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君の顔

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

恋愛です。R15です。

苦手な方はご注意下さい。


同居人が帰ってきた。玄関のドアを開けた途端、倒れ込んで伸びている。このままじゃ暫く動けなさそうなので、暫く壁に凭れ掛かって様子を見た。待つこと早数分、俺の存在に気が付くと、顔を捻って、じっと此方を見据えてくる。『近こう寄れ』という事らしい。

「……っ」

脇に手を入れて起こそうとすると、上体が突然起き上がり、女の生気の無い両腕が俺の顔を包み込む。丹念に、丹念に、目やら口やらを親指でなぞり上げると、唐突に唇を奪う。それからはもう、狂気の沙汰。力なんかとうに入らない癖に、舌を割入れて、上側を舐める。舌先で愛でるその仕草に、何時も絆されてしまう。

口が離れた。口の端から俺から奪った唾液を垂らしながら、目を閉す。

「私は人の顔にどうこう言えるタチじゃないけれど、それでも言わせて貰うわ。好みがあるという事を」

彼女はそう言って、また、ぺたぺたと顔を触る。眉やら、瞼やら、頬やら、唇やらを丁寧に撫であげる。女の目は固く閉ざされたままだった。キスをした時と同じ様に、黒の虹彩を裏に隠し、形を確かめる様に触れ回す。

「今日は久しぶりに都会に出たの。沢山の人の顔を一遍に見たの。皆、皆、綺麗な顔をしていたけれど、目の保養になったけれども」

そうして眠そうに薄目を開けて標準を定めると、また、ゆるりと唇を近付けてくる。目指す先は唇じゃない。もっと上、目だ。片目を閉ざして、女の唇を受け入れる。

ちゅっ、ちゅっと何度も押し付けては離す。啄むように幾度となく。そうして一度手を離すと、口付けた右瞼を優しく手で撫でる。

「結局、君の顔が好き。一番好き。特に目が好き。ほら、此処……。分かる? 切れ長……とは少し違うけど、鋭いんだよね。でも優しいんだ。とっても、とっても優しいんだ」

そう目を閉ざしながら、触覚だけ目尻を探る。親指でくりくりと弄りながら、またキスを落とす。

「目が見えなくても、君の顔は分かるよ。触った感触を指が覚えているからね」

そうして目を開く。今度は目を開いたまま唇を奪う。キスだけでその場で押し倒し、また口腔を荒らす。此方も薄目を開けると、眠そうな半眼と目が合った。女は満足そうに目を閉ざした。


オマケ

同居人は人目も憚らずキスをする様な人間ではないが、時と場所が噛み合えば割と平気でキスをする。特に帰宅時が物凄い。唇が腫れるまで吸い付いたかと思えば、ぺたぺたと顔、特に瞼を撫で回し、執拗に吸い付く。お陰様で出会った時よりも随分と腫れぼったくなった。

「そこまでする必要ないだろ……」

「まだ……。まだ……」

瞼へのキスを執拗に施しながら、押し退けようとするも、なかなか離れない。

「喧騒の空気、苦手なんだよね。だからさっさと上書きしたくてさ」

この子の視点も書きたいなーと思います。

喧騒に酔って、目眩起こして倒れそうになった事とか。

帰ったら絶対に介抱してもらおうとか。


目付きは悪いですが優しいところは本当です。

席譲ったり、なんだり。

たまたま見掛けた時にそんな事してるのを見て、にこにこしてる彼女の顔が浮かびます。



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