6話
その問いに、ハナビはバツの悪い顔で
「い、言っとくけど、アタシがついていきたいんじゃなくて、仕事よ!仕事だからやむ終えずついて行くだけなんだからね!」
何故かとてつもなく動揺するハナビに俺は
「うわー、良かったぁ。ハナビが一緒にいてくれたら本当に心強いし。マジでありがとう!」
と感謝を伝えた。
「ま、まあアンタ1人ならすぐに死んじゃいそうだし。しょうがないってゆーか?これも運命ってゆーか?」
ハナビの照れ隠しの言い訳に俺は、思わず吹き出してしまった。
「ちょっ、何がおかしいのよ!?」
「すまんすまん、ハナビこそいい奴じゃん。俺も気に入ったぜ。ハナビみたいな女の子、俺も嫌いじゃないよ」
ハナビは顔をボッと赤く染めて
「なななな何言ってんだか!ああアンタなんか普通だし!相手にしてないし!転がるジャガイモだし!名もない雑草だし!」
謎の例えで謎の抵抗を見せた。
いよいよ進む時がきた。
俺は目を閉じ、大きな深呼吸をする。
そしてハナビの頭を、ポンッと触れると
「よし!行こう!」
と、気合の声を上げた。
その呼びかけにハナビは
「うん!」
と笑顔で、元気よく答えるのであった。
すると、おもむろにハナビは両てのひらを、モニターにかざし呪文めいた言葉を唱え始めた。
「全能なる者よ。我らを彼の地へ迎え入れ、理を成就させ給え!」
その言葉に呼応するように、モニターからまばゆい光が差し込む。
その光は徐々に大きくなり、すぐに部屋全体を埋め尽くした。
光は2人を優しく包み込んだ。
「アンタ、用意はいい!?」
光で視界を失った中、ハナビの元気な声が俺に勇気をくれた。
「もちろん!」
すると、部屋一杯の光の中から、2つの小さな別の光が生まれた。
その2つの小さな光は、モニターにゆっくりと吸い込まれていく。
「っしゃあ!俺が最高の異世界を創ってやるぜ!!」
目が眩み、何も見えない中、覚悟にも似た悲壮な咆哮が、命の部屋に木霊した。