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勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
地面に向かって突き刺され!!
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狐の秘密

 さらわれてたら、シルフ達が飛んできました。



黒「すごいです!ニルフさんの危機を察知して、助けに来てくれたんですね!」

二『やったな黒蹴!シルフ達がここまで来たってことは、銀達も近くに来てるはずだ!』

黒「なるほど!道案内してきたんですね!!!」

ユ「でもな?せっかく飛んできてもな?

  精霊見れるウチら3人ともがさらわれてるから、後追って追いかけるとか出来でけへんねんからな?」

黒二『「・・・あっ・・・」』


 そういやぁ、以前俺だけ南の島に飛ばされたことあったけど、来てくれたのはシルフ達だけだったんだった。

 懐かしいな。そういえばあれがきっかけでクロムや勇者君達と再会したんだっけ。

 元気かな、皆。


 そういえば、あの時の突然の転移した原因も分かってないな。

 転移といえば、前に戦ったザンアクロスを思い出すけども・・・。

 さすがにあそこまでボロボロにされたピンキーが、ザンアクロスの匂いとか音とかに気づかないってのは無いと思う。

 勘だけどな。



狐「・・・女性は甘いものが無ければ辛かろう。干し果物なのだか、デザートに一つ、どうだ?

  この街で人気の品なのだが」

ユ「お、気が利くやん。

  あんたのこと、ちょっと見直したわ」

  

 考えにふけってる間に、なんか向こうの方でユーカが餌付けされてた。









 食べたあとはまた町をつれ回された。

 この方向は・・・狐少年の家がある場所に向かってるのか?

 ウロウロして分かったけど、狐少年の家がある地区、かなりの町はずれなんだな。

 そして結構小さめのボロ家だった。一人暮らしらしい。


 そのボロ家いっぱいゾーンに入る。

 やっぱりスラムって感じだった。

 狐少年にとっては見慣れた町並み。それを見回して、どこか悲しげに呟いた。


狐「・・・この地区はな。我がここに来る前はなかった場所なのだ」

黒「ここに来る前、ですか?」

狐「ん、まぁそういうことだ。魔の王が不心得た後、統治を疎かにしたということだろうな」

ユ「会話通じてへんねんけど」


 ユーカの言葉に、ふっと寂しげに微笑んで、そのまま、なにも語らず彼はきびすを返した。

 そして。

 スラムから少し離れた、綺麗な街並みに戻っていった。

 そこは、さっきちょうど、俺達が歩いてきた方角で・・・。


ユ「・・・いや、戻るんかーい!!!」

狐「ん?目的の場所はここではないぞ?しっかり付いて来ぬか」

黒「あの人、なんでここに来たんでしょうか?」

若〔もうわたくし、意味が分かりませんわ〕


  俺にも分かんない。





 結局スラム地区から離れて街の中央大通りにいって、普通に城壁の出入り口通って街から出た。

 以前滞在してた時に、よく利用した出入り口だ。

 そしてそのまま町沿いにグルッと回って森に入り(森あるなんてしらなかった)、しばらく獣道歩いたとき、狐少年がソワソワしだした。


狐「道沿い、この先にある洞窟に先に行っててくれ。

  我は、後を付け狙う輩を・・・いや、何でもない。

  心配せずとも良いからな」


 そうだけ言うと、切羽詰まった表情で森の中に走っていった。


ユ「なぁ、もうめんどいし逃げへん?」

狐「一つ、言い忘れていた!」

ユ「うわぁ!?」


 シュタっとユーカの前に飛び降りる少年。意外と身のこなしが軽い。

 そのままユーカの手をギュッと握った。

 

狐「知らぬ森を進めと言われても、不安であろう。

  だが心配せずともよい。

  もしも迷い涙に暮れたとしても、そなただけは我が腕の中に呼び戻してみせるからな・・・!」


 








黒「・・・え、僕らは?」

狐「そなたらは自力で何とかするがよいではないか?」

黒「仲間への扱いがひどい!」

狐「貴様はなにも分かってはおらぬ。

  勇者たるもの、異性は大切にせねばならぬのだ!

  例え・・・何人我を慕うものが増えたとしてもなっ!」


 「増えたとしてもなっ!」辺りでビシッとユーカにウインクした狐少年は、オーバーに木に飛びうつると、また森に消えていった。

 ユーカは、呆れたように見送っていた。


 遠くの方から、「ハーレムの第一歩ォォォオ!!!」って雄叫びが聞こえた気がした。

 さっきまでの芝居がかった話し方じゃなくなってる。


黒「あれが素ですかね?」

ユ「このままおうちに帰りたい」







 ※






ユ「さっきの、迷ってもウチだけ連れ戻すーって言葉やねんけど、あれって任意で好きな相手だけ転移させれるって事?

  それともウチだけ条件踏んだ?」

二『どうだろう。ただ単に女好きって気もするけど』

黒「由佳が女って認識してることが一番の驚きな」

ユ「ふんぬ!」

黒「痛!」


 今俺達は、狐少年の言った獣道をじわじわ進んでいる。

 行くように言われたからある程度進んでないと言い訳出来ないけど、すごく行きたくない。

 だからじわじわ進んでる。じわじわじわ。(ユーカは「遅い言われたら腹壊してたって言えばええねん!」て言った。)

