光
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「あーあ、ニルフ。大切な武器忘れて行っちゃったんだけど」
レモンが軽く呆れた様にニルフの武器である木刀を手に取る。
その時。
木刀が勢いよく光りだし、食堂全体を照らしだした。
「わ! わわわ!? ちょっと何!??」
驚いてニルフの木刀を床にぶん投げるレモン。
ガランと大きな音を立てた木刀を、その場で食事を取っていた兵士たちが覗き込む。
「あ、しまった!」
我に返ったレモンがすぐに木刀を取りに行こうとするも、光りつつ頭上を飛んでいく木刀に皆が注目し、すでに木刀の周りには あっという間に人だかりが出来てしまっていた。
「なあこれ、宝石部分が光ってねぇかぁ?」
木刀の様子を確かめようとしていた召喚者4人が、その言葉に自分たちの武器を取り出す。
と同時に。
彼等の武器に付いていた宝石も、木刀と同じように光始めた。
(銀は木刀が光った時点ですでに取り出していたようだったが)
「何が起こるんだ・・・」
人だかりにいた兵士が、ポツリと呟く。
水を打ったように静かになっていた食堂で、その声がやけに響いた。
皆、静かだが何が起こっても対応できるように臨戦態勢を取っている。
その時。
窓から5つの、こぶし大の白い光が飛び込んできた。
ふわふわと部屋を飛びまわる白い光。
光ったままの武器を構える黒蹴達。
手持ちのナイフをいつでも投げられるように隠し持った銀。
兵士達も、皿や装備していた武器で武装した。
そのまま白い光はしばらく浮遊していたが・・・。
急に素早い動きで急降下した。
ユーカが皿を振り下ろす。
降りた先には、召喚者達の武器。
宝石の光を目指すように進み白い光が武器に触れる。
その瞬間、光が武器全体を包み込み・・・!!!
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「そのまま普通に消えました」
『消えたの!?』
「落って来たとき皿で叩いたろぅ思ったけど、すり抜けたわ」
『叩いたの!?』
トイレから戻って床に落ちた木刀を拾ってテーブルに戻ると、仲間が全員自分達の武器をテーブルに並べて顔を突き合わせていた。
今は俺がトイレに行ってる間に何が起こったかを黒蹴達が教えてくれている所だ。
「そしたらほら、宝石見てみなよ、ニルフ」
宝石か。確か全部の世界樹の≪登録≫したら、透明な色になったんだよな。
ピンキーに促されて木刀に嵌った宝石を見る。
そこには・・・。
『虹色!!!?』
俺以外の武器も、同じように宝石の中で虹色の光が様々な色合いを見せつつ動いていた。
5人とも同じ虹色の宝石。
騒ぎを聞きつけて集まってきた城の人々に見せると、皆その美しい色合いに見入っていた。
*
「で、これは何だ?」
騒ぎが少し収まった後、銀が問いかける。
今は駆けつけた大臣が、王宮魔導士さんや王様の元にUターンして走って行ったところだ。
じきに王様に呼び出されそうだな。
そして銀が問いかけた先は。
「僕ですか!?」
『黒蹴なんか知ってんの?』
「にーちゃん何隠してるん」
銀に問いかけられ、俺とユーカに攻め寄られた黒蹴は目を白黒させている。
ポニーさんがそれを見て軽く笑った。
「違いますよ。銀が言ってるのはきっと」
「我のことか!」
黒蹴の胸元から、プラズマがピョンと顔を出した。
なるほど。
プラズマ達の説明によると。
今の光は世界樹島の世界樹から放たれたモノらしい。
つまり、俺達が雷の世界樹で体験したあの光とは別物だそうだ。
「そしてここからが大事でな! 今の光は勇」
「皆さま! 王がお呼びです!!!」
得意げに説明していたプラズマが一番のどや顔になって何かを言おうとした瞬間、大臣が食堂の入り口から俺達を呼んだ。
「え、でもまだプラズマの話の続きが・・・」
「ほら皆さんいきますよぉ! ね、ポニー!」
「はいケモラー。王がお待ちですね」
「すぐ行きますー」
「プラズマ、後でちゃんと聞くからね!」
皆思い思いの返事をして大臣に続いて王の間に向かう。
予想外の出来事に口を開けたまま固まるプラズマは、黒蹴が優しく抱っこして連れて行っていた。
俺も皆の後ろから王の間に向かうが・・・。
なんか変な違和感があった気がした。
大臣さんって、あんな人の話をさえぎる人だったかな・・・?
王の間に着いたら、王様に世界樹島に行けって言われた。
この前行ったばっかりじゃん!!!
口に出してないのに王様が孫を見るような目でこっちを見て、「わしも一緒に行くからの」と言った。
いや「怖いから行きたくない」とかそういうんじゃないんだけど・・・。
次回メモ:島
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