かいこう
ハ「・・・本当ニ離レルノカ?」
ピ「とりあえずはね~♪」
ハ「ヤッパリ私ハ町ニ残ロウト・・・」
ピ「さ、次の村にいくよ! そこで合流するから!」
あの狐少年の居た町から逃げるように立ち去って数日後。
俺達はその街道沿いにある1つの廃村にいた。
廃村には、ボロ小屋のような馬車が1つ置かれている。なんていうか周りとの親和性が物凄いな、この馬車。
凄い廃村に溶け込んでる。
ピ「こんなところに廃村があるとか、ちょうどいいね!」
馬車の前で、元気に食事の準備を始めるピンキー。それを手伝う俺とポニーさん。
その横で、ハーピーがブスッとした顔で立っていた。
ピ「どうしたのハーピー、廃村が珍しい?」
ハ「チガウ。ナゼ銀達ヲ置イテ来タ?」
ピ「あれ、説明しなかったっけ?」
ハ「知ッテイル!」
じゃあなんで聞いたんだ?
ポ「ハーピー、困らせないように。ピンキー、ハーピーは銀と離れたくなかっただけで」
ピ「あぁ、なるほどそういう事か」
ニ『そいえば俺、寝てたから理由聞いてないや』
若〔!?〕
あ、これ理由ある野宿だったんだ。
なんで銀達と別れて野宿してるんだっけ?って思ってたんだ。
ハ「きら子狙ウ男の見張リニ銀ガ残ッタ。
きら子ハ違ウ町ニ行クマデ地上。
れもん達ノ研究ガ終ワリシダイ銀ガ地上ニ迎エニ行ク。
ぴんきーノりゅっくハ銀ガ持ッテル。
コノ馬車ハきら子ガ乗ッテイルト思ワセル囮。
銀トノ待チ合ワセ、ココ」
ピ「あの少年は町で商売してるからね。
傭兵雇ってまで、そう離れた場所に果物を取りに行くとは思えないから。
この場所なら見つからないだろうなって」
なるほど、そういう事か。
あれから数日たってるから、銀達がもう1つの馬車 (たぶん地上に送って隠してるんだろう)に乗って追いつくのは、もう少し先かな。
ちなみに、なぜ付いて来たのがポニーとハーピーかというと。
2人が銀に次いで一番周りの警戒に向いているからだったらしい。
ハーピーは空の警戒も得意だし。ハーピーだから。
銀は狐少年の監視、黒蹴は東の城での転移役、ユーカは火の≪泉≫の監視役だそうだ。
ユーカ暑さで倒れないか?って思ったけど、火の大精霊がユーカの事を大好きで害になる物を炎でシャットアウトし、ユーカ自身が氷でオートガードだったから暑さとか平気らしい。
てかマグマに浸かっても平気らしい。
なにそれ怖い。
って、面と向かって言ったらユーカに殴られた。
五つ子達は廃村で見つけた調理器具を使って、馬車の中でままごと遊びをしている。
無言で遊び続けてるけど、あの子達の間では何が言いたいか伝わってるのかな・・・?
*
それからさらに数日後。
朝起きて寂れた井戸で水汲んで顔を洗う。
ニ『ぷはー。井戸の水が生ぬるーい』
若〔火の≪泉≫が近いですものね〕
ニ『川とかうっすーい温泉になってそうだな』
若〔残念ながら川がありませんでしたが・・・〕
ニ『そうだなー残念』
若〔そういえば狐少年と初めてあった時、銀さんはなぜ居なくなったんでしょうね〕
ニ『あ、あれ聞いたよ。
なんかねー、「ピンキーの耳が一瞬動いた。ニルフも何か気づいたようだったからな」って言ってた。
きっと、それでキラ子ちゃんから狐少年を離したけど、手を掴んだとき他に違和感あったから姿くらませたんじゃね?
確か銀がそう言ってた気がする』
若〔さすがですわねー〕
ニ『さすがだなー・・・ん?』
なんか、村の入り口 (があっただろうなって場所)で、人影が動いたような気がした。
ニ『なんか見えた気が』
若〔皆さんが追い付いたんですかね? ・・・あら?〕
3人分の、影が見えた。
遠くてよく見えないけど、馬車が見えないからピンキーかな?
両手をブンブン振り回す、小柄な子。
ぴょんぴょんジャンプする小さな子。
ひらひらと手を振る長身の男。
五つ子の内の2人と、ピンキー?
もしかしたら現地の村人なのかもしれない。
若〔ってここ、廃村ですわよ!?〕
ニ『村人いねえな! ハッハッハ』
でもなんか楽しそうにピョンピョンしながら手振ってるし、俺も手振り返そうっと。
ニ『おはよーございま』
ピ「伏せてニルフ!!!!!!」
声が聞こえた瞬間。
俺の頭上に、巨大な岩がいくつも降り注いだ。
ピ「メテオ (物理)!?」
ニ『ックリしたぁあああ!』
ピンキーの叫びに驚いて咄嗟に横に飛んだら、俺が居た所にデカい岩がいくつも突き刺さった。
地響きと直撃で 周りの朽ちた家が崩れ落ちる。
落ちた岩は木っ端みじんに砕け散り、辺りに鋭利な岩がゴロゴロと落ちる。
あっという間に平坦な地面が、転んだだけで体を切りそうな危険地帯に早変わりした。
?「怪我しなかったか!」
?「こううん!」
?「こーうん!」
ジ「ジジちゃん
がんばる!
ふおぉぉぉお!」
その声に驚いて顔を上げると、目の前に居たのは・・・。
ゾンビみたいな肌をした背の高い優男と、メイド服を着た耳の大きな小学生の少女、そして、二足歩行のプードルだった。
ハ「ナンダ今ノ地響キ!」
ポ「地震ですか!?」
村の奥、馬車を止めていた方向からバタバタと2人が走ってきた。
そして、村の惨状と例の三人組をみた瞬間。
ハーピーが飛び去った。
あれ!? どこ行くの!?
次回メモ:たたかい
いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!