四天王(仮)
『四天王!?』
「そ、四天王。なんか居るらしいよ。さすがファンタジー」
ファンタジーだから居るって訳じゃないと思うけど?!
ピンキーはズズっとお茶を飲み干すと、俺に棒2本渡して食堂を出て行った。
あれ? 四天王の話は? ねえピンキー? ・・・行っちゃった。
手に残された2本の棒を見つめてみる。まさかこれにヒントが・・・!!!
んなわけないか。たぶん普通に食器だな。
「できたよー!」
カウンターからオバちゃんが俺を呼ぶ。
オバちゃんから受け取った皿にはさっきピンキーが食べてた白い塊が乗ってた。
さっそくさっき見たみたいに棒2本でつまめねえぞ。どうすんだこれ。
四苦八苦してたらオバちゃんがスプーンっぽいのをもってきてくれた。
*
ー*ニルフの魔界調査メモ*-------
(忘れないようにメモする用)
・魔界には石碑が無かった。これでは転移で皆を呼べない。
・しかし皆、地上と同じように力を持ってたり持ってなかったりする。
・何かあるはずだ。
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『ふんふふーん』カキカキ
〔・・・ねぇニルフさん。それ必要ですかね〕
夜。
自分の部屋 (男子部屋)で俺が上機嫌で色々書いてたら、若葉が横から口を挟んできた。
なんだよぉ、忘れないようにしてるんだよ。
〔でもそれ、今ピンキーさんが言ってたことですわよね?〕
『うん!』
〔・・・詳しい事はピンキーさんに聞けばいいんですし、ノートに書くのは「石碑を探す」だけで大丈夫かと〕
若葉の言葉でメモを見直してみる。
『・・・本当だね!』
〔ニルフさん、前に旅の内容をノートにまとめてませんでしたか!?〕
驚きすぎだろ若葉。
しょうがないじゃん。しばらく文章書いてなかったから忘れたんだよ。
ちなみにメモ帳は宿屋の近くの露天商で売ってた。
・・・そういえば前に旅の内容書いてたあのノート、ピンキーが持ってたんだっけ。
ちなみにそのピンキー。
あの後また情報集めとか言いながら、昨日の喫茶店に行ってたらしい。
『戻って来たときコーヒーな匂いがしてるから、すぐ分かるよね』
〔ええ、ベリーもその辺に茶色いシミが出来ているのですぐ分かりますわよね〕
んで、そのピンキーは今、地図とにらめっこしている。
『なーピンキー。それこの街で買ったのー?』
「うん。大通りにある店で昨日ねー」
〔それなのにもうボロボロですわね〕
銀も黒蹴兄妹も出かけたらしくて暇なので、俺と若葉も地図を覗き込む。(ちなみに若葉はユーカの部屋に置いてけぼりになってた)
机の上に置かれた地図には、あちこちに一杯書き込みが入っていた。
ニホン語に、変な記号に、いろんな色の○とか。
矢印も入ってる。
後は・・・変な文字みたいなのも入ってる。
魔界の文字かな。見た事ない。
・・・ていうかここの地図、なんで街以外の場所がモヤってしてるんだ?
目をこらして見てると、ドアが開いた。
んで、バタバタ誰かが入ってきた。
「ただいまですー!」
「帰ったでー!」
「戻った」
「キュルルルッキュー・・・」
「きゃんわんわん!!!」
出かけてた3人が帰ってきた。黒蹴の腕にはプラズマ。一緒に行ってたのか。
なんか食べてきたみたいで黒蹴兄妹はホックホクした顔してる。
なんでかプラズマだけグッタリしてるな。
「ほらベリー吠えないの。ちょうどよかった皆、ちょっとこっちにきて」
ドアに向かって吠えるベリーの口を押えたピンキーは、3人を手招きする。
『お帰りーどこ行ってたんだ』
「起きたんですねニルフさん。えっとですね、おいしい豆腐の店を見つけました!」
「でも豆腐やなくてそれっぽい物体のデザートやったよ」
『よかったなそれっぽい物体見つかって』
「物体って聞くと美味しくなさそうに聞こえるの、何でですかね?」
『さぁ?』
「さぁ?」
「3人共、聞いてる?」
ピンキーがこっちを睨んでた。
「街で買った地図に≪泉≫の場所が乗ってたんだけどさ。
見てよ、これ」
ピンキーがリュックから、もう一枚地図を取り出した。
「それは・・・地上の地図だな」
「そうだよ。あ、このままじゃ分かりづらいね。
黒蹴、ニルフ、これ重ねて持ち上げて」
「『はーい』」
地上と魔界の地図を重ね合わせる。
グシャってなった所は、銀がササっと直してた。
「ちょうど土の世界樹がある場所と、俺達の落ちてきた天海の穴の場所を重なるように、ね。
さあ、見てみて・・・」
ピンキーが地図の裏から、カンテラで光を当てた。
目を凝らす俺と黒蹴。俺より一瞬早く黒蹴の顔が輝く。
「あ、これ」
「黒蹴は気づいた? ほら、≪泉≫って書かれている場所と地上の属性世界樹の場所が同じなんだ」
『ほんとだ!!!』
|見慣れた地上の地図に書かれた記号《せかいじゅのせきひのばしょ≫と、≪泉≫っぽい絵がピッタリ一緒になってる!!!
「すごいやん!!!」
〔よく気づきましたわね!?〕
「ね、すごいでしょ? とりあえず、近くの≪泉≫に行ってみようと思うんだけど、どうだろう」
ピンキーが皆の顔を見回す。
その顔は、ようやく見つけた次へのヒントで嬉しそうに輝いていて・・・
下から照らされた光のせいで、ちょっと怖かった。
「でも遠いから、明日いこうか」
「「〔『はーい』〕」」
次回メモ:出発
いつもよんでいただき、ありがとうございます!!!
ブックマーク91から増えない!!!でも減らなくてよかった!!!