射出も、初見殺しとして見れば脅威ではあったが、初見殺し殺しを得意とする小夜子ちゃんの前では無力だった。


 傭兵がこいつの毒線を切り裂き、村雨で毒を吸い取ってからはワンサイドゲームだったと言っても良いだろう


 この戦いの後の順応で私がレベル3、黒魔術師、傭兵、僧侶がレベル4、赤魔術師がレベル5、戦士がレベル6、まで上昇した

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