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《童話》うさぎさんと森のとしょかん

とどいたおてがみとブックトーク

作者: K・t
掲載日:2021/01/18

童話「うさぎさん」シリーズの一作です。このお話だけでもお読みいただけます。

 ふかい森のおくに、としょかんを開(ひら)いている白うさぎさんがいました。

 コツコツとあつめてきた本を森のどうぶつたちにかし出す、小さな「森のとしょかん」です。


 ある日、うさぎさんにおてがみが届きました。若葉(わかば)のような、あわいみどり色をしたおてがみです。


「わぁ」


 そっとひらくと、さわやかなにおいがしました。

 目をとじれば、こうげんを風がふきぬけていく光景(こうけい)がうかんできます。


「とってもとおくから来てくれたのね」


 それは、あちこちを旅(たび)する劇(げき)だん「とりのいちざ」からのおてがみでした。

 こんどはこの「森のとしょかん」で劇をさせてほしいというのです。


 うさぎさんはおどろきましたが、嬉(うれ)しくもありました。劇だんが声をかけてくれるくらい、みんなに知られるようになったのですから。

 ばしょも、いつもみんなとお茶をしている庭(にわ)をつかってもらえそうです。


 それでも、ひっこみじあんのうさぎさんです。会ったことも話したこともない劇だんの人たちをそうぞうして、少しだけ迷いました。


 でも、ここで劇がおこなわれ、みんなが喜(よろ)んでくれたら、どんなに素敵(すてき)なことでしょう。


「がんばってみよう」


 みんなの笑顔(えがお)が見られるのならと、勇気(ゆうき)をだしました。それに、さらに素敵なアイデアもおもい付いたのです。

 そうして、サラサラとお返事(へんじ)をかきはじめたのでした。


 ✽ ✽ ✽


 森のとしょかんの庭には、たくさんの動物たちがあつまっていました。おなじ森のなかまである魔女さんと妖精さんの姿も見えます。

 うさぎさんが何日もまえから看板(かんばん)をたてて、お知らせしたからです。


「うさぎさん、今日はおまねきありがとう」

「きてくださったんですね」


 うさぎさんがかんげいしたのは、いつも色々と教(おそ)わるためにかよっている「町のとしょかん」のネコさんでした。

 せっかくのきかいだからと、招待状(しょうたいじょう)を出していたのです。


 今日のためのじゅんびにも、アドバイスをもらっていました。


 劇だん「とりのいちざ」は名前(なまえ)のとおり、鳥さんのあつまりでした。スズメにハトにキツツキに、ペンギンもいます。


 いちざは、庭にもうけた小さなステージのうしろにテントをたてて、劇のよういをしてくれていました。


「こんにちは」


 うさぎさんは、おきゃくさんがイスにすわったのをかくにんして、会をはじめることにしました。しん、としずかになります。

 そう、ただ劇をしてもらうだけではないのです。


「今日はあつまってくださってありがとうございます。劇はもうすぐはじまります。それまでは、こちらをお楽しみくださいね」


 みんなの前におかれたイスにすわり、うさぎさんはぜひ紹介(しょうかい)したい本があるといって3冊をとりだしました。


 さいしょはえほんです。

 小さな鳥のおんなの子がはじめてみた劇にかんどうし、じぶんも劇だんにはいりたいとがんばるお話でした。


 今日にぴったりだとおもい、えらんだ本です。うさぎさんが読みよみきかせをすると、みんな熱心(ねっしん)にきいてくれました。


 森のとしょかんにやってくるだれもが、うさぎさんのやさしい読みきかせが大好きなのです。

 とくに、子どもたちはもう1回読みたいといってくれました。


 つぎに紹介したのは衣装(いしょう)についてかかれた本です。劇だけでなく、おまつりやパーティーにきていけそうな華(はな)やかな服がたくさんのっています。


「つくり方(かた)もかいてありますよ」


 うさぎさんがページをめくると、みんなも「おもしろそう」と反応(はんのう)してくれました。

 つくってみたいと思ってくれたひともいたみたいです。



 さいごにとり出したのは、ぶ厚(あつ)いれきしの本でした。それも、劇のれきしがつまった珍(めず)らしい本です。


「劇がどのようにして生まれてきたのか、しっていますか? せかいじゅうのすばらしい劇じょうの絵もあって、おすすめですよ」


 これまた、「おもしろそう」という声があがりました。

 服(ふく)にはきょうみがなかったひとにも、この本はみてみたいとかんじてもらえたようです。


「劇をみたあとで、よかったらひらいてみてくださいね」



 さぁ、うさぎさんがお話をしているあいだに劇団の準備もととのったようです。

「とりのいちざ」の座長(ざちょう)をしているキツツキさんが、あるものをとり出してにこっと笑いました。


「みなさん、こんにちは。わたしたち『とりのいちざ』はごらんのとおり、かわいい人形(にんぎょう)をつかった人形劇だんです」


 それは白いうさぎさんの人形でした。キツツキさんが手をうごかすと、小さなうさぎさんも楽しげにダンスをおどります。

 キツツキさんはもう一度にっこりとわらって、りょう手をひろげました。


「どうぞ、さいごまで楽しんでいってくださいね」


 ✽ ✽ ✽


 劇はおわるやいなや、はくしゅかっさい。大こうひょう。うさぎさんも動物たちもニコニコのまま、おひらきになりました。


 さいごまでのこっていたのはネコさんです。かたづけを手つだってくれて、今日のがんばりも褒(ほ)めてくれました。


「がんばったうさぎさんに、『町のとしょかん』のみんなからプレゼントがあるの」

「プレゼント?」


 ネコさんがさし出したのは、一まいの紙でした。少しかたくて、まるで賞状(しょうじょう)のようにしっかりしています。


 紙にかかれていたことに、うさぎさんは目をまんまるにしました。

 そこには、しっかりした字でこうかかれていました。


「あなたを 『森のとしょかん』の 司書補(ししょほ)に にんめいします」


 ネコさんが「おめでとう」と、一番においわいをしてくれました。


 《おわり》

お読み下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] うさぎさん、おめでとう! 楽しいひと時よかったね! 『がんばったで賞』受け取ってください(^∇^)
[良い点] 心暖まるストーリーですね♪ 楽しませてもらいました(* >ω<)
[良い点] シリーズものとのことで他の作品は未読なのですが、こちらだけでも楽しめるとのことで拝読いたしました。 ウサギさんを初めとする動物たちの様子が浮かんできて、絵本を読み進めるような感覚で読み進め…
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