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エッセイアラカルト

5は危険数

作者: 降井田むさし

 5。それは、少なくはない。もちろん、多くもない。ただ、多くの場面で、安心できるとされる数だ。僕は、ずっとそう思っていた。


 だが、その考えは、覆された。最近、簡単に覆された。2までを、危険数としていた僕。しかし、その出来事から、5までを危険数とすることにした。



 安いスーパー。青果の質が高いスーパー。週一で行っているくらい、お気に入りのスーパー。そこでの出来事だ。


 バナナが甘い。サツマイモが甘い。カップラーメンが安い。アイスも、かなり安い。そんな、激安スーパーだ。


 そんなスーパーに、いつものように行った。ドアから入ってすぐに、アスパラガスがあった。細アスパラガスだ。


 値段は100円。10本で、1束になっているやつだ。細いが、10本で100円なら安い。


 すぐに、手に取ろうと決めた。しかし、先客がいた。二人ほど。でも、焦りはなかった。


 だって、5束もあったから。5束残っていたら、確信がある。確信だから、揺るがなかった。買えると思って、素直に待っていた。


 先客の斜め前に回り込んで、大人しく待っていた。だが、アスパラガスは、すぐ消えた。呆気なかった。本当に、あっという間だった。



 その2人の客は迷わず、2束と3束を、サッと持っていった。一瞬で、5束は消えた。アスパラガス5束が、5秒で消える光景。それは、まるで夢の中だった。現実とは、思えなかった。


 ぼったくりバーで、5万円が一瞬で消えたことはない。経験はない。だが、それに似た感じだと思う。このアスパラ事件。辞書の『儚い』という言葉の例文に、ピッタリの出来事だろう。



◎はかない【儚い】


①もろくて長く続かないこと。「セミの一生は、儚い。なんて、僕らが決めてはいけないんだよ」


②見込みがなくて、むなしいこと。「アスパラガスが5束もあったのに、1束も買えないなんて、なんて儚いんだ」



 こんな感じだろう。僕は、本当にすぐ目の前にいた。二人の先客の、すぐ近くにいた。そしてガッツリ、アスパラガスを見ていた。


 なのに、スルーされた。こっちを見てもなかったと思う。欲しいことに、気づいてもらえなかった。欲しいアピールが、届くことはなかった。すごく悲しかった。



 では、この出来事を、まとめることにする。アスパラを3束買った人の、明日は明るいだろう。その人の明日は、パラダイスになることだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 激安スーパーで,さらに特価なら5は間違いなく危険数ですね 10あってもあやしいくらい この前12で敗けたわたしです(1ブロック離れたところで商品が出た放送を聞いた 争奪戦は待ったら敗けます…
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