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勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
地面に向かって突き刺され!!
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待つのは辛い

「なあ2人共」


 部屋に戻るとユーカが居た。

 おいここ男子部屋だぞ。俺達がそっちに行ったら怒るくせになんでユーカはヒョイヒョイこっちに来てるんだ?

 若葉も一緒だったけど、無言だった。寝てるんか?


 ユーカが宝石から地図を出した。


「土の世界樹って行ったらヤッパリ赤い光 点滅するんかな」


 土の世界樹? っていうとあの・・・。


「魔界への入り口すぐの場所に生えてた、あれですよね」


 あぁ、あれか。アテ氏さんとこか。


『そりゃ、着くんじゃないか? ≪登録≫済みの石碑だし』

「じゃあさ、ここやなくて向こうで待ち合わせ決めといたほうが、すぐ合流できたんとちゃう?」


 ユーカの言葉に、黒蹴と顔を見合わせた。


「〔『本当だ!』ですわ!〕ですね!」


 あ、若葉起きた。



「でも土の世界樹ってここから結構距離ありますよね」


 黒蹴がユーカの出した地図と、この街で買った地図を見比べながら言った。


『アテ氏さんに話して協力してもらおうにも、帰りが危ないな』

〔途中、あの森もありますものね〕


 そうだった。リザードマン達の集落のある村からこの街に向かう途中には、めっちゃ強い敵のでる場所があるんだった。

 あれを俺達だけで抜けるのは難しいだろう。


 あ、そうだ!!!


『リザードマン達に助けてもらうってのはどうだろう!』

「どうやって村を見つけるんですか?」

『そりゃ黒蹴。ベリーに見つけてもらえばいいじゃん?』

「ベリーおらんで?」

『え?』


 なに言ってるんだ、ユーカ?

 あの時ずっと たき火の周りを走り回ってたじゃん。

 今も当然ユーカと一緒にこの部屋に・・・。


『あれ!? ベリー居ない!?』

〔ベリーさんなら、ピンキーさんが川に落ちた瞬間に懐に飛び込んでいましたわよ!?〕

『ウッソ!?』

〔てっきり見ていたものかと・・・〕


 気づかなかった。

 それじゃあプラズマに頼もうぜ!!!


「すまない。我は元々海の生物ゆえ、地上の匂いを追うのは苦手なのだ」


 おうふ。


『どうする?』

「どうしようもないな!!!」


 ユーカ、そんなひどい。







 *






 


 3日後。


「ちょおお! みんな見てー!!!」


 深夜に突然、男子部屋のドアが砕かれた!


『なんだどうした敵襲かー!!!』

「であえー! であえー!」

「そんなんちゃうねん!見て、とりあえず見て!!!」


 ドア蹴り倒して入ってきたのはユーカだった。

 驚いてベッドから転げ落ちた俺達には目もくれず、ユーカは腕輪をかざして、地面に地図を出す。


『なんも変わってないけど』

「ちゃうやん! よーく見て!」

「あっ!!!」


 黒蹴が一点を凝視して声を上げた!

 黒蹴こういうの見つけるの得意だよな。


 目線を追う。ちょうど地上の、水の世界樹の石碑の下に・・・。


「赤い点が増えてます!!!」

「やろ!? 地上の地図の下やから魔界の石碑に≪登録≫したって事かなぁって!」

『しかも点滅してるじゃん! 銀かピンキーのどっちかがココに居るって事じゃん!!!』

「やりましたね由佳!」

「やろ!? もっと褒めろ崇め奉れ にーちゃん」

「妹があつかましい!!!」

『すぐに行こう!!!』


 武器ひっつかんで転移をしようとしたその時。


〔待ちなさいニルフさん!!!〕


 ドアから若葉の声!!!

 しまったハープ忘れてた! ごめん若葉!


〔そうじゃありませんわよニルフさん! 今 皆で押しかけても、こちらに戻る手段はあるんですの?!〕


 若葉が声を荒げてる。

 見た事ないくらい怒ってる。声だけなのに怖い!

 見ると若葉はプラズマにくわえられて こっちの部屋まで来てた。


〔まったく。ユーカさんが突然叫んだので心配になって来てみて良かったですわ〕


 ホッとした声で、でも怒ってる若葉を咥えたまま、プラズマが胸を張って言葉をつづける。


「ふぉうふぁふぉ、ひまひっへお へひはくぉひひは ははふほ」

「何言ってるか全然わかりませんね」


 黒蹴にサラッと流されて、プラズマが落ち込んだ。





 結局、準備を整えてすぐに転移しようとしたんだけど。

 見た時には、水の世界樹の下で光っていた赤い点の点滅が無くなっていた。


 んで。

 土の世界樹の場所の点も、他の場所も点滅していなかったから、2人はきっと転移以外の方法で こっちに戻ってこようとしているんだって結論を出して。




 俺達は、待つことにした。




 危険な状態になったら、土の世界樹か地上のどこかに転移してくれる事を、祈って・・・。










 祈ってたら、夜中に騒ぐなって、オバちゃんに怒られた。

 ドア粉々になってるの見つかって、さらに怒られた。

 弁償に、しばらく宿の手伝いをする事になった。



 そして。











 一週間たった。

 寝てると、コンコンとドアを叩く音が鳴った。

 オバちゃん? ユーカ?

 

 もう朝の仕込みの時間なのか?

 眠い目をこすって起きる。が、ドアに誰かいる様子は無い。

 カーテンの隙間から見える空は まだ暗くって、外も静かだ。


『夢か』


 ベッドに潜りなおすと、向こうのベッドで黒蹴がむにゃむにゃ言った。








 


「きゃんきゃん」


 鳴き声と、ガチャリと、ドアを開ける音が耳横で響く。

 誰か・・・部屋に入ってきた?

 

 ゆっくりと薄目を開けるが、ドアは閉まったままだ。

 黒蹴も普通に・・・居ない? あ、ベッドの下に落っこちてる。




 今日は変な夢見るなぁ。

 ぐぅ。







 *



 


 そして朝。 

 まだ空が白んでる時に起き出して、服を着替えてたその時。


 突然ドアが、バーンっと開かれた!!!


「ぎゃー!!!」

『うわ! なんだ?!』


 ドア近くの黒蹴も驚いて飛び起きる!

 男子部屋のドアを開けて飛び込んできたのは、元気そうな!



「きゃんわんわん!!!」

「ただいまー!!!」

『ベリー! ピンキー!!!』

「うわぁああお帰りです!!!」


 ついウルっとしてピンキーに抱き着いちゃったぜ!

 横では黒蹴が同じようにハグしようとして、ベリーに吠えられてる!

 どこかでドンって音が鳴ってる! 何の音!?


「心配かけたね、みんな!」

「わんわん!」


 俺達を見たピンキーも、ホッとした顔で涙ぐんでた。






 そして!!!

 






「大げさだな」


 クールな声が入り口から聞こえる。

 勢いよくドア付近を見た黒蹴が歓声を上げて迎えよう! として・・・。


「銀さ・・・あれ?」


 黒蹴が首をかしげた。

 銀が居ると思ったそこに居たのは。


 5歳くらいの、5人の女の子だった。





『うわぁあああ! 銀が分裂したぁあああ!?』


 またどこかでゴィンバキィって音が鳴って、壁にかかった絵が落ちた。

次回メモ:花


いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!

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