バレンタイン
恋愛?初挑戦
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2月14日。
皆さんはこの日が何の日かお分かりだろうか?
そう、ふんどしの日である。
え?違う?
いやいや、違わないのである。
検索で「2月14日 なんの日?」で検索してみるといい。
一覧に一緒に現れるから。
と、そんな冗談はさておき、皆さんご存知バレンタインデーである。
バレンタインデーとは女の子が好きな男の子にチョコを渡す日である。
昨今は友チョコや逆チョコなどいろいろな派生ができてしまい、告白イベントみたいなノリは薄まりつつある。
逆に今も残り続ける文化?もある。
それは「義理チョコ」である。
義理ってなんだよと突っ込みたいが、あわれなモテない男子からしたら、もらえるだけでうれしいものであることは皆ご存じだろう。
かくいう俺もモテない分類に属される。
かなしい。
もし、かわいい幼馴染や、近くにいる親せきのお姉さん、仲ののいい友人のお姉さんや妹など、女性の知り合いがいれば、義理もしくは本命なんかももらえてしまうこともあるだろう。
だが、悲しいかな、俺が通っていr学校は男子高校なため女子と触れ合う機会がなく、友人にも姉妹がいる奴らはいない。
もちろん親戚のお姉さんなんて夢のまた夢という、ほんとに俺の周りに女っけがなさ過ぎて泣けてくるまである。
おそらく今年ももらえるとしたら、母親からのチョコ略して母チョコの蓑可能性がある。
高校は男子校だといったが、正確には共学だけど工業高校のため在学しているのが10割男子というのがその実態である。
唐突だが、俺は学校まで電車で通っている。
当然途中の駅で乗ってくる乗客には女性もいる。
近くの普通高校や商業高校といった高校に通う生徒だってもちろん乗ってくる。
俺の癒しは、この乗車時間であるといっても過言ではない。
なぜなら、同い年の女子と触れ合える(遠くから眺めてる)からだ。
気持ち悪い?
何とでもいうがいい。
女性と触れ合う&見かける機会が壊滅的にない童貞からしたら、死活問題なのだから。
想像してくれ、幼小中と共学で女子との会話も日常会話ぐらいなら普通にしていた環境から、女子と話さなくなってしまう環境に身を置くことを。
どうだろう?辛くはないかい?
俺は辛い。
もちろん女性からしたら、蛆虫どもが隔離されてていい気味だと思っているのかもしれない(偏見)。
そんな環境に身を置いている身としては、会話ができなくても女性が視界に入り、至近距離に近づくこともある通勤時間は至福の時間なのだ。
おわかりいただけただろうか?
さて、話を戻してバレンタインである。
高校に入り2年目ともなるバレンタインなわけだが、改めて思う。
いつもの持ち物のほかに小さな紙袋を手に持っている女性が多い!
いや、わかってるよ。 その袋の中には手作りチョコとか市販のチョコとか配る用のチョコが入ってるんでしょ?
1つぐらい、いや、2つ3つぐらい僕に恵んでくれたりしませんかね?
……無理ですよね。 はい、わかっておりますとも。
なんて漫才のようなやり取りを乗車してくる人たちを眺めながら、一人心の中でやっていると、いつも同じ時間帯、同じ車両に乗ってくる生徒が目に入った。
今どきの高校生にしては珍しく?髪を染めたり、遊ばせたりせず、黒髪を肩口まで伸ばしたストレートヘアーである。
顔も小顔で、目や鼻のパーツもきれいというよりはかわいらしさを感じさせるつくりをしている。
制服も、ザ・優等生というようなキチっとした着こなしをしている。
この車両で彼女を見かけてから、俺は彼女を見る為に毎日この時間のこの車両の乗車口とは逆の関に陣取るようにしている。
気持ち悪い?
あぁ、俺も気持ち悪いと思う。 けど、こうでもしないと彼女との接点なんかも作れやしないし、何かの拍子に恋が芽生えるかもしれないかもしれないじゃないか。
『千里の道も一歩から』ということわざが示すように、何事も踏み出してみなければどうなるかなんてわからないんだ。
そんな彼女が乗車してきたのを見ながら癒されていると、同じ制服を着た見慣れない女子生徒が彼女の隣にいた。
彼女の容姿とは正反対な、髪を金色に染め、服装も奇崩して着ている。
きれいな顔つきをしているおかげか、金髪も制服の着崩し方もハマっているようにみえる。
それでも俺は黒髪の女の子の方が好きだなと思った。
「ねぇ、真菜結局作ったチョコって誰に渡すの? いい加減教えてくれてもいいんじゃない?」
なに? チョコを手作りだと?
