報復絶刀
ヘルマンドラゴラを討伐してから1週間が経過した。戦士、僧侶、赤魔術も帰還し順調に迷宮探索は出来ている。
そして私はいつも通り備品の管理や商店との交渉、浮気がバレて刺されて病院送りになったのにも関わらず病院を練り歩き看護師口説いてた馬鹿戦士の回収と、なにやらかしたのか知らないが(知りたくない)留置所送りとなっていた馬鹿赤魔術師の回収と言う日常業務を終えて酒場で飲んでいた。
そこへ沸いてきやがったのが黒魔術師だ。戦士と比べると産業廃棄物だが、一般的には間違いなくイケメンと呼べる面にへらへらとした軽薄な笑みを浮かべて歩いてくる。
戦士の時もそうだったが憩いの場所にパーティメンバーという名の蛆虫共が沸いてくるの本当ふざけんじゃねえ。
そして魔術師は語る
「あの戦士から伝言、これまで僕たちは様々な困難を仲間との絆で乗り越えて来たわけだけれどまだあまり仲良く慣れていないようなきがするんだ。そこで親睦深めるためにパーティみんなで一緒に食事でもどうかな」戦士の気取った口調を馬鹿にする様に魔術師が言った
「OK、黙れチンカスって伝えといてくれ。」
あのチンカスどもと飯なんて食いたくねえよ。何が悲しくて嫌いな連中のバカ面見ながらあと50000回位しかない貴重な貴重な食事をせねばならんのだ。
モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず自由で
なんというか救われてなきゃあダメなんだ
独りで静かで豊かで……
そもそも私の理想とする人間関係はビジネスのみで関わるドライな関係だ。
こういう飯はみんなで食うべきものという前時代的な価値観を持った陽キャのクソ共が飲みニケーションとか言う反吐の出る糞ゲロゴミ行為を広めるんだよな。
そもそもあいつ友達の人数がアレだし陽キャですらねえか、ギャハハハハハ!!
「確か最高級レストランで飯代は全部あいつ持ち……」
「行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く行く」
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そして夜の街をてくてくと歩く。
「あのよお、あの金髪もそうだがどうやって私の飲んでる場所特定してんだ?」
「お前のその露出度ゼロの服装に、右目以外を覆い隠す仮面、あと赤目に白髪 これだけ変態じみた格好していりゃ簡単に見つかる。」
「ああ、そうかい」
「そもそもなんでお前そんな格好してんだよ、服装の方は貧乳隠すためだろうが仮面はなんでつけてんだ?もしかして二目と見れないブスだとか?」
「ん」
仮面を外して素顔を見せつける。
魔術師がぎょっとした表情になる。
「驚いたか、服の下も似たようなもんだ。」
「……すまん、茶化して」
「いいよ、こういう反応避けるため仮面つけてるって事さえ覚えてくれれば。」
「分かった。……いや、でも小夜子、おめぇ顔の造形自体はすげえ良いな、あのクソおっぱい級かそれ以上だぞ。」
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レストランについてからは糞金髪の自分語り、自慢、とか言うカスみたいなイベント(赤魔術師以外は全員無視して酒飲んでた。)をくぐり抜け会食が始まった。
初めの頃は赤魔術師と戦士の馬鹿コンビ以外黙っていたが酒が回り始めると会話も回り始めた。
「僕は今とある女の子に恋をしています」
戦士がほざきやがった。
そしてチラッチラッとこちらにアイコンタクトをとってくるのが煩わしい、お願いだから金玉を異界工具プレス機でぺったんこにされて欲しい。
こいつなんで私に対してこんな好意的なんだ?自慢じゃねえけど私は人間に好かれるタイプじゃねえぞ。良いところなんて何も無いし性格が悪すぎる。かの【オールデッド】と同レベルと言ってもいい
「おめぇ深層の令嬢達とデートとか言って二目と見られないブス共の百鬼夜行引き連れて夜の街に消えていったじゃねえか」
「小生も君が昨日未亡人とデートとか言って90くらいの老婆と夜の街に消えていったの覚えている」
黒魔術師と僧侶が言った。
「あの人達は単なるセフレだよ。恋とはちょっと違うかな」
こいつマジ……ちょっと待て90?