 じわじわ進みながらヒソヒソと話をする。


二『俺達とユーカとで、なんか違い合ったっけ?』

ユ「まず性別と」

黒「歳はユーカが少し下ですね」

二『さっき手握られてたか』

ユ「接触条件?最後にさわった人ーとか?」

黒「それだったら、最初に連れてこられたのがこの3人ってのが変にならないか?」

ユ「そやなぁ・・・」


若〔果物ではありませんか?〕


 ずっと黙っていた若葉の、よく通る声が響いた。


黒「果物?ですか?」

若〔ほら、先ほどユーカさんが受け取っていた、干し果物ですわ。

  まだ食べていないようですが〕

ユ「ようそこまで見てんなぁ。さすが若葉ちゃん」


 ユーカが、若葉を誉めちぎりながらベルトに付けた小袋を漁る。

 若葉の食い意地が張ってるだけだと思うけどな。


黒「これがどうかしたんですか?」

若〔それ、以前キラ子さんが受け取って、あなた方が食べた干し果物と同じですわよ〕

ユ「マジか!ホンマや!」

黒「待ってユーカ、どこで判断したの今!?」

ユ「ノリ」

黒「・・・ノリかぁ」


 ノリならしょうがない。


ユ「まぁ冗談やけど。ウチには見分けつけへんわ。味やったら分かる気がするんやけど、アイツにもろたやつ食べるのなんか怖ぁてなあ。にーちゃん食べる?」

黒「いらないよ!!」

若〔あの方、ズボンのポケットから出していましたものね。丸のまま〕

ユ「ホンマそれ」


 本当、よく見てるな若葉。


若〔その色合い、形がそっくりなんですわ。

  大きさは・・・すこしこちらの方が小さいですが、市場に売っているものよりは明らかに大きいですし〕

黒「ってことは、今回の転移はこれが原因ってことで良さそうですね」

ユ「食べんでよかったー!」


 ユーカがほっとした顔で、木にもたれかかってずるずると座り込んだ。

 ところでなんでそんなちっちゃい袋に入れてるんだ?

 食べ物用じゃ無さそうだけど。


ユ「あー、これ?

  なんか不気味やったからゴミ用の袋に入れてんねん」

黒「そんなもん勧めないでよ!」

若〔わたくしなら、剥いて中を少しペロッと味を・・・」

ユ「え!?」

若〔お、オホホホホホッ。

  あ、あら!?風の小精霊様がきましたわよ!

  狐さんがご自宅に着いたようですわね!?」


 やっぱり食い意地張ってるだけじゃねーか!





 シーくんから音を受け取った若葉によると、今 奴は家の中で「キター!とうとうヒロインキター!しかしあのスカした野郎めせっかくの手を繋ぐチャンスをことごとく踏みにじりやがって!ライバル認定!!!キラ子ちゃんは我のヒロイン決定!!!」とか叫んでいるそうだぜ。

 どうすればいいんだろうな!


若〔あら、家を出たようですわね〕

黒「そろそろ行きましょうか」


 ゆっくり歩いて抜けた森の先には、洞窟があった。

 ほんのり霧がただよってる。

 すこし大きめの入り口を入ると、洞窟はじめじめと湿ってて若干霧がかかっていた。壁が苔で赤く光っている。

 きのこスゲエはえてる。

 見た事ねえ形してるな。


黒「だんだん霧が濃くなってきましたね。足元が見えにくいです」

ユ「そのまま入ってしもたけど、道に迷って出られんくなったら・・・」

二『転移すればいんじゃね?』

若〔そうですわね。しかし、見ている分には一本道のよ〕

二『どうしたんだ?若むぐぅ!』

ユ「あかん!」

黒「ニルフさん!」


 急に若葉が口を紡ぐ。

 理由を聞こうとしたら、口を塞がれた!

 羽交い締めにされた口をなんとかほどこうと腕を振り回すが、そのまま首を捻られる!

 しまった!罠だったか!?


 

 ねじられた方向に体ごと方向を転換させて力を逃がす!

 しかし肩を上から押さえつけられ、動きを制限され




狐「・・・プロレスごっこ?」


 動きを制限された俺の視線の先には、呆れたようにこっちを見つめる狐少年がいた。


ユ「(だから!あいつ来たって言うてるやん!聞けや!)」


 耳横でユーカが怒ってた。

 俺の口塞いだの、ユーカだったのね。

 あ、フーちゃんも一緒に戻ってきた。




 洞窟に来た狐少年。

 彼はこの、名もなき洞窟を進んでいく。

 奥に行くほど濃くなる霧に怯えることなく。足元を取られることもなく。

 

 んで、ほぼ一本道っぽい道の先にはひとつの大きな部屋があった。

 そこで狐少年は自分の秘密を暴露する。

 なんと尻尾は無いんじゃなくて、ここに漂ってる霧だった。

 霧が集まってふっさふさの尻尾に!

 狐少年が願えば薬にも毒にもなる尻尾らしい。本当は雲らしい。


狐「地上では世界樹が雲となり地を作っていると聞く。我の尻尾はきっとそれと同じ」


 なんか我は天狐なんじゃないかって言ってた。

 誰それ。



 ニホンで住んでたはずが気づいたら原っぱで生まれてたらしい。でっかい木から這い出したそうだ。

 んでさまよってこの街に来て2~3年らしい。


狐「我はチキュウでは中学生だったぞ。14歳を少し越えたところだ」

黒「じゃあ今は僕と同い年くらいですかね?」

ユ「同世代で『我』いうてるやつ初めて見たわ」


 尻尾を町近くの洞窟に霧にして隠してる。

 特別な果物を食べさせた任意の相手を、自分のもとに召喚できる。力を使うときは尻尾を一本以上体に戻さないといけない。

 承諾してない相手を呼ぶときは、他にもいくつかの条件を満たさないと呼べない。


狐「我の力は危険だからな。封印せねばならぬのだ・・・」

黒「(中2だ)」

ユ「(中二病や)」

二『七本あったら邪魔だったんだな、尻尾』


 なんか狐少年に睨まれた。

次回メモ:助け

いつも読んでいただき、ありがとうございます!


いつも、読んでくれてありがとうって書いてるけども、この物語読んでる人いるのか・・・?

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