それはまさか本命チョコというやつではないのだろうか?
そっか、彼女には好きな人がいたのか……。
それにしても1年近く彼女をこの車両で見かけてやっと彼女がわかった。 話しかけたりしていないのだから名前を知らないのは当たり前な話なのだけど。
なるほど『まな』ちゃんか。 どんな漢字を書くんだろうか?
いや、それよりも彼女のチョコの行方だ。
わかってるよ? 自分じゃないことは。
でも、好きな人の好きな人(表現がややこしい)って知りたいじゃないか普通。
え?普通じゃない?
またまたー。 君も絶対好きな子やひとめぼれの相手が出来たとき、その人が誰を好きなのか知りたいと思うって絶対。
「せっかく私もチョコづくり手伝ったんだし、いい加減教えてくれてもいいじゃーん」
ふむ、あの金髪見た目のわりにお菓子作れるのか。
いや、人を見た眼で印象付けるのは良くないことだというのはわかっているが、やっぱりギャル=馬鹿と思ってしまうので、まさか計量が命のお菓子作りの手伝いができるとは思わなかった。
「料理が得意な明奈に手伝ってもらったおかげでチョコが完成したのはうれしいし、感謝もしてるんだけど、好きな人は教えない。 言ったら絶対馬鹿にするし、まだ相手が受け取ってくれるかもわからないのに、もしこれで受け取れませんなんて言われたら大恥だよ」
「真菜からチョコ受け取らない男子なんて、それはもう男子じゃないよ。 もしくはゲイとかホモなんじゃないの?」
俺も金髪に賛成だ。
あんなにかわいいおんなのこから受け取らない男子なんて爆ぜてしまえ。
それにしても、やはりあの金髪料理が得意なのか……。
もしかしたら味見係で、手伝いといってるのかと思っていたけどどうやら違うらしい。
人は見かけによらないね。
ん? 今一瞬彼女がこちらを見たような?
「意志が固いなー。 まぁ無理に聞いたところで教えてくれないのは知ってるから、結果だけ教えてよ。 成功しても玉砕してもさ。 付き合うから」
「うん、わかった」
彼女がこっちを見ていたのはどうやら気のせいだったみたいだ。
そりゃ接点がないんだから、彼女からしたらそこら中にいる一乗客員としか思われていないはずなので当たり前だが。
「そーいえば、昨日話してた時に出たけどさ、たしか同じ車両に乗ってると常連客がいても白いだっけ?」
心臓が止まるかと思った。
まさしく今の俺がその常連客であり、おそらく乗車時に一番先に目に入るであろう人物である。
やっぱり気持ち悪がられてたりするんだろうか?
そりゃ気持ち悪いよな。
逆に考えたら何か不気味なものを感じると思う。
そんなことをいまさらになって思う。
あぁさよなら俺の初恋。
いや、まだそうと決まったわけではない。
そう、まだ常連客がいるといわれただけだ。
キモいとかのネガティブ発言が出たわけではないんだから、かけらほどの余地は残っている!
それに、常連客というならば、俺以外にもサラリーマンや違う学校の生徒だって常連客といえば常連客だ。
1年近く同じ車両に乗り続けてる俺から見ても、いつも同じ車両に乗っている乗客が何人もいるか知っているのだから
「うん、途中の駅で乗ってくる人はあんまり覚えてないけど、乗った時点でいる人の何人かはほとんど毎日いるね。 たぶん乗換とかで便利だから同じ車両使い続けてるんだと思うよ。 私もそうだし」
「ふうん。 でも、中には真菜目当ての乗客なんかもいたりしてね」
「そんなことあるわけないじゃない。 私なんて地味なんだからきっと視界にすら入ってないよ」
「そんなことないと思うけどねー。 うちの男子だって結構真菜を狙ってるの多いって噂だよ?」
『まな』さん目的で乗ってます。 すみません。
地味だなんてそんなわけないのに。 まぁ、お友達が髪染めて着崩してるのと比べたらそりゃ地味に入るのかもだけど、俺は『まな』さんが好きです。
同校の『まな』さんを狙っている皆さん、お目が高い、そしてうらやましい。
日常的に見ることが出来て、話しかけることが出来る環境にいるという何ともうらやましい環境にいるだけでも有罪なのにその上好きになるだと? 『まな』さんの親父さんが許しても俺が許さん。
そんな阿保なことを考えてると、自分が降りる駅を告げるアナウンスが流れた。
残念ながら『まな』さんが降りる駅は、俺の降りる駅の2つ先なのだ。
なぜ知ってるかって? 別にストーカーをしたわけではない。 断じてない。
彼女の着ている制服はこのあたりでもかわいいと女子の間で有名で、おな中の女子も何人か通っており、中学校在学時、推薦でいち早く入学した生徒の一人が制服を見せびらかすために学校に持ってきたことがあったのだ。
それを覚えており、彼女が来ている制服を見て学校が特定でき、場所を知らなかったので検索してみたら2つ隣の駅が近いというのがわかった次第である。
自分で言っておいてなんだが、ストーカーと何が違うのだろう?