私の困惑をよそに赤魔術師は「うみぇ!ぱにぇ!しあわちぇー!」くっちゃくっちゃと音を立てながら、もはや食うことよりも撒き散らす方が目的になってるのではないかと思えるほど汚らしく食い荒らしている。最悪なことに席が向かいの私の顔にも食べカスがガンガンにかかってきやがる。クソボケが。テメェを燃やすぞ。
対象的に女傭兵はやたら上品な食い方をしている。
「というか小夜子、それ何枚目のステーキだよ」
18枚目、私は奢られた飯は気絶するまで貪り喰うんだよ
「小夜子ちゃん、その調子でたっぷり栄養つけてね!少しはマシになるかもしれないしwwww」
赤魔術師が無駄にデケェ乳を両手で上げながら下卑た笑みを浮かべ言ってくる。燃やすぞ
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強さへの憧れは全冒険者、特に男が強く抱くものだ。これは持論だが、ありとあらゆる、まだ現実を知らない男が始めに目指すものは人類最強の存在になる事だ。そして男か女だか分からない生命体となった私にも強さへの憧れは残っている。それ故話題は人類の頂点【超越者】についてのものに変わった。
近年の超越者
【オールデッド】【デッドエンド】【アルファ・オメガ】【黒鎧】【賢者】【天外地角】
についてだ。
この六名の事を語ったのだが今回一番話が弾んだのは【オールデッド】だった。
何事も悪口というのは楽しいのだ、そして戦闘能力以外欠点しかない【オールデッド】の話題が罵倒大会へとなるのにそう時間はかからなかった。僧侶と戦士は罵倒大会に参加していなかったが。
暴虐の王、超越者、人類最悪、人類種の魔王、いくつもの二つ名を持つアルフォンス=クインロードのもっとも有名な二つ名は【皆殺し】
【オールデッド】は戦士としての能力、【魔力放出】【飛行】という二つの特殊能力のみで【勇者】と【賢者】を除けば世界最強の人類種と呼ばれていた。
単なる蹴りが地を割り底の見えない裂け目を作り出し、拳を振るうことで生じた風圧は亜竜種の大群すら一撃のもとにミンチへ変え、半分配下半分敵対といった関係にあった転移魔術を鎧のように纏い攻撃を無効化していく能力を持つ超越者【黒鎧】の転移黒鎧を圧倒的な出力の魔力放出のみでねじ伏せ、単純な戦闘能力は比較的マシな部類の【魔王】に匹敵する真性の怪物。その人類最高峰とも言える力に反し、人格は人類最底辺の下劣なチンピラそのものだった。
クズが国ですら容易く落とせる力を得ていたらどうなるのかは皆様方の想像の通り、といいたいところだが真の腐れ外道の暴虐なんざ善良な皆様方には想像もできまい。具体的に書くとこのサイトの運営に規約違反でBANされるので書けないのだが
一人で人類の負の歴史を塗り替えたと言っても良い。
もっともその暴虐は長くは続かなかった。
【賢者】という超越者によって滅ぼされかけたからだ
【賢者】
こいつの特徴は強い。とにかく強い。物凄く強い。凄まじく強い。本当に強い。びっくりするくらい強い。とっても強い。めちゃくちゃ強い。 すんげぇ強い。
強くて強くて超強い。強いというより強すぎるのよッ!マジで強ぇんだってッッ!!!噓じゃねぇからッッッッ。
勇者抜けば間違いなく人類最強、
ガキの頃から全位階の魔術全てを習得し、戦士系の超越者とも素手で殴り合えたという産まれながらの国家級武力。
戦闘に関して一切なんの努力もせずに、半神たる勇者を除けば最強の存在であった天才。
しかしその心は魔物を殺す事にすら罪悪感で吐き戻す程の心の傷を受ける、異常な共感性を持ったクソザコメンタル。勇者に選ばれる条件の一つである、もっとも殺しに向かない心を持った殺戮の天才という条件にこの上ない程当てはまっていた為次代の勇者と呼ばれていた。もっともこいつは勇者に選ばれなかったようだが。
こいつは【オールデッド】を叩きのめしたものの殺すのに躊躇ったことにより生まれた一瞬の隙で逃してしまった。
【賢者】に敗北した【オールデッド】が別大陸へと逃げ延びて復讐の為作ったのはとある怪物の力を己がものとするための研究施設だった。
そこで起こっていた事は悪魔ですらドン引きするような、地獄ですら楽園に思えるかのような、悪意
ここでもっとも善良だった子は『生きたい』と 叫んだのをきっかけに、クズどもに面白半分で嬲られ半日後には『殺して』と叫ぶだけの廃人となった。
与えられる僅かな食事を『私には必要ないから』と分けてくれた痩せた姉さんは、最悪の怪物の細胞を移植され、同室の拉致被害者を全員食い殺し最後には自分自身を喰らって死んだ
暗闇の中の希望として皆を励ましていた三人の兄弟は、文字通り一つに接合されて三頭六腕六脚の異形となり、副作用によってもだえ苦しんだ末に三つの口から『地獄に堕ちろ』と組織の構成員に吐き捨てて死んだ。
拉致された被害者の中で最強の男は見せしめに四肢を切断されかけながらも大暴れをしたが【オールデッド】の圧倒的な暴威には全く太刀打ち出来ず。素手で出来る限りもっとも残酷な殺し方をされた。
病気の子供を庇って、安心させるため豪快に笑った兄貴分は脳が縮んで機能しなくなるまで暴行され死んだ。
『孫に会いたい』と何度も言っていた老婆は、人体実験に失敗し物言わぬ蠢く肉塊と化し、そして、その、とどめを、とある、クズが、さした
励まし合いながらなんとか生きていた姉弟はお互いが生き残る事を最後の最後まで願っていたが、姉は精神を、弟は肉体を殺されて死んだ。
クソッタレな終わりを飽きるほど目の当たりにしたいのなら、あの施設は最適だった。
しかしそれも長くは続かなかった。
最終的に極僅かな、アーバス等の生き残りを残して【オールデッド】含めたクズども計244名は惨殺されたからだ。
人間では賢者と勇者以外誰にも手が付けられないとされていた悪意の権化が正体不明の存在に惨殺された事は新たな魔王か【賢者】以上の超越者が現れた事を示唆していた。
【憤怒の魔王】の戦闘跡に酷似した傷が人間から施設までありとあらゆる所についていた事から魔王の可能性が高いとされていた。
しかし案の定一目散に逃走し生き残ったアーバスが「冷たい目、憐れむ目、黒い雷」とうわ言の様に言っているのが目撃された事。生き残りの拉致被害者の話から恐らく人間種であるだろう事から、魔王であって欲しくないという希望的観測も含めて魔王ではなく人間だろうという結論に至った。
そいつは【皆殺し】に終止符を打ったもの、【終幕】と呼ばれている
この後【終幕】の正体等の話に移ったがうんうん唸っても結局答えは
出なかった。
そして話題は【天外地角】【アルファ・オメガ】の話となった。




