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色欲の魔王

【色欲の魔王】を打ち倒せ。

 それが人類の掛け声となってはや5年。


 人類は未だに【色欲の魔王】を討伐出来ていない。


 人類を滅ぼすと予言に記された、七柱の、人類の敵対種、魔王。


 原初の魔王は400年前現れた【憤怒の魔王】 一応単純な能力上ではレベル1の単なるゴブリンだ


 ゴブリンとしては非常に珍しい、略奪をせず、無闇に他者を害さず、自分以外を愛し愛される、穏やかな性格をしていた突然変異種だったそうだ。同じく突然変異を起こした姉と共に群れを追い出され、そこからは人前へ出ることも無く農耕をして姉と平和に暮らしていたようだ。しかしある日姉を冒険者に殺害され人類の敵対種となった。

 姉を奪った冒険者を惨殺してもその憤怒は収まること無く、人類全てを滅ぼすまで止まらない怪物となった。その怒りは、姉を人間に討伐対象と認識させる原因となった同族に対しても向けられた。


 しかし人類種とゴブリン以外は決して傷つける事がなかったそうだ。


 たった1体の、身体能力では人間のガキにも劣る生命体が、魔術も特殊能力(スキル)も何も無いゴブリンが、戦闘技術となまくらナイフのみを武器に当時最大の国であったスフォルツァンドを落とし、人類の準最高戦力、超越者三名を殺害した。


 その短剣術は、魔術を殺し、空間を殺し、不死者を殺した。戦闘技術の天井を叩く者。


 最終的には【勇者】なる人類の守護者、神に選ばれた人類最強の戦士に討ち取られたそうだが【魔王】の脅威を世界に刻み込んだ。


 そしてこいつはある意味私の恩人でもあるがそれを話すのはまたの機会にしよう


 話がそれたがこいつレベルの怪物が定期的に出現しその度に勇者に討たれたと言うことだけ覚えてくれれば良い。


 そして10年前【怠惰の魔王】が勇者に討たれた。


 これで当分世界は平和になると思われていたのだが、その5年後【色欲の魔王】が出現した。


 今までの出現頻度を考えるとあまりにも早い復活であったのも辛いが、それより辛いのは【勇者】が不在であった事だ。人類最強、魔王の出現と時期を同じくして世界に一人だけがなれる職業、勇者。各国も決して魔王討伐に手を抜いていたわけでは無い、とは言え今までの魔王討伐は結局最後は勇者だよりだった。

 その人類の切り札が何故か今回は復活していない。


 その上、勇者を抜いた人類の最強戦力である【超越者】が軒並み魔王討伐に参加していないのがキツイ。


 近年の超越者六人のうち、


【勇者】を除けば人類最強と呼ばれていた【賢者】


【憤怒の魔王】級の戦闘技術を持っていると言われた、【デッドエンド】


【オールデッド】よか幾分マシだが腐れ外道の、転移魔術を鎧の様にして纏う【黒鎧】


 の三名は行方不明


【勇者】以外の戦士系職としては最高の戦闘能力と、人類最低の人格を保有していた【オールデッド】


 は惨殺死体となって死亡。


 よって


 一切の比喩抜きで無限の攻撃射程を持つ【天涯地角】


 数多の異界兵器を起動する能力によって、単機で国家相手と渡り合える怪物【アルファ・オメガ】


 の二名だけだ、まともに魔王討伐に参加しているのは。


 唯一の救いは魔王は何故か魔族はびこる暗黒大陸の奥に引きこもり、まだ人類に侵攻を仕掛けてはきていない事だ。


 しかし一見安全そうに見えても【魔王】は人類の敵対種であるという事、脅威である事は今までの経験で、

【怠惰の魔王】戦で嫌と言うほど思い知らされていた各国は一丸となって攻撃を仕掛けた。


【怠惰の魔王】戦で疲弊しているとはいえ、ほぼ全ての国家が軍も、冒険者も、お抱えの暗殺者といった表に出せない戦力も出し惜しみ無く魔王討伐へと向かわせた。


 彼らには国防の為に兵を残しておくと言った発想すら無かった、どうせ魔王を滅ぼさなくては国が滅ぼされるのだから。


 魔王そっちのけで他国を攻撃するような愚か者等いなかったのだから。


 しかし【色欲の魔王】は討伐出来なかった。


 それ故懸賞金は積み上がり今では小国を買える程の額になっている。それどころか魔王を討伐すれば地位も名誉も思うがまま与える、領土譲ってやるから国建てるのも許すという至れり尽くせりな報酬が得られるそうだ。


 それに釣られたのが馬鹿どもだ。


 どっかのアホがお触れを出した。


 暗黒大陸へ渡り魔王を討伐したものには思うがままの報酬を与えると。


 バカ共釣られて大陸いった。バカ共死んだ。


 そして私もその一人だ。クソボケが。死に戻り無かったらマジで死んでたぞ。

 ■■■■

 私には夢がある。世界で一番幸せになるという夢が。そうだ、私は幸せになるんだ。どんなに他人を踏み付けにしようとも、どれほど倫理に反することをしようとも、どれほど天に唾を吐こうとも、世界で一番幸せな人間になるんだ!


 そのためには金だ!金さえあればなんでも手に入るからな!デカい家!!いい飯!!美味い酒!!


 どっかの金髪から品性は金では買えないよとか言う声が聞こえてきそうだが品性で腹は膨れねーんだよクソが!


 そのために、単なる私のエゴの為、死んでくれ、【色欲の魔王】さんよ


 そう思って大陸へ渡ったが結果は惨敗、こりゃ今の戦力じゃ無理だと思い、【迷宮】にて【経験値】と【マジックアイテム】そして【仲間(道具)】を得て地力を強化するためにここに来た。


 迷宮都市エリュシオン。


 世界に5つしか無い【迷宮】という特殊地形を保有する国家。


 私と同じく、迷宮で自らを鍛え、魔王を打ち倒す為に冒険者とか言う、逮捕されてないだけの反社、人間のクズ共、ゴミカス等様々な蔑称を持つカスが便所虫の様に湧いて来やがる地獄だ。


【迷宮】の恩恵は主につ。1つ目は【経験値】


 冒険者は迷宮内で生命を殺すほど迷宮に順応していく。強力な生物を殺す程、多くの生物を殺す程、身体能力、魔力が上がり、場合によってはスキルも習得する。この順応に使われる魔力を経験値と言い、主にこれを求めて冒険者は迷宮を探索する。


 2つ目は【マジックアイテム】

 魔力が込められた物品の事だ。

 現在の技術では再現できない物も多数ある上に、強力なものはとことんまで強力だ。


 万物を切断する妖刀、【万物切断】【破壊不可】の二種のルーンが彫られた、単純な硬度と切れ味だけならかの【聖剣】にも匹敵する【村正】


 オーラによって変幻自在の武器を作り出し操作出来る手袋【千変万化】


 異界兵器核爆弾とは違うアプローチによって一国を容易く滅ぼせる大爆発を起こす【原初の火(メギド)


 とかな。




 そして私は仲間(クソ共)が待つ迷宮入り口へと向かった。


 この迷宮都市にとあるクソ野郎が入り込んでやがる事も知らず、迷宮がどれほど悪意に満ち満ちた地獄であるかも知らず。



評価ありがとうございます!連載初期に評価を入れていただくことは読み専の方が思う100倍は励みになります!本当にありがとうございました!

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