かなしい。
友人と楽しく話している珍しい『まな』さんの隣を通り過ぎ、電車を降りる。
学友曰く、その日一日俺のテンションはかなり高かったらしい。
チョコをもらったわけでもないのに終始にやにやしていたとのことで、学友からは当然のごとく気持ち悪がられ、担任からも「今日はそっとしといてやれ」とお達しがあったそうな。
そんな一日を終え、部活も終わり、あとは部室の鍵を閉めて先生に返せば本日の業務は終了である。
ちなみにコンピュータ部、通称コン部の部長である。 決して鍵を閉める雑用を押し付けられたわけではない。 絶対にだ。
職員室にいるであろう先生へ鍵を届けに行く途中でスマホがメッセージが届いた。
部員の誰かが部室に忘れ物でもしたのだろうかと連絡してきた人物を確認すると、仲のよい級友だった。 ちなみにコン部ではなくサッカー部である。
部員の忘れ物でないことに安堵し、級友からのメッセージを確認する。
【よっす! 確かお前も同じ駅使ってたよな? さっき帰ろうとしたときに向かいのホームのベンチにめっちゃ可愛い子がいてさ、声かけにいこうと思ったんだけど、電車来ちゃったからあえなく断念】
【確か俺と逆方向の線がお前だったなーと思い出して連絡した】
『もしまだ帰ってないなら一見の価値あり】
【あ、もし会えたら報告よろしく!】
職員室にいた顧問へ部室の鍵を返し、昇降口へ向かいながら考える。
メッセージが届いたのが今さっき。
電車に乗ってから書いたとして、1分前。
学校から駅までは、徒歩で5分ほど。
級友の電車が後に到着だから件の彼女は次の電車待ちである可能性が高い。
現在時刻は17時47分。 次の俺が載る電車の発車時刻は17時55分。
改札や乗り場までの距離を考えると2分かからないぐらいだから、急げば54分前に着ける!
考えがまとまり、昇降口で靴を履き替えると速足で駅に向かう。
なぜ走らないのかって? だって、走って息が上がった状態なんて見せられないだろう? 息が上がった状態で声をかけられた方はどう思う? そう、不審者だと思うだろう。
俺に話しかける勇気があるかどうかは置いといて、駅のホームに入ってきた人がいきなり息を荒げていたら変なやつに思われてしまう。
それにそんな息の上がった状態で電車に乗りたくない。
そんなわけで、速足で駅に向かう。
改札口に定期券をかざし、乗車口のホームへと急ぐ。
ホームへの階段を上り終え、若干上がった息を整えながらベンチへと目を向けた。
その時の衝撃を俺はなんと例えればいいのだろう。
まさかという思いと、何故という疑問。 そして一体いつからいたのかという新たな疑問が渦巻き、ひと呼吸遅れて彼女の紫色に変色し始めている唇が目に入る。
季節は冬真っ盛りの2月。
暖かい地域ではもう梅の花が咲き始めて、もうそろそろ春だという報道がある中、俺が住んでいる地域はまだ雪が降り、気温も朝は氷点下を回り、日中も暖かくて6度とかで、2桁なんてまだまだ先というような気温。
もちろんそんな中、体を動かさずじっと立っていたら30分もすれば体の芯から凍えてしまう。
そんな寒い中、ましてや日が落ちるのが遅くなってきたとはいえ、17時を過ぎれば一気に冷え込む中、彼女は、いや『まな』さんは一人じっとこちらをみていた。
「お待ちしてました。 入れ違いでもう帰ってしまったのかと思ってました」
俺はうるさいくらいに鳴っている心臓を押さえつけるように左手で抑え、返事をしなければいけないと思うも空回りし続ける脳のせいで思うように言葉が紡げず、
「な、なんでここに? だって、好きな人がいるんじゃ……」
彼女は一瞬ぽかんとしたあと、くすっと笑い、座っていたベンチから寒さで震えるからだをゆっくりと起こし、大事に抱え込んでいた紙袋からていねいにラッピングされた箱を取り出すと、
