乱入とスライム
その次に私が語ろうとした時、レストランにぬるりとそれは入って来た。他者の痛みには死ぬほど鈍感だが、自分の痛みには死ぬ程敏感な者特有の、濁った瞳を携えて。
シックな白スーツに身を包んだ、巨漢が入って来た。
「こんばんわ、そして、死ね、弱者ども、起動せよ」
乱入者は手に持った刀から水状の物体をばら撒き雨の様に降らした。そして中にいた人間は全員その水に触れた。私も、クソ共も、客も、給仕も。そして悲鳴を上げた。付着した液体がうごうごと蠢き、張り付いた部分の肉を溶かし、巨大化していく。こいつは水じゃない!食肉スライムだ! 迷宮四層の怪物!
「吹きとばせ!」
叫びと共に黒魔術師と赤魔術師の凍結魔術、聖光魔術が戦士、傭兵、僧侶に飛び食肉スライムを、取りつかれた肉もろとも吹き飛ばす。冒険者の耐久力があってこそ出来る強引な荒療治だ。
私も銃を乱射し赤熱した銃身でスライムを焼き剥がし、持ち前の器用さで取りつかれた肉を薄皮1枚だけ剥がして引き離した。黒魔術師も赤魔術師も自身に魔術を撃ち引き離した。しかしその一瞬の時間で、客も給仕もスライムに飲まれ巨大な肉塊に変換された。。
戦士も僧侶も赤魔術師も悲痛な表情を浮かべたがすぐに向き直り襲撃者に目を向けた、黒魔術師は客と給仕を取り込んで巨大化したスライムに詠唱を、傭兵は襲撃者本体を殺そうと槍を携え走り出し、私は自身の脳天に拳銃を突きつけていた。
このサイズのスライムを処理する手札は最後の手段しか無い。最高戦力の戦士も、特攻魔術を持つ赤魔術師も多分こいつは倒せないと本能が告げる。ので巨大スライムが発生する前に殺す。
時が巻き戻り私は襲撃者が乱入する前に時を戻した。そして赤魔術師と黒魔術師に即座に攻撃魔術を店の入り口に叩き込めと言う。
「了解、指揮官様!」
「これ結構ヤバい系の事起きてんのか?」
私があらかじめ決めておいた緊急事態を示すサイン、ガタガタ言わずすぐに従えというサインである、中指を自らの鼻噛むサインをすると黒魔術も赤魔術師もすぐに従った。こういう時対応が早いのはありがたい。そして乱入者が登場、さっきと同じ口上を述べてスライムを放出する瞬間、冷気と聖光がスライムを殺した。
そして私の乱入者を殺せという指示通り、傭兵が走り寄っていた。そして、私も。戦士は一拍遅れた。
「おうおう、ずいぶんな歓迎じゃねえか。俺の襲撃予想してたってか?」
そして傭兵の槍と私の短剣が投げられ飛ぶが乱入者は足でまとめてその二つを踏みつけた。
その男の顔を見て傭兵と私は叫んだ。【冒険者狩り! アーバス!】と




