41話 創る
「あれ?アタシの服、光ってる!?」
ソラがイメージし始めると、ハナビの着衣がほのかに輝き始めた。
ハナビは暫く、暖かい光に包まれていた。
そしてその光は徐々に弱まっていく。
「あっ」
気付くとハナビは、真新しい紺のワンピースを着ていた。ウェスト部分には同じ紺色の印象的なリボンが付いており、膝までのスカートには一面小さな赤い蝶のデザインが施されている。そして足元には白い紐を付けた厚底の黒スニーカーを履いていた。
「おおおお!」
皆から歓声が上がる。
「ハナビすごいじゃん!」
ソラは自分の力という事を忘れ感嘆した。
「うわっ!何これ!カワイイ!!」
ハナビは嬉しそうに何回もクルッと回り、しきりに着ている服を眺めている。
「ありがとう、ソラ!ありがとう!!」
ここまで喜ぶハナビを見たのは初めてだったが、喜んでもらえソラも満足げな表情を浮かべていた。
「これは素晴らしい出来でございます。ソラ様はイメージする力に長けていらっしゃるのかも知れません」
うーむ、日本人男性は皆、物心つく頃にはエロい妄想をして鍛えられているからなぁ。エリザベスはさすがにその事は知らないだろう…。
「いやはや、まことに驚いた。ソラ殿の力は本物のようだ」
「ええ、びっくりしました。これで商売すれば元手が掛からずに儲けられますね」
「おいオズワルド、騎士が下品な金の話をするな」
「す、すみません…」
一言多いオズワルドはまた注意を受けてしまう。
「本当にカワイイ!アタシ気に入ったよ!ソラ凄いじゃん!」
ハナビは興奮が収まらないようで、ずっと瞳を輝かせていた。
「よし!じゃあもう一発いくぞ!」
気を良くしたソラは再び集中した。
皆、何を創るのかドキドキしながら待っている。
と、ハナビの首元が輝き出す。
「これは…!?」
光が収まるとハナビの首に何かが掛かっていた。
「どうだハナビ!そのネックレスは!」
ハナビの首にはシルバーのチェーンが掛かっていた。その胸元には厳つい牙の生えたドクロのペンダントが付いている。
「これは、何とも…」
シャナが言葉に詰まる。
オズワルドが苦笑いで返事した。
「どうだ!?ハナビ!カッコイイだろ!?」
ソラは得意満面で、ハナビの「ありがとう!」と言う言葉を待っている。
「ソラ、あのさ…。全然カワイくないじゃん…。怖いんだけど…。ひょっとして嫌がらせ?」
ハナビは冷ややかにソラを見つめる。
「え?あれ?ありがとうは…?」
「何でお礼言うのよ!この服と合うわけないじゃん!何考えてんのソラは…!」
ハナビのテンションは一気に下がり、腕を組み向こうを向いてしまった。
「細工としては素晴らしいですが、女性にプレゼントするアクセサリーとしては最低でございます」
エリザベスが一刀両断する。
その後、ソラは騎士団の皆の装備を寸分たがわぬ精度で創り出した。
「いや素晴らしい出来だ!このマントも新品ではないか!やはり騎士たるもの美しい装備でなければいかん!」
シャナも珍しく女性の一面を見せ、素直に喜んでいた。
ハナビは冷ややかに
「ふーん。シャナさん喜んでて良かったじゃん。ふーん」
と、ソラの耳元で囁く。
しかしソラはその反応は予測済みだった。
「ハナビ、これあげるよ」
ハナビの手のひらに何かを乗せる。
「え?何これ?」
ハナビは驚きながらその何かを確認する。
「うわあ…」
そこには、赤い大きな宝石がはめ込まれたブローチがあった。
「綺麗…」
ハナビはうっとりしている。
「どうかな…?気に入ってくれたかな…?」
ハナビはソラを真っすぐ見つめると、力いっぱい抱きしめた。
「ちょっ…!」
ハナビはソラを抱きしめながら
「ありがと!大事にするね…!」
と、約束した。
ソラは恥ずかしそうに頭をかくと
「あ、ああ。別に無くしたらまた創ってやるからさ」
と、照れ隠しするのであった。
ちなみに。
ソラがハナビの為に創ったドクロのネックレスは、サイラスが身に着け
「やばい、似合い過ぎてる!厳つさが増してるよ!」
「ふむ。これは人狼の為のアクセサリーだな」
「サイラスさん、良かったらドクロのブレスレットも創りますよ!」
などと、高い評価を受けるのであった。