「あなたを待ってたんです。 何度も電車でお会いしているうちに段々気になり始めて、挨拶しようかなとか、もう少し近づいたらどんな反応をしてくれるかななんて思ったりもしたんですけど、勇気が出なくて。 でもこのままじゃいけないって、せっかくのバレンタインなんだからここで勇気だせなきゃあと1年ずっとすれ違ったままでお別れになっちゃうと思って」
彼女はまだ何かしゃべろうとしていたけど、俺はそんな彼女を無意識のうちに抱きしめてた。
抱きしめながら、急になにしてるんだと思ったり、自分の突然の行動に驚いたりもしたが、俺に合うためだけにこの寒いベンチに1人でずっと座って待って、今も寒さで体が小さく震えてるのに俺に気遣ってなのか意地でも寒さが声に現れないようにしている姿を見て、一体俺は今この子に何をしてやれるんだろうと思ったら『温めて』あげることだと思ったらとっさに体が動いていた。
彼女は急に抱きしめられてビックリが、腕の間から彼女の「え、えっと、あの」と困惑した声が聞こえ、その声でやっと我に返った。
「あ、えっと急にごめん! 俺こそ初めて君を見てから、君の姿を見るのが毎日の楽しみといっていいぐらい合うのを楽しみにあの車両に乗ってたんだ。 えっと『まな』さん俺でよければ付き合っていただけませんか?」
勢いあまって、ストーカー発言までしたうえに、告白までしてしまった。
心の中で、「もっとスマートにできただろ」とか「こんな状況で告白とかもう少しムード考えろよ」とか思ったりして、悶えているところに、
「えっと、こちらこそお付き合いお願いします。 でもなんで私の名前を?」
どうやらストーカー発言は無視ししてくれたのか、聞き取れなかったのか突っ込みが入らなかった。
名前か。 そりゃまともに話したのが今なのに名前が知られているっていうのは不思議だよな。 それこそ本当にストーカーであれば君のことを調べたからだよなんて答えも返すのだろうが、
「いや、今日の電車で『まな』さんの友人だと思うんだけど、その人と一緒に乗ってきたじゃない? その時にお友達の口から『まな』ってあなたを読んでいたから、それで初めて知ったんだよ」
そう告げると、「なるほど」と一つうなずいた後、
「あなたは私の名前を知っているのに、私はあなたの名前を知らないなんてずるいです。 あなたの名前を教えてください」
すねた顔をしながらこちらに問いかけてくる彼女に、精いっぱいの笑顔で、
「春原洋治です。よろしく『まな』さん。 『まな』さんの名前を教えてくれるかな」
「洋治さんですか、いいお名前ですね。 私の名前はご存じでしょう?」
「いいや、知らないよ。 だって俺は君の口から名前を聞いたことがないからね」
精いっぱいのキザったらしいセリフを吐いてみると、『まな』さんはくすりと笑った後に、
「なるほど、確かにそうですね。 では改めまして、志倉 真菜です。 これからよろしくお願いしますね洋治さん」
二人して笑いあっていると、電車がホームに到着するアナウンスが流れた。
お互いにかを見合わせて、一本乗り過ごすことを決めて、震える彼女を駅のホームに設置されている待合室連れて行き、電話番号などを交換し合って、いろいろと話した。
次の電車に乗り、彼女、いや真菜さんが降りる駅に降りたころ、もらいそびれていたチョコを受け取り、別れた。
家に帰り、自分の部屋につくと早速もらったチョコの包みを丁寧に剥し、ふたを開ける。
入っていたチョコはどうやらトリュフチョコらしい。
そのチョコを1つつかみゆっくりと口に入れる。
……。
…………。
そのチョコの味は幸せの味がした。
どうでしたでしょうか?
今回のようなイベントごとを節目にいろいろ書いてきますので、よろしくお願い致します
。




