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俺たちの結婚を認めてくれ!~魔法使いに嵌められて幼馴染に婚約破棄を言い渡された勇者が婚約したのはラスボスでした~  作者: 鏡読み
後日譚 結婚が認められた国

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第五話 大会とチャンピョン

 そして嫁語り自慢大会は始まった。

 広場に用意された特設会場には15組のカップルが集まり、決勝では前回大会の優勝者と戦うことになっていた。

 先輩記者は舞台に立ち、立ちはだかる敵に自身の力をぶつけていった。


「彼女のひまわりのような笑顔には何者もかなわない。向かうところ敵がない」

「ごはーーーー!」


 ――一回戦突破。


「実は着痩せする」

「のはーーーー!」


 ――二回戦突破。


「お酒に弱いのにお酒好き、飲むとその頬は赤くなり、さらにニコニコ力があがる」

「たばばーーーー!」


 ――準決勝戦突破。

 先輩記者はなみいる猛者たちに後輩記者の魅力を叩きつけ勝利を重ねていった。

 大会ルールで先輩記者の隣に立っていた後輩記者は流れ弾で顔を赤くした。お酒を飲むとそんなことになっているとは本人も知らなかったのだ。


「くくく、お前のその力は確かに本物だ。し、しかしお前が優勝することはない」


 先程ぶっ飛ばされたモヒカンの選手がのそり起き上がり、意味ありげな笑みを浮かべる。

 隣に立っていたパートナーと思われるスケルトンが彼に肩を貸し、モヒカンの言葉を引き継いだ。


「ケ、決勝ニハ我ラガ、キング、アノオ方ガ出テクルノダカラナ……!」

「なに!」

「あのお方ってだれですか!」


 先輩記者と後輩記者は空気を読んでモヒカンたちの話に乗る。

 モヒカンは意味ありげな笑みを浮かべた。

 そのニヒルな笑顔は最終局面で最強の敵の存在をほのめかす、見事なやられ役だった。


「そう、やつは初代嫁語り自慢大会チャンピョンにして――」

「はいはい、時間押しているのでその辺で」

「あーれー」

「アーレー」


 いいところで空気の読めないスタッフたちに、モヒカンとスケルトンは片付けられていった。

 そのままスタッフたちは舞台を決勝戦仕様に飾り付けなおしていく。


(一体。誰なんだ? まあ、すぐにわかるだろう)


 先輩記者はふむと考えたが、すぐに決勝戦が始まるとのことだったので、舞台に残ったまま、対戦相手を待つことにした。


『さあ、いよいよ決勝戦! なんと今回は飛び入り参加者が決勝まで生き残るという大どんでん返しだ!!』

「ひゃーーーーーー!!」

『果たして、彼はあの男の牙城を崩すことができるのでしょうか? それでは入場していただきましょう!』


『嫁語り自慢大会、初代王者! 勇者太郎王選手だぁぁぁぁ!!』


 舞台上に上がってくる髪を短めに切りそろえた青年。

 その後ろをとことことついてくるローブ姿の美少女。

 先輩記者はひっくり返った。他でもない、彼が探していた国王、勇者太郎その人だったからだ。


「お、おいおい、大丈夫か?」


 オーバーリアクション気味の先輩記者に勇者太郎は声をかけた。


「え、ええ。まさかこんなところで王様に出会えるとは思っていませんでしたから」


 なんとか起き上がり、先輩記者は思考を巡らす。次に起こすべき行動は何か。


(暗殺は……さすがにこんな場所では不可能だ。となれば――)


「実は僕、王国の新聞記者でして。終わったあと勇者太郎さんを取材してもいいですか?」

「おう、いいぞ」

「言質はいただきましたよ」


『さて、なんだか盛り上がったところでいってみましょう! 決勝戦レディーファイ!』


 ふんわりと空気を察したアナウンスが流れ、同時に勇者太郎と先輩記者は構えをとる。


(あの10万の兵に対して婚約者への愛を叫んだ男だ。先手を取らせるわけにいかない!)


「僕の先行! 後輩くんは、今日僕の好みに合わせようと一生懸命服装を考えてくれた」

「ちょ、聞いていたんですか!?」


 会場がざわめく。檀上で恥ずかしがる後輩記者から、先輩記者に対する彼女の一生懸命な一面が垣間見えて、勇者太郎をはじめとする会場全員は強く胸を打たれた。


「ぐ、ぐああああ」

「うおおおおおお」

「し、死ヌゥゥゥ」


 よくわからない理由でダメージを受ける勇者太郎と会場全体。

 何人かがその場で倒れていく中、勇者太郎は膝が付きかけそうになるのをギリギリで堪えていた。


「今のを耐えるとは……!」

「なかなかやるじゃないか。なら今度はこっちの番だ!」


 そういうと大きく息を吸い込み勇者太郎は構えを直した。


「ラスボス子は今日の祭りが楽しみすぎて、寝る前にせっせかダンスを踊っていた」

「ちょ、ちょっと……もう……」


 ラスボス子は恥ずかしかったのかフードを深くかぶり顔を隠そうとした。

 しかしそのポーズが伏線。手を持ち上げた彼女は、まるで踊りを踊っているかのようなポーズを取ってしまっていた。

 先輩記者をはじめとした会場全体は、ほぼ同時に彼女が昨日踊ったであろうせっせかダンスを想像し、あまりの尊さに吹き飛ばされた。

 下手をしたら死体がでるレベルの破壊力だった。


「う、わぁぁぁぁぁ!?」

「ごはっ!? な、なんだこれはぁぁぁぁ!」

「し、死んだぁぁぁ俺は死んだぁぁぁ」


 会場中に阿鼻叫喚が響き渡り、何人かが宙を舞う。

 先輩記者もよくわからないダメージで舞台の外まで吹き飛ばされ顔面から地面に落ちた。


「ちょっと先輩! しっかり、しっかりしてください」

「無念……それと、ごめん」


 がくりと先輩記者は気を失った。


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